高山峻野、金井大旺に続く五輪標準突破でハードル三銃士結成なるか! WAコンチネンタルツアーゴールド、注目は110mH泉谷駿介! 女子は田中希実の1500m日本記録更新に期待!

東京五輪テストイベントREADY STEADY TOKYOの陸上競技が5月9日、東京・国立競技場に於いて開催される。このうち、男子は100m、110mHなどトラック7種目と走り高跳び、やり投げなどフィールド4種目、女子では1500m、100mHなどトラック4種目と走り幅跳び、やり投げのフィールド2種目が世界陸連(WA)コンチネンタルツアーゴールドとして実施され、100mのJ・ガトリン(アメリカ)、走り高跳びのM・バーシム(カタール)など、海外トップアスリートも複数招待され、よりハイレベルな勝負となる事が期待されている。まだ東京五輪参加標準記録を突破していない日本人選手には、記録を狙う絶好の舞台が整った。

勿論桐生祥秀(日本生命)、小池祐貴(住友電工)、ケンブリッジ飛鳥(nike)、多田修平(住友電工)がガトリンに挑み、9秒台も期待される男子100mに熱い視線が注がれるものと思われるが、4月29日に行われた織田記念で金井大旺(ミズノ)が13秒16の日本記録を打ち立てた男子110mHにも注目してみたい。中でも取り分けクローズアップしたいのが泉谷駿介(順天堂大学)だ。


思えば、この種目の驚くべき記録の向上のきっかけは2019年5月、長居陸上競技場で行われたGGP大阪で、泉谷が2,9mの追い風参考ながらマークした13秒27の激走に有ったのではないだろうか。若い泉谷が非公認ながら当時の日本記録(13秒36、金井が保持)を上回り五輪参加標準13秒32を突破する水準の記録を叩き出したことが、この種目の選手たちを刺激し、同年6月以降の高山峻野(ゼンリン)による三大会連続日本記録や、ドーハ世界陸上準決勝進出、そして先日の金井によるワールドクラスとも言える13秒1台突入へと繋がって行ったように思える。
泉谷は3月の日本室内60mHで7秒50の日本記録をマーク、スタートダッシュに磨きが掛かり、手応えを得て織田記念のレースに挑んだが、金井の好スタートに焦りが生じたか、1台目のハードルに脚が掛かってリズムを悪くし、その後もほとんどのハードルを倒してしまう不本意な内容であったにも関わらず、13秒33と標準突破へあと0.01にまで迫っている。 今大会でスタートをしっかり決めてリズムに乗りきる事ができれば、高山、金井に続く標準記録突破の可能性が高まる。実現すればリレー侍に引けを取らず、それぞれ五輪決勝進出が期待できる「日本ハードル三銃士」の誕生だ。

男子フィールド種目では橋岡優輝(富士通)から目が離せない。
日本室内、織田記念と今シーズンに入ってからファウルの試技が目に見えて増えてきているが跳躍の質はけして悪くなく、ファウルの試技ではあるが8m32の自己記録は優に超えていると思われる跳躍を数多く見せている。標準記録を突破している事もあり、五輪決勝進出やその先のメダル獲得を視野に入れながら、ビッグジャンプの感覚を身体に覚え込ませているのではないかと思えてくるほど、攻めの姿勢を貫いている。
今大会にはリオ五輪7位入賞の実績を持つF・ヘンリー(オーストラリア)もエントリーしており、勝負も重要になってくる。緊張感のある舞台でこそより真価を発揮してきた橋岡の、さらなる進化を目にする事ができるかもしれない。

女子は1500mに出場する東京五輪5000m代表に内定している、田中希実(豊田自動織機)がやはり注目の存在だ。
5月3日の静岡国際では800mに出場し2分03秒19の日本歴代9位のタイムをマークしたばかり。このように800mから5000mまで幅広く、しかも数多くのレースをこなしているが、最終的には5000mで東京五輪の決勝に進出し、メダル争いが現実的に狙える位置にまで実力を高める事を念頭に置いているものと思われ、また1500mでは800mのレースで得たスピードの感覚を、5000mでは1500mの感覚をラストスパートにトレースするといった具合に絶対的なスピードを磨きつつ、スピードを維持する距離を伸ばしていくスピード持久力を効果的に身に着けたいという意図も感じられる。
短い間隔で実戦を重ねているのも、予選を勝ち抜いた後、数日で決勝を走らなければならない事を想定しての準備の一環と考えられ、疲労が残る中でも最良のパフォーマンスを発揮するには、どういった体の動きが必要になってくるかを模索しているのだろう。
4月29日の織田記念5000mから静岡での800m、そして今大会での1500mと連戦の疲労の残る中でも自身の持つ4分05秒27の日本記録を上回らなければ、この種目は勿論5000mでも、五輪の舞台で世界と対等には戦えないと田中は考えているのかもしれない。

また女子5000mには10000m東京五輪代表に内定している新谷仁美(積水化学)、廣中 璃梨佳(日本郵政G)がエントリー。共に5000mの五輪参加標準記録も突破しており、2種目出場を懸ける6月の日本陸上選手権の前哨戦の色合いも有り、直接対決が実現すればとても楽しみだ。

女子のフィールド種目では、走り幅跳びの秦澄美鈴(シバタ工業)が4月25日の兵庫リレーカーニバルで6m65を記録し、あと17㎝と迫っている五輪参加標準記録の突破への期待が膨らんでいる。
兵庫では追い風3mの非公認ながら6m69を跳ぶと、その感覚を風の収まった2本目でも上手く再現が出来ていた。勢いに乗り、今大会でも再びビッグジャンプを披露し、更に記録を伸ばすことが出来るか。

今大会はコロナウィルス感染拡大を抑止するために3度目となる政府による緊急事態宣言下での開催となるため、国立競技場に観客を入れる事無く競技が実施されるが、五輪本番と同じ舞台が、選手たちの好記録ラッシュに彩られる事を望みたい。

文/芝 笑翔

記事への感想お待ちしております!twitterもやっています。是非フォローおねがいします!(https://twitter.com/ATHLETE__news

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close