TOKYO2020、ニッポン陸上トラック勢の先陣を切る男子3000m障害、三浦だけでなく青木、山口にも注目を!

いよいよ東京五輪陸上競技が始まる。
トラックレースの先陣を切るのは、三浦龍司(順天堂大)、青木涼真(Honda)、山口浩勢(愛三工業)の男子3000m障害代表の3人だ。五輪直前になって順調な調整が積め、また士気が高まっていると感じられるのが、青木涼真だ。

昨年7月、三浦が日本歴代2位の好記録をマークしたホクレンDCで、釣られるような形で8分25秒85をマークして五輪参加標準突破まで3秒85に迫り、五輪代表が現実のものとして視野に入ってきたが、その後12月の日本選手権、今年5月のテスト大会と結果を残せなかった。標準突破もならず、世界ランキングでも出場圏外と厳しい立場に追い込まれながら挑んだ6月の日本選手権では、山口と共に、ハイペースで先行する三浦を追いかける2番手集団で激しく競り合いながら、最後は必死の粘りを見せ、8分20秒70と標準記録を突破して3位に入り、代表に内定。このラストチャンスで標準記録を突破して代表内定を決めたのは、今回の陸上選手団の中では青木のみで、箱根の山登りで鳴らした法政大学時代から見せていたここ一番での勝負強さを発揮した恰好だ。この時の代表内定インタビューでは、自分の目標はパリ五輪で代表になって世界の選手と互角に勝負する事で、今回ぎりぎりのタイムで代表になったという事はまだ力が足りていないと捉え、東京五輪に出場するからには、残りの1か月でもっと力を付けて良い経験が出来るように挑みたいと答えていた。
その言葉の通り、五輪本番まで1か月を切った7月10日のホクレンDC網走大会でスピード強化のために1500mに、その4日後のホクレン士別大会では体力強化と仕上がりの最終確認のため5000mに臨んだ。目を瞠ったのはペースメーカーがレースを外れた後、中距離が本職の選手たちが牽制してペースが淀みかかったところ敢然とレースを引っ張り、3分43秒08の自己記録で3位に入ったは網走での1500mで、単なる調整レースと捉えずしっかり勝負に挑みにいったところに五輪代表としての自覚と、心身の充実を感じ、何より覇気の強く伝わってくる、こういう選手が五輪代表の座を掴むのだな、と唸らされるようなレース振りだった。士別のでの5000mでも13分32秒21の自己ベストをマークとこれ以上は臨めないのではと思わせるくらいの仕上がりの良さを見せている。

山口浩勢は、全国都道府県駅伝やニューイヤー駅伝で活躍し、いぶし銀の存在感を発揮する駅伝職人の一人だが、3000m障害では塩尻和也が銅メダルを獲得した、2018年アジア大会で9位と入賞を逃し、世界に繋がる大会で全く勝負をする事が出来ず、勿体ないレースをしてしまったと語っていた。このレースから感じたところがあったのか、その後はじわじわと記録を伸ばし始めたが、三浦が欠場となった昨年の日本選手権では8分24秒19で優勝したものの参加標準には2秒ほど届かず、テスト大会でもあと0秒39まで迫りながら惜しいで参加標準記録の壁に跳ね返されていた。世界ランクでの出場は確実視されていたが、標準記録を突破しての五輪出場に強いこだわりがあったのだろう、日本選手権で2位に入り、公式タイムが8分19秒96と表示された瞬間、トラックに顔を伏せ、しばらく肩を震わせていた。アジア大会以降序盤はマイペースを貫き、中盤から徐々に順位を押し上げて後半に勝負をかけるレースパターンを確立しており、このパターンがペース変動の激しい世界基準のレースでも通用するか。

男子3000m障害は、日本記録を2度更新しこの2年間で国内選手のレベルを飛躍的に向上させた立役者、三浦龍司の存在がクローズアップされているが、青木は意識の変化と仕上がりの良さ、山口は五輪への思いの強さで、何か大仕事をやってくれそうなムードが漂っている。目標は予選突破、真のワールドクラスが顔を揃える決勝の舞台に立つことだ。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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