800mからハーフまでをオールマイティにこなす実力者、吉川侑美が存在感を示す!第40回山陽女子ロードレース 有森裕子杯ハーフマラソン

今年で40回目の節目となった、山陽女子ロードレースが12月19日、岡山市のシティライトスタジアムを発着点とする有森裕子杯ハーフマラソンと人見絹江杯女子10㎞ロードレースが行われ、ハーフマラソンの部はケニア出身のZ・フーサン(デンソー)が1時間9分31秒で昨年の大会に続き2連覇を果たした。同タイムの2着にはD・ブルカ(デンソー)が入り、1時間10分8秒で5位の吉川侑美(ユニクロ)が日本人最先着を果たし、日本人2番手は1時間10分18秒で7位の大森菜月(ダイハツ)。
東京五輪10000m代表の安藤友香(ワコール)は1時間10分28秒の8位、同3000m障害代表の山中柚乃(愛媛銀行)は1時間12分43秒で23位だった。
台頭の待たれる若手選手では関西大学卒の実業団1年目、渡邉桃子(天満屋)が1時間10分43秒で吉川、大森、安藤に次ぐ日本人4番手の全体9位に入って長距離ロードの適性を示し、今後が楽しみになってきた。
昨年の好走組で4位だった原田紋里(第一生命グループ)は1時間11分18秒の15位、同じく5位の小笠原朱里(デンソー)は1時間14分59秒の42位と本来の精彩を欠くレースとなった。
10㎞の部は、A・ムカリが31分11秒の大会新記録で制し、先日のエディオンディスタンスチャレンジ5000mで自己ベストを出し好調の森智香子(積水化学)が32分41秒の4位で日本人選手トップのゴールとなった。
ハーフの吉川、10㎞ロードの森と普段は3000m障害をメイン種目としているベテランの奮闘が光った大会だった。

3000m障害で五輪代表を目指した事が吉川にレベルアップを齎した

2021年東日本実業団800mから

ハーフマラソンで日本人最高の5位に入った吉川は中京大を卒業後、ユタカ技研、資生堂、ユニクロと実業団を渡り歩いた苦労人。一時は引退が頭を過った事もあったようだが、ユニクロでの競技継続の道を選んだ。
資生堂時代までは1500mを主戦場としていたが、ユニクロ移籍後はそれまでにも取り組んでいた3000m障害に軸足を移して競技者としての幅を拡げ、昨年12月の日本選手権長距離の3000m障害では自身初の10分切りとなる9分58秒12で6位と健闘した。

今年の5月に国立競技場で行われた五輪テスト大会、WAコンチネンタルツアーゴールドでは、五輪出場を目指し、参加標準記録とWAランキングポイントの上積みを狙って、レース序盤から飛び出しを見せた九電工のチェプケモイを日本人選手では唯一追い掛ける積極的なレースを見せていた。6月の日本選手権で10分07秒69の8位に敗れ五輪代表には手が届かなかったが、スピード強化を図るために出場した東日本実業団選手権800mと1500mで自己ベスト、夏のホクレンでは10000m、9月の全日本実業団選手権5000mでも自己ベストを出し、3000m障害で五輪を目指して行った様々なトレーニングが身になっている事が結果となって現れ、一段階レベルアップを果たしたように映る。

中距離路線を歩んでいたため、2016年に1度走ったのみだったハーフマラソンも、ユニクロ移籍後は4年振りの挑戦だった昨年1月の大阪ハーフを1時間10分29秒で走り切って優勝を飾り、今年2月の全日本実業団山口ハーフでも1時間10分23秒にベストタイムを更新して6位に入るなど、距離対応への不安を払拭していた。

これまで派手な活躍にこそ恵まれていなかったが、800mからハーフまでを国内トップレベルでオールマイティにこなす隠れた実力者が、岡山で一つ大きな実績を残した。来年も競技の本線はおそらく3000m障害と思われるが、今大会で存在感を示した事によって、或いは遅ればせながらのフルマラソンデビューで結果を残し、一躍脚光を浴びるような事もあるかもしれない。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

記事への感想お待ちしております!twitterもやっています。是非フォローおねがいします!(https://twitter.com/ATHLETE__news

第40回山陽女子ロードレース大会
有森裕子杯 ハーフマラソン
①Z・フーサン(デンソー)1:09:31
②D・ブルカ(デンソー)1:09:31
③キプケモイ・J(九電工)1:09:38
④O・D・ニャボケ(ユー・エス・イー)1:09:47
⑤吉川侑美(ユニクロ)1:10:07
⑥M・マータ(キャノン)1:10:18
⑦大森菜月(ダイハツ)1:10:18
⑧安藤友香(ワコール)1:10:28
⑨渡邉桃子(天満屋)1:10:43
⑩坪倉琴美(ワコール)1:11:02
⑪阿部有香里(しまむら)1:11:05
⑫田中華絵(第一生命グループ)1:11:08
⑬池田千晴(日立)1:11:10
⑭竹山楓菜(ダイハツ)1:11:16
⑮原田紋里(第一生命グループ)1:11:18
⑯中野円花(岩谷産業)1:11:18
⑰棚池穂乃香(大塚製薬)1:11:28
⑱松田杏奈(デンソー)1:11:29
⑲逸木和香菜(九電工)1:11:36
⑳松下菜摘(天満屋)1:11:41

20位以降の主な選手
㉑谷本観月(天満屋)1:11:59、㉒清田真央(スズキAC)1:12:31、㉓山中柚乃(愛媛銀行)1:12:43、㉖池満綾乃(鹿児島銀行)1:12:53、㉗兼重志帆(GRlab関東)1:12:57、㉘中尾有梨沙(メモリード)1:13:06、㉛和久夢来(ユニバーサルエンターテインメント)1:13:39、㊷小笠原朱里(デンソー)1:14:59、㊾伊藤舞(大塚製薬)1:16:07

人見絹枝杯 10㎞(8位まで)
①A・ムカリ(京セラ)31:11
②K・N・ムッソーニ(ユニバーサルエンターテインメント)31:15
③J・ニーヴァ(倉敷高)31:21
④森智香子(積水化学)32:41
⑤林田美咲(九電工)32:45
⑥小井戸涼(日立)32:46
⑦大東優奈(天満屋)33:01
⑧兼友良夏(京セラ)33:03

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close