GWグランプリシリーズ後半戦、第37回静岡国際陸上競技大会、 第33回ゴールデンゲームズ in のべおか、2022水戸招待陸上のみどころ

ゴールデンウィーク後半に実施される陸上競技の日本グランプリシリーズは静岡国際陸上、ゴールデンゲームズinのべおか、水戸招待陸上の三大会。

第37回静岡国際陸上競技大会

5月3日にエコパスタジアムで開催される第37回静岡国際陸上競技大会では、男女の200m、400m、800m、400mHのトラック種目と、男女円盤投、男子走高跳、棒高跳、女子三段跳のフィールド種目がグランプリとして実施される。

男子トラックは、東京五輪100m代表の小池祐貴(住友電工)、200m代表の飯塚翔太(ミズノ)、山下潤(ANA)、4×400mリレー代表の鈴木碧斗(東洋大)、シレジア世界リレー4×100mリレー代表の鈴木涼太(スズキ)らがエントリーしている200mに注目。2016年のリオ五輪時には代表に選ばれた飯塚、高瀬慧(当時富士通)、藤光謙司(ゼンリン)ら5名が参加標準記録を突破するなど男子100m以上に活況を見せていた種目だったが、長年に渡りこの種目と男子スプリントを引っ張ってきた高瀬、藤光が昨シーズンに引退、世界陸上の参加標準記録は20秒24だが、近年この記録を破っているのは2018年に20秒23をマークした小池、2019年に20秒08をマークしたサニブラウン・ハキーム(TumbleweedTC)のみと、トップクラスの記録が停滞してしまっているような印象を受ける。
やはりこのクラスの記録を出す事が出来なければ世界を相手に対等に戦う事は難しいと思われるがその反面、20秒50にまで自己記録を伸ばした鈴木涼を始め、世界リレー選手権横浜4×400mリレー代表で今大会にも出場する井本佳伸(東京ガスエコモ)ら20秒5から6台の自己記録を持つ選手には厚みが出て来ているので、20秒71の自己ベストを持ち、昨年の日本インカレ100mでは鈴木涼を抑えて優勝し、スピードも付いてきている鈴木碧を含めたこうした選手の中から、ブレイクスルーを果たす選手が現れる事を期待したい。

2021 静岡国際陸上 女子800m

女子は800mに東京五輪1500m8位入賞の田中希実(豊田自動織機)、田中と同じく東京五輪1500m代表の卜部蘭(積水化学)、現役選手の中で最も2分切りに近い、2分00秒92の自己ベストを持つ北村夢(エディオン)、2018年ジャカルタアジア大会800m代表の塩見綾乃(岩谷産業)、400mでも力のある川田朱夏(ニコニコのり)、医師免許をもつ二刀流選手の広田有紀(アルビレックスRC)ら有力選手が揃った。田中は1500mや5000mを戦う上でよりスピードを身に付ける必要性を感じ取り、800mにも力を入れて取り組んで来たが、今年はその800mでも世界陸上代表を狙っていく事を表明している。昨年の静岡国際では北村の後塵を拝したが、昨秋の日体大記録会では2分02秒36まで記録を伸ばし、リベンジの可能性は充分。北村は昨年の春先を好調に過ごしながら、五輪選考会の日本選手権の直前からアキレス腱に不安が出て本来の力を発揮する事が出来ず、復調を期して臨むシーズン。このところ1500mに注力しているが、卜部はかつて800mで日本選手権を制した事も有り、自己記録は田中と同じ2分02秒台、この種目に関してはラストスパートの切れ味は田中を上回る。今期好調なスタートを切った広田や社会人1年目となった塩見、川田も合わせて、2分切りを視野に入れた積極的なレースを見せてもらいたい。

2021 静岡国際 男子800m

その他男子400mHには東京五輪代表の黒川和樹(法政大)、山内大夢(東邦銀行)、800mには日本記録を分け合っている川元奨(スズキ)、 源裕貴(NTN)がエントリー、世界陸上参加標準記録突破を目指す。女子は4月24日の出雲陸上のウォームアップレースで後に行われたGP決勝でも上回る選手が現れなかった11秒60をマーク、GP300mで優勝を果たした、200mと400mの二種目にエントリーをしている久保山晴菜(今村病院)に注目だ。

フィールド種目、男子走高跳では東京五輪代表の戸邉直人(JAL)、2m31の自己ベストを持つ真野友博(九電工)が世界陸上参加標準記録、2m33のクリアに挑み、女子は先日の織田記念陸上で13m56と日本歴代3位の好記録をマークした森本麻里子(内田建設AC)の更なる記録更新に期待が掛かる。また日本学生個人陸上選手権で優勝し、ワールドユニバーシティゲームズ代表に選ばれた、円盤投の齋藤真希(東京女子体育大)の投擲にも注目したい。

■ 第33回ゴールデンゲームズinのべおか

5月4日はトラック長距離種目に特化した、第33回ゴールデンゲームズinのべおかが宮崎県延岡市の西階総合運動公園陸上競技場で行われる。今年の大会のグランプリ種目は女子3組、男子7組の5000mで、女子5000mC組の18:00スタートを皮切りにナイターでの実施となる。

