泉谷駿介、寺田明日香ら東京五輪代表選手がオレゴン世界陸上へ向けて始動!第105回日本陸上競技選手権大会・室内競技 2022日本室内陸上競技大阪大会プレビュー

シニアの部が第105回日本陸上競技選手権大会・室内競技として行われ、2022日本室内陸上競技大阪大会が3月12日より二日間の日程で、大阪城ホールにおいて開催される。昨年はシーズン早々ながら、男子100mの多田修平(住友電工)、110mHの泉谷駿介(順天堂大)、100mHの青木益未(七十七銀行)らがこの大会で日本新を出して弾みをつけ、後に五輪代表の座を勝ち取っている。
7月にオレゴンで世界陸上が開催される今年の大会も、東京五輪代表選手を含む国内の有力選手が多く顔を揃え、世界陸上代表へ向けてスタートダッシュを決められるのか、注目される。

■ 男子シニア

男子60mには多田の他、デーデー・ブルーノ(東海大)、坂井隆一郎(大阪ガス)らがエントリー。東京五輪100m代表で国際舞台の経験豊富な多田のシーズン初戦に注目が集まるのは当然として、五輪代表組を脅かさなければならない存在のデーデー、坂井辺りの奮起に期待したい。

デーデーは昨年の日本選手権の100mで山縣亮太(SEIKO)、桐生祥秀(日本生命)を抑えて2位に食い込む波乱を演じたが、故障などもあり勢いを持続できなかったことが悔やまれる。競技歴が浅く、技術的に粗削りな面が競技結果にも表れて不安定ではあるが、国内の選手には少ない馬力型で、飛躍を遂げてもらいたい選手の一人。
坂井も若手中心のメンバーでシレジア世界リレーで4×100mリレー銅メダルメンバーとなったが、そろそろ個人種目でも、跳ね返され続けている五輪代表、世界陸上代表の壁を乗り越えたいところだ。
また2019年のドーハ世界陸上の4×100mリレーで銅メダル獲得に貢献した白石黄良々(セレスポ)はその後故障が多く力を発揮できないレースが続いているが、貴重な世界陸上代表経験者でもあり、今シーズンの復活を望みたい選手だ。

男子60mHは泉谷の他、東京五輪110mH代表の高山峻(ゼンリン)、東京五輪の参加標準記録突破を果たしながら、日本選手権決勝ではフライングに泣いた村竹ラシッド(順天堂大)、村竹同様に日本選手権決勝でフライングを侵し、五輪への最後の勝負に挑む事無く終わった石川周平(富士通)らがエントリー。
東京五輪で僅か0秒03届かず決勝の舞台に立つことが出来なかった泉谷にとっては、世界陸上で宿願を果たすための大事なシーズン初戦となり、昨シーズンを以て引退した東京五輪代表の金井大旺とともに、近年のスプリントハードルを引っ張ってきた高山は、昨年力を発揮しきれない原因となった左肩や背中の故障が癒えているかどうか。
世界陸上代表3枠争いを巡り、村竹、石川にとっては金井の引退によって生じる空席を確実にものにするため、インパクトのあるレースをしたいところだが、野本周成(愛媛県スポーツ協会)、藤井亮汰(三重県スポーツ協会)、横地大雅(法政大学)らも記録を伸ばしてきており、今大会の決勝争いから激しい火花が散りそうだ。
また、400mH東京五輪代表の黒川和樹(法政大学)のエントリーも目を惹き、どのような走りを見せてくれるのか興味深い。

男子走幅跳は東京五輪代表の城山正太郎(ゼンリン)、津波響樹(大塚製薬)がエントリー、共に五輪では本来の力を見せられず、世界陸上代表へ正念場のシーズンスタートだ。
学生の鳥海勇斗(日本大)は昨年の日本インカレで2位に入るなど力をつけており、今大会でも侮りがたい存在だ。
昨年の織田記念で東京五輪6位入賞の橋岡優輝(富士通)を破った小田正樹(ヤマダホールディングス)を含め、8m決着に期待をしたい。

男子三段跳には昨年の日本インカレで17m00を跳び、日本人選手3人目の17mジャンパーとなった伊藤陸(近畿大学工業高専)が出場、世界の舞台へとつながる第一歩を踏み出せるかに注目したい。

男子棒高跳は東京五輪代表の江島雅紀 (富士通)、山本聖途(トヨタ自動車)がエントリー、昨年のこの大会を5m70の好記録で制した石川拓磨(東京海上日動キャリアサービス)、昨年の屋外の日本選手権を5m70で制している竹川倖生(丸元産業)らとのハイレベルな優勝争いが予想される。世界陸上参加標準記録、5m80に少しでも近づいて置きたいところだ。

