日本記録の誕生なるか!東京オリンピック代表対決にも注目の、第40回大阪国際女子マラソンのみどころ

第40回大阪国際マラソンが1月31日に開催される。 コロナ禍によって数々のロードレースが中止になるなか、2021年に行われる最初の大規模ロードレースだが、年初に発令された政府による二度目の緊急事態宣言に大阪が加えられたため、当初予定されていた長居陸上競技場発着の市街地コースでの開催を諦め、感染拡大防止対策として長居公園内をスタートし、1周約2.8㎞のコースを15周した後、長居陸上競技場でゴールする周回コースに差し替えられたが、世界陸連の公認を得て本大会の記録も公認される。

大会直前に来てのコース変更など紆余曲折は有ったものの、今大会の注目が、既に東京オリンピック代表に決まっている前田穂南(天満屋)と一山麻緒(ワコール)の二人に集まっている事に変わりはないだろう。日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダーより、東京オリンピックのメダル獲得へ向けて、野口みずきが2005年9月にベルリンマラソンで記録した2時間19分12秒の日本記録の更新を課題として挙げられており、コロナ禍で海外の有力選手やペースメーカーを招聘出来ないなか、同大会として初めてペースメーカーに男子マラソンのサブテンランナー、川内優輝(あいおいニッセイ損保)や岩田勇治(三菱重工)らを起用するなど、主催者側も手厚いバックアップ体制で、記録更新への気運を高めている。

前田、一山の二人が日本記録を更新するためには、1周2.8㎞を9分12秒、1㎞換算で3分18秒、5㎞毎のラップで16分30秒を下回らずに押していく事、中間点を1時間9分30秒くらいで通過する事が一つの目安となるだろう。後は川内らペースメーカの外れる30kmまでにどの程度余力を持って走る事が出来るかが、後半にペースを落とさず維持していく鍵となりそうだ。前田は2019年の東京マラソン、一山は同じく2019年の東京マラソンと昨年の名古屋ウィメンズで高速レースを経験しているが、この目安のペースよりは5㎞で10秒程遅かった。前田は当日の寒さも有ってか、10㎞程でペースを大幅に落としたが、一山は中間地点までは何とかペースを維持出来ていた。この時の経験を生かし、昨年の名古屋では後半30㎞からの5㎞を16分14秒にまで上げ、次の5㎞を16分31秒でカバーし、2時間20分29秒の好記録に繋げている。
前田はスピード不足を克服出来ているか、一山は後半に更にペースアップした名古屋の再現が出来るのか。それぞれの課題をクリア出来れば日本記録更新の期待は膨らむが、昨年暮れに行われた山陽女子ロードレースのハーフマラソンでは、前田が1時間10分39秒、一山が1時間10分17秒と、マラソンで日本記録を狙っている選手の事前レースとしては、共にもう一つの内容で、ここから体調や心理面も含め、一か月でどれだけコンディションを整える事が出来ているのかも、記録更新へもう一つの鍵となりそうだ。
前田と一山のマラソンでの直接対決は、先述した2019年の東京マラソンでは一山が、同年のMGCでは前田が先着しており1勝1敗の五分。二人の意地の張り合いによる相乗効果もあるかもしれない。

その他の招待選手では、MGCに出場した岩出玲亜(千葉陸協)、2019年世界陸上8位の実績がある谷本観月(天満屋)らが、先頭集団に付いて行くのか、第二集団を形成していくかといった序盤のレースの流れも、東京オリンピック後の日本女子マラソン界を占う上で注目したい。加えて谷本と同じく世界選手権代表でハーフマラソン1時間9分16秒の記録を持つ池満彩乃(鹿児島銀行)や、昨年暮れの日本選手権・長距離で10000m31分36秒をマークした初マラソンのスピードランナー萩原歩美(豊田自動織機)、マラソンでは序盤から積極的なレースを見せる上杉真穂(スターツ)、山陽ハーフで前田に先着した和久夢来(わくみらい、ユニバーサルエンターテインメント)ら中堅、若手選手が先頭集団に食らい付き、しっかりと粘って走り抜き好タイムを記録して、若干選手層の厚みに欠ける女子マラソン界に勢いを付けてくれるものと期待したい。

スタートの号砲は12時10分、ゴールテープを切るのは前田か、一山か。予想時刻は2時29分頃、その時、日本中が沸き立つのか、目が離せない。

文/芝 笑翔

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