第83回東京陸上選手権 最終日

第83回東京陸上選手権は26日、今大会中初めて気温30℃を超える暑さとなった中駒澤陸上競技場にて最終日の競技が行われた。リオデジャネイロオリンピック代表で86m83の日本歴代2位の記録を持つ新井涼平(スズキ浜松AC)の出場で注目されていた男子やり投げは、その新井が優勝を果たしたものの、午後から風が強まった事も影響し記録は一投目の73m99と自己記録には遠く及ばなかった。2位の相原大聖(日大桜門陸友会)とは60センチ(73m39、ニ投目)差の薄氷の勝利だった。
女子7種競技ではヘンプヒル恵(アトレ)が総合5646点の大会新記録で優勝を飾り、昨年苦しんだ故障からの完全復活への足掛かりを掴んだ。厳しいコンディションの中二日に渡る競技を無事に終える事が出来たのは収穫だろう。2位には5401点(大会新)をマークした日体大の大玉華鈴が入った。
女子200mでは鶴田玲美(南九州ファミリーマート)が24秒05で制し、100mに続き二冠となった。今大会では成長ぶりが目覚ましく、今シーズン注目の存在になりそうだ。相洋高校3年の石川優が24秒32で2着、こちらも100m(3着)に続いての表彰台と健闘が光った。
男子200mでは安田圭吾が出場選手中ただ一人21秒を切る20秒97の大会タイ記録で制し、2着には21秒08で伊藤孝太郎(東海大)が入った。リオでジャネイロオリンピック代表の藤光謙司(ゼンリン)は予選を欠場、高瀬慧(富士通)は準決勝敗退だった。
男子400mhは山本竜大(日大)が50秒08の大会新記録で、女子400mhは昨年の日本選手権を制した伊藤明子が59秒32のタイムでそれぞれ優勝を飾った。
フィールド種目では男子三段跳びの池畠旭佳瑠(いけはたひかる、駿大AC)が大会新記録となる16m75(日本歴代9位)のビッグジャンプを見せ優勝した。

その他の種目の優勝者は以下の通り

女子 走高跳 ①仲野春花(ニッパツ) 1m76

男子 砲丸投 ①村上輝(日本体育施設) 17m30

男子 5000m ①鈴木祐希(カネボウ)14分19秒45

23日より始まった第83回東京陸上選手権は、四日間の闘いに幕を下ろした。ケンブリッジ飛鳥(nike)や高山峻野(ゼンリン)、新谷仁美(積水化学)といった東京オリンピックを目指す有力選手が順調な調整ぶりをアピールした一方、期待されていた女子短距離の宮園彩恵(国士館大)ら学生選手の記録が総じて低調で、コロナ禍での調整の難しさも感じさせる大会となった。そんな中で一際輝きを放っていたのが鶴田玲美。学生時代に目立った活躍は無く、下馬評が高かった訳ではなかったが、100mと200mの2種目を制する今大会MVP級の活躍を見せ、女子スプリント界に新星誕生を予感させた。他では青木益未(七十七銀行)や卜部蘭(積水化学)の充実振りや、池畠旭佳瑠の好記録も目を引いた。期間中、突然の大雨や風の影響など気象コンディションに恵まれず、好記録続出という訳には行かなかったが、出場選手の体調管理、会場の消毒やソーシャルディスタンスの徹底といった大会関係者の尽力により大きな混乱なく大会を終えた事は、来月のゴールデングランプリなど今後予定される大会を成功に導くための大きな一歩となっただろう。

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