防府読売マラソン、福岡国際マラソン直前!まずはこの秋の海外マラソンを振り返り、MGCシリーズの現状をおさらいしてみる

師走を迎え、2022年も残すところあと一月となったが、国内のマラソンシーズンはここからが本番。
来年秋に予定されるパリオリンピック日本代表選考会、MGCの出場権獲得へ向けては残り少なく、未獲得の選手にはどのレースを選択するか、といった戦略も重要になるものと考えられる。
ここではまず冬のマラソンシーズンを目前に控え、この秋WMMシリーズなど海外マラソンに挑戦した選手の結果をまとめて振り返っておきたい。まずは男子編。

9月25日 2022ベルリンマラソン
7)其田健也(JR東日本)2:07:14
8)丸山竜也(トヨタ自動車)2:07:50※MGC出場権獲得
9)聞谷賢人(トヨタ紡織)2:07:56
12)土井大輔(黒崎播磨)2:09:40
13)武田凜太郎(ヤクルト)2:10:18※MGC出場権獲得
14)野中優志(大阪ガス)2:10:27
15)松村優樹(Honda)2:10:29
17)足羽純実(Honda)2:11:39
18)高久 龍(ヤクルト)2:11:41
25)井上大仁 (三菱重工)2:14:09
31)平田幸四郎(SGホールディングス)2:15:22
33)中村風馬(富士通)2:15:43
41)一色恭志(GMOインターネットグループ)2:17:57
50)川端千都(SGホールディングス)2:20:13
60)村本一樹(住友電工)2:22:28

E・キプチョゲ(ケニア)により世界記録が2時間01分09に更新されたベルリンマラソン。
2時間6分台のタイムを2度記録している井上が、果敢に世界記録を目指す先頭集団に付こうと試みたものの敵わず、この間のハイペースが響いて30㎞以降をまとめ切ることが出来なかったが、挑戦そのものに意義のあったレースだったのではないだろうか。
日本人選手トップの其田は1㎞2分58秒ペースの集団でレースを進め、前半ハーフを1時間2分55秒で通過。25㎞以降は少しずつペースを落としたが落ち込みを最小限にまとめて自己記録を更新。3月の東京マラソンと2レース続けて2時間7分台と安定感は抜群でパリ五輪代表の有力候補の一人と言ってよいだろう。
日本人2番手でゴールしたのは廃部となった八千代工業からトヨタ自動車に移籍した丸山。前半は高久ら出場した日本人選手が最も多く選択した3分2秒ペースでレースを進め、ハーフ通過は1時間4分05秒。ここから30㎞までは1㎞3分を切るペースに上げて、35㎞からの5㎞でペースを落としたものの40㎞以降のタイムはキプチョゲの6分16秒、2時間6分28秒で3位に入ったT・アバテ(エチオピア)の6分25秒に次ぐ参加選手中3番手となる6分33秒にまで上げるラストスパートを見せて後半ハーフは1時間3分45秒と前半ハーフより速いネガティブスプリットで2時間8分を切り、規定によりワイルドカードでのMGC出場権を獲得。2020年の防府読売マラソンでは40㎞以降を6分14秒で走破した事もある丸山だが、国内レースとは勝手が違い、よりタフな海外のレースでも通用するだけのラストの強さを見せた。

日本人三番手の聞谷も自身通算3度目、東京マラソンに続く7分台と海外レースでも容易に崩れない抜群の安定感と調整力の高さを示したが、6分台、5分台を目指して欲しい選手。更に上を目指すために欠けているのは爆発力だろうか。
日本人選手で5番手に入った武田は2時間8分48秒を記録した大阪マラソンと二レースの平均が2時間10分00秒を切り、こちらも規定によりワイルドカードでMGC出場権を獲得。その一方で大阪マラソンで2時間10分56秒だった土井はサブテンをマークしながら二本平均のワイルドカード規定に36秒届かず、やはり大阪で2時間9分45秒の松村、2時間9分57秒の野中も松村があと14秒、野中が24秒とあと一歩というところでMGC出場権獲得がならなかった。

