第104回日本陸上競技選手権大会・リレー競技のここに注目!

男女の今年度のリレー種目日本一が決定する、第104回日本陸上競技選手権大会・リレー競技(日本選手権リレー)が、横浜市の日産スタジアムにて、10月16日より三日間の日程で開催される。例年は二日間の日程で開催であったが、今年は全国高等学校陸上競技大会2020・リレー競技、全国中学生陸上競技大会2020が併催されるため、三日間の開催となった。ここでは日本選手権リレーを中心に見どころを探って行きたい。

男子4×100mRは大学チームの争いになる。今年の日本インカレを大激戦の末制した早稲田大学、僅差の2,3着に甘んじた近畿大学、日本大学を中心とした接戦が予想されるが、大エース宮本大輔を擁する東洋大学、爆発力のあるデー・デー・ブルーノ、マイルリレーで日本代表経験が豊富で、200mでも力のある井本佳伸がメンバーに名を連ねる東海大学も実力差はない。日本インカレではバトンミスが出て失格になったが、主力の樋口陸人が現在絶好調で勢いのある法政大学、伝統的にリレーに強く、大舞台では無類の強さを発揮する中央大学も侮れない。実力伯仲で、バトンワークの精度が勝負の行方を大きく左右するだろう。

男子の4×400mRは雨の日本インカレを好タイムで優勝した日本大学と長い写真判定の末に涙を飲んだ早稲田大学に、実業団の富士通がどこまで迫れるか。日大は井上大地、早大は伊東利来也と45秒台の記録を持つ大エースを擁し、他のメンバーも走力が高い。富士通は佐藤拳太郎、北川貴理のマイル日本代表経験のある二人の他、昨年の世界陸上400mH代表の豊田将樹、ロンドンオリンピックで4×400mRの1走を務めた高瀬慧がエントリー、少数精鋭ながら経験豊富なメンバーが揃い、勢いのある大学勢を脅かす事は十分可能と見る。控えメンバーがいないだけに、当日までにしっかりとコンディションを整える事が重要になる。

女子の4×100mRは今シーズンに飛躍的成長を遂げた兒玉芽生の存在感が際立つ福岡大学が日本インカレを大差で制し、ここでも優勝の大本命。兒玉のほか渡辺輝も日本インカレで100m、200mの2種目で決勝に進出した実績を誇る。
日本インカレ100m2着、日本選手権でも6着に入った実力者、壹岐あいこを擁する立命館大学は、日本インカレではリレーを回避した100mH日本選手権4位の田中佑美がメンバーに復帰し、巻き返しを図る。
実業団勢では東京オリンピックマイルリレープロジェクトメンバーで200mも強い広沢真愛、松本奈菜子を中心に全日本実業団選手権を制した東邦銀行に加え、七十七銀行が日本選手権100mH覇者、青木益未の爆発力でどこまで学生陣に対抗出来るかが楽しみだ。

4×400mRは日本インカレを制した青山学院大学、関東インカレを制した早稲田大学、広沢、松本に、もう一人のマイルリレープロジェクトメンバー武石この実も加わる東邦銀行を交えた三つ巴の様相を呈している。
青学大は主力の一部にが日本インカレ以降順調さを欠いており、ベストメンバーが組めるか微妙な情勢。マイルリレープロジェクトメンバーで強力なアンカー高島咲季に繋ぐまでに、吉中日奈子らが踏ん張って逆転可能な最小限の差をキープして置く必要がある。
早大は、高島を擁する青学大、日本代表を揃える東邦銀に対して、チームの精神的支柱である小山佳奈、日本インカレを回避しながら、関東インカレではリレーメンバーに復帰した関本萌夏らを中心とした総合力で勝負する。
東邦銀行はアンカーまでに先頭に立っていれば、展開が楽になる。出来れば高島をもってしても届かないくらいの差を青学に付けて置きたい。
昨年のこの大会を制した立命館大学も、アンカー塩見綾乃を中心に走力の高い選手を揃え、又、今期400mのベストタイムが53秒台に突入するなど成長著しい大島愛梨がチームを引っ張る中央大学にも、青学大に敗れた日本インカレからの巻き返しの余地は充分残されている。エントリーチーム中最も持ちタイムの良い大阪成蹊大学は主力の柳谷朋美がメンバーから外れ、今回は厳しいか。

また、高校陸上リレーの4×100mRにントリーしている女子4×100mRプロジェクトメンバーの石堂陽奈(立命館慶祥高)青山華依(大阪高校)にも注目を。東京五輪に期待を抱かせるような快走が見たい。

文/芝 笑翔

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