男女60mH、男子走幅跳で室内日本新! 好記録が相次いだ日本陸上選手権・室内競技

第104回日本陸上選手権・室内競技が3月17日から二日間、大阪城ホールで行われ、大会初日から好記録が続出。

口火を切ったのは女子60mHの青木益未(七十七銀行)。予選1組目、スタート良く飛び出すと、木村文子(エディオン)以下を全く寄せ付けない圧倒的な走りを見せ、タイムは8秒06。昨年に自身がこの大会でマークした日本記録を今期初レースであっさりと更新してみせると、決勝でも予選同様の好スタートを決め、追いすがる木村を振り切ってゴールに飛び込んだ。正式タイムは8秒05とさらに0秒01の更新。昨年から続いての好調ぶりと、一冬越えての成長をアピールした。
昨シーズンのほとんどを休養に当て、この大会が今期2戦目だった2着の木村は決勝は切れのある走りで見せ場を作り、本格的なトラックシーズン開幕に向けて仕上がりの良さが感じられた。
100mH日本記録保持者の寺田明日香(パソナ)はスタートで後手を踏み、ゴール前は流して5着に終わったが、今後必ず巻き返しを見せる筈だ。

続いたのは男子60mH、若手期待の泉谷駿介(順天堂大3年)。予選では60mHの日本記録保持者でスタートダッシュに定評のある金井大旺(ミズノ)と互角の好スタートから一歩も譲らず同時にゴール、両者7秒56の日本新、僅かに着差有りで1着となって波に乗り、続く決勝は1台目からリードを奪いその後は差を拡げ、予選を更に上回る7秒50で完勝。2019年のドーハ世界選手権では110mH代表に選ばれながら故障で欠場を余儀なくされており、悲願の五輪参加標準突破に向け、これ以上ない好スタートを切った。
金井は決勝では泉谷を意識してか固さが目立ち本来の切れがなく、競り合っていた石川周平にも後れを取って3着に敗れた。
110mHの日本記録保持者の高山峻野(ゼンリン)はらしくないフライングの失格。予選から日本記録が出ていたため、焦りが生じたか。

2日目に魅せたのは男子走り幅跳びの橋岡優輝。昨年9月の日本インカレ以来の実戦とあってかなかなか助走が合わず、珍しく集中を欠く場面もあったが5本目で8m19の室内日本新記録をマーク。第一人者の意地が感じられた。
常日頃から、1本目の試技から8mジャンプを跳ぶ事を課題として口にしており、昨年はほぼすべての大会で近い記録を出せていたのだが、今シーズン初戦ではクリアできず。また自身初めてという1回目から3連続ファウルを侵しており(最終的には4連続)、今大会は8人のみ出場の決勝一発勝負のため競技が続行できたが、本来なら記録なしで終わるところだった。悪い流れの中で、踏切を合わせに行った跳躍で最終的に8mを跳べた事は橋岡らしくもあったが、東京五輪で決勝を目指す上で、本人も納得の行くシーズンの滑り出しとはならなかっただろう。助走距離をを変えるなど試行錯誤を繰り返していたが、大きく踏み越している試技も多く、助走スピードの改善途上のようにも見受けられた。しかしそこは調整能力の高い橋岡の事、上手く修正し、屋外シーズン開幕後には更に大きな跳躍を見せてくれるだろう。

男子60mを制したのは多田修平(住友電工)。得意のスタートダッシュで他の選手を寄せ付けず、予選で更新した大会記録を更に塗り替える6秒56をマーク、こちらは五輪参加標準記録突破に向けて好発進。桐生祥秀(日本生命)は組1位となった予選の後、左膝に「痛みでは無く、違和感」が有り、決勝は棄権となった。大事をとって検査をするとの事だが、日本短距離界のエースだけに症状が気懸りだ。

2日間の競技結果(シニアのみ、3位まで)は以下の通り

1日目トラック競技

女子60mH
①青木益未(七十七銀行)8秒05(室内日本新)
②木村文子(エディオン)8秒12
③鈴木美帆(長谷川体育施設)8秒17

男子60mH
①泉谷駿介(順天堂大3年)7秒50(室内日本新)
②石川周平(富士通)7秒57
③金井大旺(ミズノ)7秒60

1日目フィールド競技

女子棒高跳
①諸田実咲(中央大4年)4m20
②竜田夏苗(ニッパツ)4m10
③那須眞由(籠谷)4m00

女子三段跳
①森本麻里子(内田建設AC)13m19
②坂本絵梨(日本室内)12m92
③剱持早紀(長谷川体育施設)12m70

2日目トラック競技

女子60m
①三浦愛華(園田女子大1年)7秒38(大会新)
②名倉千晃(NTN)7秒45(大会新)
③三浦由奈(筑波大)7秒45(大会新)

男子60m
①多田修平(住友電工)6秒56(大会新)
②東田旺洋(茨城陸協)6秒66
③坂井隆一郎(大阪ガス)6秒68

2日目フィールド競技

女子走高跳
①徳本鈴奈(友睦物流)1m77(大会新)
②武山玲奈(環太平洋大3年)1m77(大会新)*無効試技数差による
③渡川和華(武庫川女子大3年)1m71

女子走幅跳
①秦澄美鈴(シバタ工業)6m33(大会新)
②中野 瞳(和食山口)6m21
③嶺村 優(オリコ)5m84

男子走幅跳
①橋岡優輝(日本大4年)8m19(室内日本新)
②津波響樹(大塚製薬)7m79
③小森 翔(友睦物流)7m47

男子棒高跳
①石川拓磨(TCS陸上部)5m70(大会新)
②山本聖途(トヨタ自動車)5m70(大会新)*無効試技数差による
③竹川倖生(marumoto)5m40

男子走高跳
①戸邉直人(JAL) 2m24(大会新)
②真野友博(九電工)2m24(大会新)*無効試技数差による
③衛藤 昂(味の素AGF)2m18

男子三段跳
①池畠旭佳瑠(駿大AC)16m45(大会新)
②伊藤 陸(近畿大工業高専5年)16m02
③山下航平(ANA) 15m76

文/芝 笑翔

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