日本インカレ熱闘譜 大会初日
ピックアップ①
あの室伏広治が樹立した大会記録71m84まであと45㎝に迫った男子ハンマー投中川達斗と2位となった好敵手、福田翔大の世界への可能性

学生陸上の頂点を賭ける、天皇賜盃第91回日本学生陸上競技対校選手権大会が9月9日、たけびしスタジアムにおいて開幕し、男女1500m、400m、10000m、走幅跳、ハンマー投などの決勝や男女100m予選などが行われた。

トラックの決勝種目では、7月のオレゴン世界陸上男子4×400mリレー代表の中島佑気ジョセフ(東洋大3年)、同じくオレゴン世界陸上男女混合4×400mリレー代表の岩崎立来(大阪体育大4年)、8月に行われたカリU20世界陸上400m代表で、昨年の大会で中島、岩崎を抑えて優勝を果たしている友田真隆(東京理科大学)、7月に45秒92をマークした豊田兼(慶応義塾大2年)ら好メンバーが顔を揃えた男子400mを中島が46秒18で制して今夏の充実ぶりを示し、女子400mは4月の学生個人選手権覇者の森山静穂(福岡大3年)が53秒62の自己新記録で優勝を果たした。

この日注目度の高かった女子10000mは日本歴代3位の30分45秒21を自己ベストに持つ不破聖衣来(拓殖大2年)が故障明けで調整目的の出場だった学生個人選手権5000m以来の久々のレースながら32分55秒31で優勝を果たし、復活を印象づけた。
コロナウィルスの感染により、代表に選ばれていたオレゴン世界陸上10000mで無念の欠場となった小林成美(名城大学4年)は33分32秒91で5位に留まった。
男子10000mはF・ムルワ(創価大4年)が28分36秒70で制し、日本人選最先着は28分49秒45で4位に入った亀田仁一路(関西大3年)で、昨年の上田颯太(当時関西学院大3年)に続いての関西学連所属選手が関東学連勢を抑え切る快走となった。

フィールドでは女子走幅跳優勝の髙良彩花(筑波大4年)6m50、女子ハンマー投を制したU20世界選手権同種目銅メダリスト、村上来花(九州共立大1年)の62m72と二つの大会新が誕生し、競技場は国内がコロナ禍に襲われる以前の2019年以来3年ぶりに詰めかけた大勢の観衆のどよめきに包まれた。

大会ピックアップ①
あの室伏広治が樹立した大会記録71m84まであと45㎝に迫った男子ハンマー投中川達斗と2位となった好敵手、福田翔大の世界への可能性

大会初日に行われた男子ハンマー投は、自己ベスト71m37の福田翔大(日本大学4年)と71m21の中川達斗(九州共立大大学院2年)の71m台の自己記録を持つ二人による優勝争いが繰り広げられた。
自己記録で中川を上回る福田に対し、中川は今年に入って4月の学生個人選手権と織田記念、6月の日本選手権、8月の実学対抗と、顔を合わせた4つの競技会すべてで福田を上回るリザルトを残しているが、直近の実学対抗を除けば大きな差があった訳ではない。
この日は中川が3回目の投擲で70m74と福田に先んじて70mオーバーを見せると、4回目に今度は福田が70m09を投げて追い縋る。そして5回目、中川が福田の自己ベストを2㎝上回る自身のベスト、またアテネ五輪金メダリストの室伏広治が中京大時代の1996年にマークした71m84の大会記録にあと45㎝に迫る71m39を投げて差を拡げ、逆転を許さなかった。

71m39という記録は、次の世界陸上の参加標準記録78m00とはまだ開きがあるが、この夏に行われたオレゴン世界選手権の参加標準記録77m50を有効期間内で実際に突破した選手は15名、またそのオレゴン世陸の予選通過ラインは74m67、決勝12位の記録が73m60と、8位入賞クラスの選手を除けば安定して78mを投げる選手はけして多くはなく、今季のトップリストを見ても世界陸上出場ラインとなる36位の記録は75m66。
73mから76m辺りの記録を持つ選手は30名余りで、3mの間に多数が犇く選手層の厚いボリュームラインとなっているが、この層の記録は近年停滞気味で、そうした面ではこのラインに2mまで迫ってきている中川、福田にも目下の武器である若さから溢れ出てくるようなパワーに技術の洗練が加わるなど、今後の成長次第でチャンスが訪れる事があるかもしれない。
学生大会での対決はこれが最後となるが、世界の舞台への可能性が見え始めた二人のライバル関係に今後も注目だ。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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天皇賜盃 第91回日本学生陸上競技対校選手権大会
初日の決勝結果(8位入賞まで)
トラック競技
女子1500m決勝
①小野汐音(順天堂大④)4:22.75
②尾方唯莉(日本体育大②)4:22.95
③牛 佳慧(拓殖大④)4:23.88
④金澤佳子(東北福祉大④)4:24.98
⑤小暮真緒(順天堂大②)4:25.28[ 4:25.277]
⑥廣田百世(富山大③)4:25.28[ 4:25.280]
⑦柳樂あずみ(名城大①)4:26.95
⑧大河原萌花(名城大①)4:27.63

男子1500m決勝
①飯澤千翔(東海大④)3:45.33
②千守倫央(中央大④)3:46.08
③中野倫希(中央大②)3:46.23
④高橋佑輔(北海道大M①)3:46.50
⑤近藤 亨(明治大④)3:47.00
⑥山﨑優希(広島経済大④)3:47.48
⑦佐藤圭汰(駒澤大①)3:47.61
⑧廣澤優斗(日本体育大④)3:48.16