エディオンディスタンスチャレンジin京都 2021 男子5000m

注目レースは21:05スタートの男子5000mB組で、東京五輪5000m代表の松枝博輝、坂東悠汰(共に富士通)昨年12月のエディオンDCで13分16秒40と、世界陸上参加標準記録にあと3秒まで迫った遠藤日向(住友電工)、同レースで13分19秒96をマークした砂岡拓磨(コニカミノルタ)がエントリー、S・ワイザカ(ヤクルト)、A・キベット(SDホールディングス)、B・コエチ(九電工)ら大挙出場するケニア人実業団選手をペースメーカーに見立てながら、世界陸上参加標準記録の13分13秒50の突破を目指すレースとなる。
このうち松枝、坂東、砂岡は4月29日に行われた織田記念の5000mに出場しており欠場の可能性も有るが、そうなった場合、ケニア人選手と日本人選手で同組でも別のレースをしているような展開となる事が多い種目でも有り、単独走で消耗する事を避けたい遠藤にとっては、却って腹を括ってケニア人選手の集団に付いていく決断が出来るのではないだろうか。無論速いレースの流れの中での細かいペースの上げ下げであったり、スローな展開から一気にペースが上がるといった駆け引きが行われる事が想像できるが、世界を舞台に戦うのであれば避けては通れず、その中でもきっちり高いレベルの記録が求められる段階まで遠藤は達している。この世界陸上参加標準記録突破の絶好の機会を逃す手はない。
今年の箱根駅伝1区で驚異的な区間新を叩き出した吉居大和(中央大)、1500mでU20日本記録を持つ佐藤圭汰(駒澤大)の二人の学生選手は、共に思い切りの良さが持ち味で、怯む事無くケニア人選手たちに挑むレースを見せてもらいたい。

女子は学生個人選手権5000m、木南記念の3000mで優勝し気力の充実が感じられる登り調子の山本有真、仙台育英高のエースとして仙台育英高の全国高校駅伝優勝に貢献した米澤奈々香の出場するA組が20:40にスタート、現状の持ちタイムはまだ開きがあるが、世界陸上参加標準記録の15分10秒にどこまで迫れるかに期待して見てみたい。

2022年水戸招待陸上

5月5日に茨城県・ケーズデンキスタジアム水戸で行われる2022年水戸招待陸上はトラックでは男女の100m、800mが、フィールドでは男女の棒高跳、走高跳、走幅跳、砲丸投、男子の三段跳がグランプリ種目として実施される。5月8日に開かれるセイコーGGPの直前の為、男子のトラック種目ではトップ選手はエントリーを避けてきたが、100mには竹田一平(スズキ)、川上拓也(大阪ガス)、草野誓也(AccelTC)ら代表クラスを追いかける選手や、いぶし銀のベテランがエントリー、取り分け先日の出雲陸上で、スタート良く飛び出して桐生祥秀(日本生命)、多田修平(住友電工)に次ぐ3位に入る健闘を見せた本郷汰樹(名古屋大)は、デーデーブルーノ(セイコー)のように粗削りながらもスケールの大きさを感じさせ、大化けの雰囲気が漂う。

一方女子100mはGGPでの実施がなく、東京五輪4×100mリレー代表の兒玉芽生(ミズノ)、織田記念の100mを制し不振からの復活を遂げた御家瀬緑(住友電工)、室内日本選手権の60mを制した三浦由奈(筑波大)、ベテランの実力者、名倉千晃(NTN)、長期に渡った故障から昨年復活を遂げ、今期も好調を維持する君嶋愛梨沙(土木管理総合試験所)ら一線級が揃い、出場権を獲得している世界陸上4×100mリレーのメンバー入りを意識しあうレースになりそうだ。

フィールドではやはりGGPで実施のない男子棒高跳に五輪三大会連続代表の山本聖途(トヨタ自動車)、東京五輪代表の江島雅紀(富士通)、5m70のPBを持つ竹川倖生(丸元産業)、石川拓磨(東京海上日動CS)ら有力選手が集まり、GGPでも実施される男子走高跳には東京五輪代表の衛藤昂(ULTIMATE)がエントリー、世界陸上参加標準記録の突破を目指す。
走高跳の衛藤は長年支援を受けた味の素AGFから離れ、心機一転のシーズン。GGPで招待されなかった事には悔しさもあると思われ、意地を見せたいところだ。
男子三段跳では昨年に日本人選手3人目となる17mジャンパー(17m00)となった伊藤陸(近畿大工業高専)の再度の17mオーバーにも期待をしたい。
また、世界とはまだまだ力に開きがある種目だが、男子砲丸投のアツオビンジェイソン(福岡大)は、日本学生個人選手権で自己記録を18m42まで一気に伸ばし、目下投擲種目の選手では男女を通じて最も勢いを感じさせる選手だ。この勢いで、18m85の日本記録に留まらない、日本人選手初の19mに突入も夢ではなくなって来ている。

ここまでのところ、昨年の東京五輪でメダリストや入賞者が目標に届かなかった反省から選考会の日本選手権ではなく、本番である世界陸上に選手たちが力を発揮できるピークを持って行くとする日本陸連の方針もあってか、ややゆっくりめの調整となっている選手が多いように思われるが、このGWの終わったあと、新たに世界陸上参加標準記録を突破する選手が現れているのか、答え合わせを楽しみにしたい。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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