10月2日 2022ロンドンマラソン
11)二岡康平(中電工)2:14:18
13)岡本直己(中国電力)2:15:05
18)相葉直紀(中電工)2:22:45

出場を予定していた日本記録保持者の鈴木健吾(Honda)はコンディションが整わず欠場。前回の東京五輪選考会に続きMGC出場権を得ているベテラン岡本、やはりMGC出場権を獲得している10000m27分台を持つスピードタイプの相葉に加え、このレースで2時間10分46秒以内にゴールすれば二レース平均2時間10分00秒以内のワイルドカード規定でMGC出場権を得る事が出来る2019年ドーハ世界陸上代表の二岡が出場。
序盤は岡本、相葉が1㎞3分から3分2秒ペースの第2集団、二岡が3分4秒ペースの第3集団でレースを進めたが、15㎞過ぎに岡本が、20㎞手前では相葉も二岡のいる集団に吸収され、岡本はこの集団からも遅れた。
ハーフの通過タイムは、二岡、相葉が1時間4分53秒のサブテンがどうかというペース、岡本の通過1時間5分11秒。
二岡、相葉とも30㎞までに第3集団から遅れ、相葉は二岡からも離されたが岡本が二岡に追いついた。35㎞では岡本が二岡を引き離し8秒の差を付けたが以降ペースを落とし、最終的に二岡に再逆転を許した。
その二岡もMGC出場権獲得ラインには3分以上及ばず、相葉は後半でタイムを大きく落とし、まとめ切ることが出来なかった。

10月9日 2022シカゴマラソン
6)細谷恭平(黒崎播磨)2:08:05
14)中西亮貴(トーエネック)2:09:59
20)藤曲寛人(トヨタ自動車九州) 2:13:04
23)古賀淳紫(安川電機)2:13:42
DNF 田口雅也(Honda)

既にMGCの出場権を得ている5人が出場、揃って1㎞3分ペースの第2集団からレースを進めたが15k手前で田口が脱落、ハーフを通過後リタイアとなった。他の4人はハーフを1時間3分45秒の2時間7分半ばのペースで通過、ここから底力を見せたのは昨年のラストびわ湖で30㎞以降猛烈な追い上げで2時間6分35秒を記録して3位に入った細谷で、ペースの落ち込みを最小限に食い止めながら、先頭集団から零れた選手を抜いて行き、40㎞以降はほぼ1㎞3分ペースに戻す6分38秒で走破、6位入賞を果たした。初マラソンだった今年の別大で2時間8分51秒の6位に入りMGC出場権を獲得した中西はぎりぎりだがサブテンでまとめる及第点の走り、同じく別大で初マラソンながら2時間8分30秒と好走した古賀は35㎞までは8分台を狙える位置にいながらペースを落とし、直近2回のフルマラソンで立て続けに2時間8分台を記録しながら力を出し切れなかった藤曲と共に後半に課題を残す結果となった。

10月16日 2022アムステルダムマラソン
21)大六野秀畝(旭化成)2:12:39
24)富安 央(愛三工業)2:15:24
DNF 佐藤悠基(SDホールディングス)

大阪マラソンで2大会連続のMGC出場権を手にした佐藤が2時間4分台を目指す先頭集団で勝負を挑み、20㎞までに先頭集団から遅れるもハーフは1時間3分11秒と2時間6分台前半も狙えるペースで通過、しかしながら直近5㎞のペースは大きく落ち込んでいた。その後30㎞を過ぎてから膝に痛みが生じたために途中棄権となった。
2時間7分12秒の自己記録を持つも、昨年12月の福岡では2時間13分45秒で18位、2月の別大マラソンでは2時間10分11秒で10位に留まってMGC出場権獲得を逃し、2時間9分49秒以内が必要だった大六野、東京マラソンで2時間8分55秒と好走し、2時間11分05秒以内で走れば二レース平均のワイルドカード規定に届いた富安の二人は、いずれもこの大会でのMGC出場を決める事が出来なかった。