男子走高跳は東京五輪で決勝に進んだ戸邉直人(JAL)の活躍に引っ張られるように、競技レベルが上がって来ている。
その戸邉や衛藤昴(味の素AGF)の東京五輪代表組の出場はないが、2m31の自己記録を持つ真野友博(九電工)、2m28を跳んでいる赤松諒一(アワーズ)、藤田渓太郎(佐竹食品)、昨年2m27まで記録を伸ばして来た瀬古優斗(滋賀レイクスターズ)らが優勝を争う。
真野は昨年も2m30をクリア、近年高い水準で安定感が有り、世界陸上代表も手に届きそうなところまで迫って来ている。

■ 女子シニア

長年に渡り女子スプリントを牽引してきた福島千里が引退を発表し、新たな時代を担う選手の台頭が望まれる中、女子60mにはその第一候補の兒玉芽生(福岡大)の名前こそないが、4×100mリレーのメンバーとして、オリンピックの舞台で貴重な経験を積んだ鶴田玲美(南九州ファミリーマート)、青山華依(甲南大)、リレーの補員として共に練習を重ね、不測の事態に備えた壹岐いちこ(立命館大)や昨年の大会を制したスタートダッシュの良い三浦愛華(園田学園女子大)らがエントリー。混戦から抜け出す選手は誰か、また出場権を手にしている世界陸上の4×100mリレーメンバー入りへ大きくアピールする新たな選手がでてくるか、期待を込めて見てみたい。

WAランキング上位選手として、寺田明日香(ジャパンクリエイトG)、青木益未(七十七銀行)、木村文子(エディオン)の3人が100mHで東京五輪に出場し、躍進目覚ましい女子スプリントハードル界。60mHには寺田、青木の五輪代表の他、昨年に13秒00まで記録を伸ばした鈴木美帆(長谷川体育施設)、故障から復活しベテラン健在をアピールした清山ちさと(いちご)、一時期の不振から抜け出しつつある福部真子(日本建設工業AC)、社会人2年目となる今期はスランプから脱したい田中佑美(富士通)といった実力者達に、昨年に自己記録を13秒2台にまで伸ばして来た中島ひとみ(長谷川体育施設)、大久保有梨(ユティック)、芝田愛花(環太平洋大)、玉置菜々子(国士館大)、藤原未来(住友電工)も加わり、五輪後に引退を発表した木村の抜ける空席を巡る争いも激化しそうで、この混戦を抜け出して世界陸上候補に名乗りを上げるのは誰になるか、陸上ファンの熱い視線が注がれそうだ。

女子のフィールド種目では、走幅跳の秦澄美鈴(シバタ工業)に注目だ。昨年は4月の兵庫リレーカーニバルで6m65を記録、日本人女子選手としては2013年7月のアジア選手権での桝見咲智子(九電工)の6m55以来8年振りの6m50オーバーでその後の飛躍を感じさせたが、五輪出場へは届かなかった。6m50近辺のジャンプを安定して跳ぶ力は常に見せているが、後もう一押しが欲しいところ。世界陸上の参加標準記録6m82の突破に向けて、手応えを得ておきたいシーズン初戦だ。

三段跳は屋外の日本選手権を三連覇中の森本麻里子(内田建設)に髙島真織子(福岡大)、船田茜理(園田学園女子大)、坂本絵梨(日本室内TC)、内山咲良(東京大)ら13mジャンパーが挑み、走高跳は高橋渚(日本大)、武山玲奈(環太平洋大)の今春大学を卒業する実力者に高校生の伊藤楓(東京高校)、七種競技をメインとする大玉華鈴(日本体育大)らも加わり、混戦となりそうだ。1m80台での決着を見てみたい。棒高跳は安定感の有る那須眞由(籠谷)、4m30の自己ベストを持つ竜田 夏苗(ニッパツ)、室内4m30の記録を持つ諸田実咲(栃木県スポーツ協会)の争いに、大坂谷明里、古林愛理(ともに園田学園女子大)や田中伶奈(香川大)といった伸び盛りの学生陣がどこまで食い込む事が出来るかに注目したい。

またジュニアの部ではU16、U18、U20の選手権が実施され、昨年100mの記録を11秒58まで伸ばして来た藏重みう(中京大中京高)はU20女子60mにエントリー、こうした若い選手たちのパリ五輪やその次のロサンゼルス五輪へ向けての台頭も楽しみだ。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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