東京五輪出場権を巡る熾烈な争いが開幕! シレジア世界リレー選手権2021プレビュー

5月1日、ポーランド・シレジアで世界リレー選手権2021が始まる。男女4×100mR、男女4×400mR、男女混合4×400mRの5種目に置いては、8位までのチームに東京五輪出場権が与えられる重要な大会だが、アメリカ、ジャマイカ、中国など、コロナ禍で出場を見送ったり、出国制限のために出場ができないチームが相次いでいる。日本の女子4×100mRは、世界リレーの参加標準タイムを突破できず、ランキングも出場枠に届かなかっため、エントリー状況待ちとなっていたが、繰り上がりで出場が適う事になった。日本はこの女子4×100mRのほか、五輪で実施される全リレー種目に出場するが、既に五輪出場を決めている男子4×100mRは、パリ五輪を見据えた若手主体で大会に挑む。

男子4×100mRは、ドーハ世界選手権金メダルのアメリカ、銀メダルのイギリスに加え、メダル常連国のジャマイカも出場せず、優勝争いは混沌としている。シンビネが控える南アフリカ、ルメートルを擁するフランス、ドーハ世界選手権100mで決勝に進出したトルトゥーを中心に総力の上がっているイタリア、横浜で行われた前回大会で優勝を飾ったブラジルといったところが優勝候補になるだろうか。
既に五輪出場権を獲得しているため、次世代を見据えて若手に経験を積ませる場とした日本だが、そうは言っても、メダル常連国がいない以上、きっちりと決勝進出を果たし、上位争いを展開して欲しい。主力級の期待を寄せられていた水久保漱至(第一酒造)の離脱は痛いところだが、代表選手中一番のベストタイムを持つ坂井隆一郎(大阪ガス)、伸び盛りで今期も好調な高校生、柳田大輝(東京農大二高)、前回横浜大会の4×200mR代表の宮本大輔(東洋大)らの活躍を楽しみにしたい。

男子4×400mRは、現在ワールドランキング第9位。五輪出場に向けて現段階では好位置につけている。しかしながら今大会は絶対的なエースと言えるウォルシュ・ジュリアンを故障で欠いており、決勝進出を逃してしまうと一転大ピンチに陥る可能性も出てくる。安定して45秒台で走る事ができる前回大会混合4×400mR代表の伊東利来也(早稲田大)、前回大会4位入賞の立役者佐藤拳太郎(富士通)を主軸にどこまで踏ん張ることができるか。結果によっては、日本の資格記録である3分02秒05を決勝に進出した何か国が上回ってくるに焦点が当てられる事になるかもしれない。
金メダル争いの中心はドーハ世界陸上銅メダルのベルギー、マクワラを擁するボツワナ、強力なアンカー、ザンブラーノが控えるコロンビアだろうか。南アフリカもヴァン・ニー・キルクがエントリーに名を連ねており、出場に踏み切れば不気味な存在となってくる。

女子4×100mRでは、ドーハ世界選手権で東京五輪の出場権を得た8チームのうち、アメリカ、ジャマイカ、イギリス、中国など6か国が不出場。従って今回の世界リレーの結果によって、最低でも五輪出場枠16チームのうち、14チームが埋まる事になり、今回の世界リレーにエントリーしている出場権獲得済みのスイス、イタリアが揃って入賞できないような事態が起こると、全出場枠が埋まる事になる。日本女子代表が五輪出場のためには、やはり決勝進出が必須となってくる。
前回の横浜世界リレーで、決勝進出した8番目のガーナのタイムが44秒12。しかしこれはイギリス、フランスがバトンに失敗して運よく2着取りが出来たもので、今回このタイムでの決勝進出は、アメリカ他上位チームがいない大会であるにせよ厳しいと思われる。+2で決勝に進出した遅い方のタイム、イタリアが記録した43秒40がターゲットタイムになってくるだろう。日本記録は43秒39、先日のインドネシアとのトライアルでの記録が44秒30だったので、ここからどのくらいコンディションの上積みが出来ているかがカギとなりそうだ。1走青山華依(甲南大)から鶴田玲美(南九州ファミリーマート)、齋藤愛美(大阪成蹊大)、兒玉芽生(福岡大)と繋いだ走順変更も一考ではなだろうか。トライアルで太もものテーピングが痛々しかった兒玉の状態が上がらないようであれば、成長著しい大学1年生、石川優(青山学院大)の投入の可能性も出てくるだろう。今回のメンバーには福島千里(セイコー)のような大エースはいないが、個々の記録の平均値は高く、全てが上手く噛み合えば日本記録の更新も可能な潜在能力を秘めている。
シッパーズが中心のオランダ、カンブンジこそいないが、ドーハ世界選手権4位に食い込んだスイス、7位入賞のイタリアが優勝候補だ。

女子4×400mRも4×100mRとほぼ同じ状況で、出場権を獲得しているベルギー、イギリス以外の上位国が今回は出場がなく、その分ターゲットタイムは前回の予選8番目のフランスの記録、3分29秒89よりは下がるのではないかと思われる。しかしながら今大会はこの辺りの資格記録を持つチームが日本を含めて多くエントリーしており、しっかりとライバルに競り勝ち、予選で2着を取りに行く事が重要になってくる。エースの青山聖佳(大阪成蹊AC)と好調松本奈菜子(東邦銀行)の起用は濃厚だが、出雲陸上の300mで快走を見せた斎藤愛美のここへの抜擢も面白い。川田朱花(東大阪大)、髙島咲季を含めた3人の中からの起用になるものと思われる。現在の世界ランキング16位、ナイジェリアの持つ3分30秒32の記録は
上回っておきたいところだ。
この種目ではドーハ世界陸上銀メダルのポーランド、銅メダルのイギリスの2か国の力が抜けている。

混合4×400mRにおいて、日本は個々の走力が上位国に比べてやや足りず、相応の工夫が求められるだろう。ドーハ世界選手権で他国が男子・女子・女子・男子で走順を組んだ中、女子・男子・男子・女子で奇襲を掛けたが、男子二人の所で大きくリードを奪う事が出来ず、アンカーが他国の男子集団に呑み込まれ最下位に終わっている。日程がタイトな中で男女共にエース格の投入があるのかどうかも、作戦と共に注目されるだろう。現在世界ランキングは16位、決勝進出でこのポジションを死守したい。優勝候補はベルギー、イギリス、ポーランドと見る。

五輪出場の懸る各種目とも日本代表は決勝進出ぎりぎりの争いの渦中にあるが、スタッフを含めた総力戦で万全にコンディションを整えて勝負に挑んでもらいたい。

尚、五輪採用種目以外では、男女4×200mR、男女混合2×2×400mR、男女混合シャトルハードルが実施されるが、日本は今大会の選手派遣を見送っている。

文/芝 笑翔

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