中・長距離の春のトラックシーズン開幕を告げる第29回金栗記念選抜陸上中長距離大会が、日本グランプリシリーズ熊本大会として4月10日、熊本・えがお健康スタジアムで開催される。グランプリ種目の男女1500m、5000m、10000mには東京五輪を目指す有力ランナーが多数エントリーに名を連ねている。
取り分け注目したいのが女子10000mに出場する福士加代子(ワコール)だ。過去アテネ、北京、ロンドン五輪ではトラック長距離種目に、リオ五輪ではマラソンに代表として出場、東京五輪では当初マラソン代表を目指していたが、MGCに敗れ、ファイナルチャレンジの大阪国際女子、名古屋ウィメンズで共に途中棄権に終わりその座を逃した。ターゲットをトラック種目に変えた39才の東京五輪への飽くなき挑戦。その最初のレースで、5月3日に控える10000mの日本選手権へ向けての手応えを掴めるか。
福士同様にマラソン代表を逃した安藤友香(ワコール)も、優勝を果たした2月の実業団ハーフ後に今後は10000mで東京五輪を目指すと宣言しており、まだ突破を果たせていない東京五輪参加標準記録31分25秒00を視野に入れての出場と思われる。
また、5000mで東京五輪出場を目指している廣中瑠梨佳(JP日本郵政G)は初の10000m挑戦でどんなタイムを出して来るのかも楽しみだ。
同じく女子の1500mには既に5000mの五輪代表に決まっている田中希実(豊田自動織機TC)が出場。先週の東京陸協ミドルディスタンスチャレンジでは4分13秒09をマーク。2種目での五輪出場へ向けて更にタイムを縮めて来るか。
5000mでは、2月に行われたクロスカントリー日本選手権で田中を破り優勝を果たした萩谷楓(エディオン)に五輪参加標準記録15分10秒00の突破の期待が懸かる。昨年のホクレンDC網走大会で15分05秒78をマークしているが、コロナ禍で選手間の公平性を保つために設けられたWAの記録適用外の期間だったため、五輪出場資格を得る為には、改めて15分10秒00を破る必要がある。ロード、トラックを通じてどうしても勝つことが出来なかった田中を破り、一冬を越しての成長を見せた今、五輪出場権を手にする絶好のチャンスを迎えている。
男子では10000mで五輪出場を目指す有力選手達が今大会ではその10000mでは無く、5000mに多数エントリー。5月3日に静岡・エコパスタジアムで行われる10000mの日本選手権に向けての大詰めの調整の場に選んだようだ。
昨年の長距離日本選手権10000mでそれまでの日本記録を更新しながら、五輪派遣標準記録の27分28秒00まで僅か0秒92届かずに3着に敗れ、レース後に悔し涙に暮れる姿が印象的だった田村和希(住友電工)がリベンジに向けて始動する他、同レースで27分34秒76をマークして4着に入り進境を見せた河合代二(トーエネック)、女子の福士同様にマラソンからシフトチェンジし、トラックでロンドン五輪以来の代表を狙う佐藤悠基(SGホールディング)や、昨年の日本選手権10000mではBレースながら27分台をマークし、2月の実業団ハーフで1時間00分19秒の好タイムで制した市田孝(旭化成)も顔を揃え、日本選手権の前哨戦の様相も呈しており、好レースが期待できそうだ。
男子1500mには、5000mで五輪代表を目指し、ロードシーズンでも絶好調だった松枝博輝(富士通)がスピード強化の一環として出場する他、館澤亨次(DeNA)、舟津彰馬(九電工)らこの種目の五輪標準記録3分35秒00の突破を目指す選手もエントリー。800mの元日本記録保持者で現在は館澤や、女子10000m日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)を指導する横田真人氏(TWOLAPS)がペースメーカーを務める記録突破を後押しする布陣が組まれている。
当日は好天が見込まれ、気温も暑くはならない模様。各レースとも勝負のみならず、好記録にも期待をしたい。
文/芝 笑翔
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