サトウ食品日本グランプリシリーズ山口大会、第18回田島直人記念陸上競技大会が、10月16日、17日と二日間に渡り、山口・維新みらいふスタジアムにて開催された。
初日の16日は、今大会で実施されたGP種目の予備予選とも言えるTAJIMAチャレンジが行われ、種目ごとに定められた人数の上位選手が翌日の本戦へと進んだ。
また、小学生男女100mタイムレースには、東京五輪400m代表の黒川和樹(法政大)のほか、シレジア世界リレー選手権4×100mリレー代表の宮本大輔(東洋大)、女子七種競技の大玉華鈴(日本体育大)といった地元山口県出身のアスリートも参加し、子供たちも、選手たちもゴール後には一様に笑顔の花を咲かせる様子が見られた。

翌17日の二日目は各GP種目の予選、決勝が行われ、男子100m予選ではエントリー選手中1番の自己ベストを持つ、シレジア世界リレー4×100mリレー代表の招待選手、坂井隆一郎(大阪ガス)が敗退する波乱があった。
見事なスタートを決めて加速に乗り、他の選手を一気に引き離した坂井だったが、80m辺りでスピードを緩めると次々に後続にかわされて11秒26と、この組最下位となった。 ゴール後には右の大腿部の内側を抑える仕草がみられ、痙攣等のアクシデントがあったものと思われる。大事に至る事なく、無事の回復を願いたい。
優勝候補と目された坂井が不在となった決勝を制したのは、普段は110mHを主戦場とする大学生の樋口陸人(法政大)。 中盤で先頭に立つと、最後は犬塚渉(スズキ)、東京五輪では4×100mリレーの補員として代表に帯同した高校生の栁田大輝(東京農大二高)の猛追を凌ぎ切った。 気温18℃、向かい風1.3mの中タイムは10秒37の自己ベスト、大会新まで付いてくる素晴らしい走りだった。 これだけのスピードを見せてくれたとなると、やはり来シーズンに本職の110mHで、13秒63の自己ベストからどのくらい記録を伸ばすのか、非常に面白い存在になってきた。樋口自身も、大きな自信と手応えを掴んだ大会だったのではないだろうか。
シーズンの最終盤に、肌寒いコンデションと風の影響が重なり、各種目とも記録面では伸び悩んだなか一際輝いたのが、61m12の自身セカンドベストとなるビッグスローで優勝を飾った女子やり投の上田百寧(福岡大)だ。
来年に控えるオレゴン世界陸上を見据えた時、出場資格を得る事が出来るWAの世界ランキングを上げるだけのポイントを獲得できたこの一投の持つ意味は、東京五輪ではランキングでの出場ラインまであと一歩のところまで迫りながら逃しているだけに、非常に大きい。今シーズン3度目の60mオーバーと安定感も増してきた。
この種目の選手としては小柄で、けして体格に恵まれている訳ではないが、弾むような助走からのコンパクトな腕の振りで、やや低めの射角から空気を切り裂きながらミサイルの様に飛んで行く、独特の軌道を描くそのやり先がどこまで伸びて行くのか、今後に期待が膨らむ大会となった。
今大会で、今年のすべての大会出場スケジュールを終えたという選手も多いだろう。来季への手応えを得た選手も、思うような結果が残せなかった選手も、それぞれの課題を胸に冬季トレーニングに励み、また新たなシーズンにトラックやフィールドで、より成長した姿を見せてくれることだろう。
文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)
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今大会のGP種目の3位までの結果は以下の通り
第18回田島直人記念陸上競技大会
トラック種目
GP女子400mHタイムレース
①関本萌香(早稲田大)58.13※大会新、4組1着
②川村優佳(早稲田大)58.20※大会新、3組1着
③青木穂花(青山学院大)58.86※大会新、3組2着 GP男子400mHタイムレース
GP男子400mHタイムレース
①黒川和樹(法政大)49.79※大会新、6組1着
②山本竜大(日本大)50.51※大会新、6組2着
③筒江海斗(STW)50.74 ※5組1着
GP女子300mタイムレース
①松本奈菜子(東邦銀行) 37.65※5組1着
②小林茉由(J.VIC)38.07※5組2着
③齋藤愛美(大阪成蹊大)38.31※5組3着
GP男子300mタイムレース
①佐藤拳太郎(富士通)32.84※大会新、6組1着
②河内光起(大阪ガス)33.14※2組1着
③木村颯太(明治大)33.36※1組1着
GP100mH決勝(-2.6)
①福部真子(日本建設工業)13.50
②藤森菜那(ゼンリン)13.53
③鈴木美帆(長谷川体育施設)13.62
GP男子110mH決勝( +0.2)
①野本周成(愛媛陸協)13.70
②横地大雅(法政大)13.78
③石田トーマス東(勝浦ゴルフ)13.86
GP女子100m決勝(+0.8)
①君嶋愛梨沙(土木管理総合)11.70※大会新
②青山華依(甲南大)11.79
③久保山晴菜(今村病院)11.83
GP男子100m決勝(-1.3)
①樋口陸人(法政大)10.37
②犬塚 渉(スズキ)10.44
③栁田大輝(東京農大二高)10.46
フィールド種目
GP女子走幅跳決勝
①秦 澄美鈴(シバタ工業)6m42 (+1.4)
②髙良彩花(筑波大)6m22 (+2.4)
③小玉葵水(東海大北海道)5m97 (+2.4)
GP女子ハンマー投決勝
①渡邊 茜(丸和運輸機関)64m55
②小舘充華(染めQ)62m08
③勝山眸美(オリコ)60m53
GP男子やり投決勝
①中嶋善寛(埼玉医大G)75m31
②長谷川鉱平(福井県スポ協)71m60
③吉野壱圭(九州共立大) 70m97
GP男子走幅跳決勝
①鳥海勇斗(日本大)7m75 (-0.2)
②小田大樹(ヤマダHD)7m69 (-0.1)
③松本彗佑(同志社大)7m54 (-1.6)
GP女子砲丸投決勝
①大野史佳(埼玉大)15m88
②小山田芙由子(日本大)15m65
③尾山和華(今村病院)14m62
GP男子ハンマー投決勝
①木村友大(ゼンリン)70m98※大会新
②中川達斗(九州共立大)70m94
③古旗崇裕(みかん山)68m21
GP男子走高跳決勝
①真野友博(九電工)2m21
②大田和宏(日本体育施設)2m18
③赤松 諒一(アワーズ)2m10
GP男子三段跳決勝
①山下航平(ANA)15m80 (+0.8)
②山下祐樹(Break Parking)15m72 (-1.3)
③田代一樹(新潟アルビレックス)15m65 (+0.8)
GP女子やり投決勝
①上田百寧(福岡大)61m12
②武本紗栄(大阪体育大)58m27
③斉藤真理菜(スズキ)58m07