男子3000m障害決勝
①大吉優亮(帝京大③)8:41.45
②黒田朝日(青山学院大①)8:43.29
③山下悠河(青山学院大③)8:46.43
④花谷そら(福岡大③)8:47.55
⑤諸冨 湧(早稲田大②)8:49.58
⑥山口月暉(日本大①)8:54.27
⑦松村匡悟(筑波大④)8:54.92
⑧山崎 颯(順天堂大①)8:56.86

女子400m決勝
①森山静穂(福岡大③)53.62
②安達茉鈴(園田学園女子大②)53.65
③大島愛梨(中央大④)54.78
④髙島咲季(青山学院大③)55.52
⑤松尾季奈(立命館大④)55.61
⑥須藤美桜(日本体育大③)55.83
⑦井戸アビゲイル風果(甲南大③)55.87
⑧熊谷遥未(法政大③)56.89

男子400m決勝
①中島佑気ジョセフ(東洋大③)46.18
②友田真隆(東京理科大②)46.57
③豊田 兼(慶應義塾大②)46.69
④今泉堅貴(筑波大③)46.79
⑤岩崎立来(大阪体育大④)47.17
⑥竹内彰基(早稲田大③)47.36
⑦中里将基(作新学院大④)47.58
⑧有田詞音(九州共立大①)49.91

女子10000m決勝
①不破聖衣来(拓殖大②)32:55.31
②原田紗希(名城大①)33:09.65
③飛田凜香(立命館大④)33:13.44
④黒田 澪(日本体育大④)33:29.63
⑤小林成美(名城大④)33:32.91
⑥小松優衣(松山大④)33:45.07
⑦北川星瑠(大阪芸術大③)34:02.06
⑧永長里緒(大阪学院大②)34:08.30

男子10000m決勝
①P・ムルワ(創価大④)28:36.70
②B・ムルア(山梨学院大④)28:38.37
③C・ドゥング(日本大④)28:41.11
④亀田仁一路(関西大③)28:49.45
⑤中村唯翔(青山学院大④)28:51.55
⑥伊豫田達弥(順天堂大④)28:58.45
⑦横田俊吾(青山学院大④)29:02.22
⑧中山雄太(日本薬科大④)29:05.35

跳躍競技
女子棒高跳 決勝
①古林愛理(園田学園女子大②)4m10
②大坂谷明里(園田学園女子大②)3m90
③台信 愛(日本体育大③)3m80
③山本亜希(大分大④)3m80
⑤角田ルアニイ(慶應義塾大④)3m80
⑥若松亜美(北海道教育大)北海道3m80
⑦森 陽菜(園田学園女子大③)3m70
⑧塩崎 泉(筑波大④)3m70
⑧髙橋美智子(東京女子体育大②)3m70
⑧若林人生(福岡大①)3m70
※同記録の順位は無効試技の差による

男子走幅跳決勝
①安立雄斗(福岡大④)7m68 +0.3
②松本 陸(信州大④)7m64 +0.9※2nd 7m64 +1.8
③植木雄大(大阪公立大③)7m64 +0.3※2nd 7m62 +0.6
④海鋒泰輝(日本大④)7m62 +1.7
⑤葛西伊吹(鹿屋体育大③)7m57 +0.6
⑥宮部灯哉(順天堂大②)7m51 -0.2※2nd7m47 +0.6
⑦大貫翔哉(日本経済大②)7m51 +0.6※2nd7m29 +0.6
⑧藤田匠海(立命館大④)7m50 +1.7

女子走幅跳決勝
①髙良彩花(筑波大④)6m50 +0.7※大会新
②藤田和音(日本女子体育大M②)6m06 +1.6
③下田有希(日本体育大③)6m03 +0.6
④吉岡里紗(中央大③)6m00 +2.0
⑤小玉葵水(東海大北海道④)5m99 +1.3
⑥岩坂真弥(日本女子体育大④)5m99 +1.4
⑦北田莉亜(関西学院大③)5m99 +1.0
⑧中尾優花(福岡大①)5m89 +1.3

男子棒高跳決勝
①石丸颯太(順天堂大M②)5m40
②古澤一生(筑波大②)5m30
③柄澤智哉(日本体育大②)5m30
④内山朋也(筑波大M②)5m30
⑤三戸田湧司(関西学院大④)5m20
⑥大﨑洋介(日本体育大④)5m20
⑦小林 拓己(育英大③)5m10
⑦水谷 翼(福岡大②)5m10
※同記録の順位は無効試技の差による

投擲競技
男子やり投 決勝
①鈴木 凜(九州共立大②)72m15
②福岡 駿(順天堂大④)72m07
③山田隼人(九州共立大②)71m72
④秦 康太(大阪体育大④)71m46
⑤谷川 颯(日本大③)69m63
⑥吉野壱圭(九州共立大②)68m56
⑦水落慶吾(金沢大③)68m22
⑧櫻井優真(4)(環太平洋大④)67m90

男子ハンマー投決勝
①中川達斗(九州共立大M②)71m39
②福田翔大(日本大④)70m09
③小田航平(九州共立大M①)67m17
④佐々木秀斗(岐阜協立大④)66m75
⑤垂井祐志(四国学院大①)64m19
⑥迫田 力哉(日本大②)63m94
⑦山川滉心(中京大③)63m69
⑧石坂奨真(順天堂大④)63m52

女子ハンマー投決勝
①村上来花(九州共立大①)62m72※大会新
②渡邉ももこ(筑波大④)61m15
③西村 南(京都産業大③)59m17
④奥村梨里佳(九州共立大③)59m00
⑤勝冶玲海(九州共立大③)57m70
⑥中務真衣(東海大④)56m53
⑦奥井小晴(立命館大④)55m31
⑧五十川利心(大阪体育大③)55m30

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