11月2日 ニューヨークシティマラソン
5)大迫 傑(Nike)2:11:31
6)鎧坂哲哉(旭化成)2:12:12

東京五輪で6位入賞を果たした大迫の一時引退からのフルマラソン復帰レースは、2時間4分51秒のベストタイムを持つブラジルのD・ド・ナシメントが序盤から世界記録更新もあるかというハイペースでかっ飛ばして後続を大きく引き離し、自重した後続集団は先頭に押し出されて力を使わされることを嫌って互いに牽制し合う難しい展開となった。
ド・ナシメントのハーフ通過は1時間1分22秒、大迫は東京五輪銀メダリストでオランダのA・ナギーエら追走集団の中で1時間3分35秒での通過、鎧坂は集団から8秒遅れで通過した。
20kmからの5㎞のスプリットは15分40秒とペースが上がった訳ではなかったが、大迫はずるずると後退し始め、変わって追いついてきた鎧坂が集団の後方に一旦は取りついた。
大迫は25㎞からの5kmを15分29秒とやや持ち直すが、追走集団から抜け出したケニアのE・チェベトがこの間のスプリットを14分台に上げたため大きく水を開けられ、鎧坂にも18秒の差を付けられる苦しい走り。
トップを快走していたド・ナシメントだったが、ハーフ以降は流石にタイムを落とし、30㎞過ぎには明らかに足が思うように進まない低血糖状態に陥ったような動きに変わり、32㎞を過ぎたところで突然倒れこみそのままリタイアとなった。
このアクシデントでトップに立ったチェベトが小刻みなアップダウンのある30㎞以降もしっかりとまとめて2時間8分41秒で優勝を果たし、35km過ぎに再び鎧坂の前に出た大迫は5位入賞、鎧坂は大迫と41秒差の6位でのゴールとなった。
大迫の結果に関しては、2時間8分を切ってのMGC出場権獲得の期待も高かっただけに評価の難しいところではあるが、久々のフルマラソンがWMMシリーズの中ではタイムの出にくいコースの上、優勝のチェベトでも2時間8分台半ばのタイムと難しい展開となったことを考えれば、実戦の感覚を取り戻し、次の機会に期待が出来る内容でまとめることはできたのではないだろうか。
2月の別大で2度目のフルマラソンで2時間7分55秒をマークしてMGC出場権を得たトラックの実績が豊富な鎧坂も、マラソン本格転向2戦目ながらレースが大きく動いたハーフ過ぎではしっかりと前を追う事が出来ており、後半はやや疲れが出たが、30㎞までは淡々と進むことが多い国内レースとはまた違った駆け引きの伴う貴重な経験を積めたことが今後のプラスに働くものと期待している。

ここまで振り返ってきたように、この秋の海外マラソンへの挑戦で新たに誕生したMGC出場権獲得者は2名と、日本男子マラソン界に大きな果実を齎したとまでは言えない結果となったが、それでも27名に上る選手が国内を飛び出し、海外のトップランナーに勝負を挑むことが出来たことそのものが、これまでにない進歩であり、その中で2時間7分台を記録した選手が3名、8位以内の入賞が5名現れたのは、国内のレースでなければ力を発揮できない内弁慶の評価を改める可能性のある選手が、大迫以外にも増えつつあることを示しているだろう。

現在のところ、MGC出場権の獲得者は35名を数え、前回の東京五輪に向けてのMGC出場権獲得者の31名を、シリーズの実施期間が短いにも関わらず既に4名上回っている。
ここからどこまで上積みができるのか、残り少ないチャンスを物にできるのは誰か、新星の出現はあるのか、12月4日、同日に行われる第53回防府読売マラソンとスポンサーが変わり装いを新たに再出発する2022福岡国際マラソンが、次の闘いの舞台となる。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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