五輪代表に向けて陸上史に残るハイレベルな激戦必至! 日本選手権二日目、女子やり投を制するのは!

第105回日本選手権二日目は男子100m決勝以外にも、複数の選手に五輪出場の期待がかかる女子やり投の優勝争いが直前になって激しさを増しており、大注目だ。

2019年のドーハ世界陸上に出場し、そのシーズンの最終戦の日本GP北九州大会で五輪参加標準記録の64m00を大きく上回る66m00の日本記録を打ち立てた北口榛花(JAL)がやはり優勝争いの本命だが、その北口の「低迷」が優勝争い激化の要因ともなっている。北口の投じた66m00は現在でもWAが公式に発表している参加標準突破者を含めた五輪出場資格者のランキング(Road To Tokyo)で現在でも9位にランクされるワールドクラスの記録だ。そのうえで現状に満足することなく、五輪決勝進出に留まらず「その上」を目指す戦いに割って入るために助走の改良に着手したのだが、これが今のところ結果に結びついていない。あくまで五輪本番を見据えてさらに成長するための取り組みだったのだが、その間に昨年の日本選手権では北口と共にドーハ世界陸上で代表となった佐藤友佳(ニコニコのり)に敗れ、また若手の猛追を受ける事ともなっている。
今期は5月にかつて単身留学をしたチェコの大会で始動したが57m台、帰国後には6月に記録会で59mとまだ本来の投擲とは程遠い。しかし、この試練を乗り越えた先には悲願の五輪決勝の舞台で戦う北口の姿が有る筈だ。まずはしっかりと60mを投げて3位以上を確保しなければならない。

当初オリンピックイヤーとなるはずだった昨年、そして今期と日本ではまだインドアシーズンの3月早々から南アフリカで始動し、五輪出場への並々ならぬ意欲を感じさせていた佐藤友佳。昨年は日本選手権で北口を破り、今期も織田記念で61m01をマークと好調なスタートを見せていたが、その後はひじの不調に悩まされ、記録を伸ばす事ができていない。この間、ずっと出場圏内(上位32番手まで)をキープし続けていた五輪有資格者ランキングも33位と圏外に押し出され、この日本選手権は本当の意味での正念場となる。五輪への思いの強さで闘志を燃やしてきた選手でもあり、やはり60mは必須、出来れば優勝で何としてもランキングポイントの上積みを図りたい。

実績のある二人がまさかの躓きを見せる中、急激に当確を現してきたのが、上田百寧(福岡大)、武本紗栄(大阪体育大)の若手二人だ。上田は昨年の日本選手権で58m25で佐藤、北口に続く3位で表彰台に上り、先々への期待を抱かせる結果を残していたが今期に入り更にパワーアップ、6月1日の木南記念では60m38に記録を伸ばして佐藤を破って優勝を果たし、6月6日のデンカアスレチックチャレンジでは61m75と更に記録を伸ばし着実な成長を見せている。2戦連続の60mオーバーはフロックではなく、しっかりと再現できるだけの技術を身に着けたと見て良いだろう。この種目の選手の中では決して体格に恵まれている訳ではないが、弾むようなリズミカルな助走から放たれるやりはスピードがあり、他の選手よりはやや低めの軌跡を描くがぐんぐんと伸びて行く。五輪有資格者のランキングも圏内まであと一歩の36位まで浮上し、出場権を得る可能性も出てきており、破竹の勢いでこのまま一気に突き抜けるか。

もう一人の注目の若手、武本は昨年までのPBは57m43に過ぎなかったが、木南記念で上田には及ばなかったものの58m98の自己記録で佐藤を抑えて2位に入ると、間髪置かず6月5日の日本学生個人選手権で今期国内最高記録、日本歴代4位の62m39のビッグスローを披露しあっと言わせた。ここまでの実績がやや乏しく、五輪出場のためには佐藤、上田と異なり64m00の参加標準を突破が絶対条件であり、後は腹を括って投げるだけ。今大会でブレイクスルーを遂げる瞬間を見届けることがあるかもしれない。

女子やり投げ決勝のスタートは18:30。男子100mの決勝が始まる20:30には、大激戦の決着が付いていることだろう。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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