今年で99回目!歴史と伝統を誇る関東インカレ陸上のみどころを紹介

今年で99回を数える歴史と伝統を誇る関東学生陸上競技対校選手権大会(以下関東インカレ)が、神奈川・相模原ギオンスタジアム10月9日より三日間の日程で開催される。
例年5月に行われている関東インカレだが、今年は一連のコロナ禍に於いて早々に延期が発表され、開催未定とされていた日本インカレの実施が決まって以降も、主催である関東学生陸上連盟からは実施についてのリリースが無く、開催自体が危ぶまれていた。
そうした中、日本インカレを目前に控えた9月9日になってようやく日程が発表され、3000m障害を含む中距離までのトラック種目とフィールド種目、混成種目、長距離種目と日程を分散し、対校ポイントは争わない等異例の形式ながら今年も開催される運びとなった。
日本インカレの開催から一月足らず、この間先週には日本陸上選手権も開催され、又翌週には日本選手権リレーも控えるために回避する学生トップ選手も散見されるうえ、コロナウィルス感染拡大防止のために残念ながら無観客での開催となるが、陸上ファンに向けてはライブ配信が実施される本大会の注目ポイントを整理してみたい。

小山佳奈(早稲田大学4年)に4連覇の偉業が懸かる女子400mHに注目だ。今期は好調に記録を伸ばしていた後輩の関本萌夏(早大3年、今大会は欠場)の影に隠れがちではあったが、日本インカレではイブラヒム愛紗(札幌国際大4年)に敗れはしたものの57秒60の好タイムで2着、日本選手権でも5着ながら自己ベストを更新する57秒44をマークするなど、調子を上げて来ている。激走の後だけに疲労の蓄積が懸念されるが、卒業後は競技から離れるとの報道もなされており、女子主将として部員を引っ張ってきた早稲田競走部内に留まらず、女子学生陸上界も牽引してきた存在として、最後の学生大会への思いも一入なのではないだろうか。活躍を目に焼き付けて置きたい。
その小山に対抗する存在は同じ早稲田大学競走部の後輩、津川瑠衣(1年)。日本インカレは3着、日本選手権は7着と小山の後塵を拝しているが、ここで先着をはたして先輩への「恩返し」となるか。

本来であれば、最注目の存在として名前を挙げたかったのは男子走幅跳の橋岡優輝(日本大学4年)だったが、日本選手権を疲労と踏み切り脚である左かかとの違和感のため回避しており、出場するかは微妙な情勢だ。今大会ではその橋岡に次ぐ2番目の記録、7m92をベストに持つ外川天寿(国際武道大4年)の8mジャンプがなるかに期待が懸かる。

月にインドアながら日本学生記録の4m30をマークした女子棒高跳、諸田実咲(中央大学4年)は日本インカレ、日本選手権と、その後の屋外大会では本来の跳躍を見せる事ができておらず、今大会こそ屋外でもその実力が確かである事を証明したい。

勝負が白熱しそうなのは男子100m。日本インカレを10秒14の好タイムで制した水久保漱至 (城西大4年)が日本選手権に続き今大会も欠場、日本選手権ではその水久保の分までと決勝に進出する活躍をみせた後輩の鈴木涼太(3年)、エントリー選手中1番の持ちタイム(10秒20)を持つが、日本選手権では不発に終わるなど安定感に課題の有るデーデーブルーノ(東海大3年)、今年はやや精彩を欠いているが、三連覇に向けて負けられない実力者宮本大輔(東洋大3年)、日本選手権では好調さを伺わせていた樋口陸人(法政大3年)など多士済々。 どの選手も連戦となり、体力的には厳しい面もあるだろうが、実力伯仲の相乗効果で日本インカレでの水久保の記録を上回る好タイムを期待したい。

日本インカレで実力者田中佑美(立命館大学4年)に競り勝ち女王の座を奪還した100mHの成長株、島野真生(日本体育大1年)が、今大会で13秒36のベストタイムを更新することがあれば、活況を呈するこの種目に更に1枚役者が加わる事になり、東京オリンピックの代表を巡る争いも益々激しさを増すだろう。かつて日本選手権同種目の決勝の舞台に立った事もあり、今期復調してきた感のある田中陽夏莉(山梨学院大4年)、自己ベストが13秒34と持ちタイムでは島野を上回る小林歩未(筑波大学2年)との勝負と共に、決着タイムにも注目だ。

又、日本選手権ではその100mHで上記3選手を差し置いて決勝に進出する進境を示した竹内真弥(日本体育大4年)が、メイン種目である走幅跳に出場。日本選手権を6m32の記録で制した高良彩花(筑波大学2年)との対決となる。高良としても、終盤の逆転の応酬の末に敗れた昨年の日本インカレの借りは、今大会の優勝で返して置きたいところだろう。

男子の投擲種目に日本のトップレベルを争う学生選手が見当たらない事に将来的な不安を禁じ得ないところであるが、今大会では待望久しい新星の登場を望みたい。

女子の投擲種目では61m68の自己ベストを持ち、日本選手権でも3位に入ったハンマー投げ小舘充華(こだてみはる、流通経済大4年)が、どこまで記録を伸ばせるかに注目。

ここに掲げた選手たちの他にも、この大会を最後に競技生活を終える4年生や、学生陸上界での本格デビューとなる1年生も多い事だろう。コロナ禍において活動を制限された中での学生選手達の最後の雄姿、あるいは勇躍学生陸上に挑む姿を目に、心に刻み付けて置きたい。

週末は台風の接近が予想されている。苦難の1年を過ごした学生選手達のためにも、晴れ渡る空の下で無事本大会が開催される事を願って止まない。

文/芝 笑翔

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