ハーフマラソンはZ・フーサンの三連覇なるか、昨年日本人選手最上位の𠮷川侑美にも注目!第41回山陽ロードレース大会の展望

第41回山陽ロードレース大会が12月18日、有森裕子杯ハーフマラソンと人見絹枝杯10㎞ロードレースの二つの部門で岡山・シティーライトスタジアムを発着点とし、岡山市街地を周回するコースにおいて行われる。
同大会のハーフマラソンは年明けに開催される大阪国際女子マラソンや名古屋ウィメンズマラソンのステップレースの一つとして重要であり、また将来フルマラソンへの挑戦へ向け、若い選手が初めてハーフに挑む登竜門としての役割も担っている。
今年も実業団の有力選手に若手選手、大学生に国内実業団に所属するケニア人選手らが多数エントリーし、師走の岡山を駆け抜ける。

レースの主導権を握るのは、2020年の第39回大会から二連覇中で大会史上初の三連覇を狙うZ・フーサン(デンソー)、今年2月のの全日本実業団ハーフを1時間07分56秒の好タイムで制したO・D・ニャボケ(ユー・エス・イー)、国内で行われる様々なトラックレースでペースメーカー役を担い、日本人選手の競技レベル向上への貢献度も高いM・アキドル(コモディイイダ)、H・エカラレ(豊田自動織機)らケニア人選手となるが、日本人選手がどこまで加わり、優勝争いに割って入れるかに注目したい。

筆頭候補は昨年の大会で1時間10分07秒をマークして日本人選手最高順位の5位でゴールした𠮷川侑美(ユニクロ)。中京大を卒業以降所属先を変えながら実業団選手としての競技も10年目、当初は1500mなど中距離の印象が強く、近年は3000m障害を主戦場としていたが、一昨年の大阪ハーフで4年ぶりのハーフを1時間10分26秒で制すと、昨年の実業団ハーフは1時間10分23秒で6位、そして昨年の山陽ハーフで日本人選手トップと、ハーフの距離でも素晴らしい安定感を見せている。昨年も1500m、5000mや10000mで自己記録を更新してなお且つハーフの自己記録を山陽ハーフで更新してみせたが、今季も5月の日本選手権で32分18秒01の自己記録で7位入賞、9月の全日本実業団選手権では5000mの自己記録を更新、1500mでは自己記録には僅かに届かなかったものの4分15秒21の好記録で7位入賞、クイーンズ駅伝でも5区10㎞を担い、今をときめく五島莉乃(資生堂)、細田あい(エディオン)に次ぐ区間3位の32分54秒で走り切るなど好調を維持、若手選手以上に勢いがあり、特にユニクロに移ってからの充実ぶりには目を瞠る。現状1時間9分台で走る力は充分身に着けており、ここまで来たらハーフのその先も見てみたい、そう思わせてくれる選手だ。

リオ五輪マラソン代表には1秒届かず、東京五輪マラソン代表選考会のMGCでは代表内定を得られる2位に4秒差の3位と、あと僅かに迫りながら手中に出来なかった五輪代表への最期の挑戦となるMGC出場権獲得へ向けたシーズンとなる小原怜(天満屋)は、10月のプリンセス駅伝の1区で区間2位と好走を見せていたが、クイーンズ駅伝ではメンバーから外れており、今大会の出場はコンディションの回復次第と思われる。

その小原の記録を1秒上回るエントリー選手中1番のハーフ自己記録、1時間09分16秒を誇るのが池満綾乃(鹿児島銀行)。2019年の大阪国際女子マラソンで2時間26分07秒をマークして日本人6位となり、東京五輪マラソン代表選考会のMGCへの出場権を得たがドーハ世界陸上の代表を選択、本番では湿気と暑さに苦しみ途中棄権に終わり、再起を賭けた2020年の実業団ハーフで3位となった時の記録だが、以降はなかなか思うようなレースが出来ておらず、パリ五輪代表を巡るMGC出場権も獲得できていない。年明けのフルマラソンでその出場権をものにするための手応えを得ておきたい。

このレースをMGC出場権獲得へのステップとしたいのは、池満と同様にドーハ世界陸上マラソン代表を選び、入賞には届かなかったが11位と健闘した中野円花(岩谷産業)も同様。当時の所属のノーリツから岩谷産業へ移り、今季は5月の日本選手権10000mで32分13秒01の自己記録をマークするなどスピードも向上してきていたが、この秋はプリンセス駅伝、クイーンズ駅伝ともメンバーから外れており、小原同様に出否の判断はコンディション次第だろう。

MGC出場権未獲得組では、3月の名古屋ウィメンズで2時間26分50秒をマークしながら日本人選手7位と順位で一つMGC出場圏に届かなかった池田千鶴(日立)、8月の北海道マラソンで2位と健闘しながらタイムで及ばなかった青木奈波(岩谷産業)も、再挑戦へ向けてしっかりと結果を出しておきたいレースで、今年の大阪ハーフを1時間10分21秒で制している足立由真(京セラ)も出場権を得るための弾みとしたいところ。

一方MGC出場権獲得組では、竹本香奈子(ダイハツ)、岩出怜亜(デンソー)がこの秋海外マラソンに挑み、竹本がベルリンマラソンで2時間28分15秒で20位、、岩出はロンドンマラソンで途中棄権と不本意な結果となっており、来年10月15日に東京で開催と決まったMGC本番を見据えながら、立て直しを図る第一歩のレースとなる。

また若手では今期はなかなか結果が出せていないが、一昨年の大会で1時間10分25秒で5位に入っている小笠原朱里(デンソー)、7月の士別ハーフで7位となっている枚田茉優(ワコール)に期待を掛けたい。

女子10㎞ロードも、倉敷高校時代からの三連覇を狙うA・ムカリ(京セラ)、K・N・ムッソーニ(ユニバーサルエンターテインメント)、K・タビタジェリ(三井住友海上)らケニア人実業団選手が中心となるが、今年の大阪国際女子マラソンでMGC出場権を獲得後、この秋ニューヨークシティマラソンに挑戦し、帰国後もクイーンズ駅伝1区を走るなど、貪欲な姿勢でレースに挑んでいる上杉真穂(スターツ)のレースぶりに注目をしたい。

当日のシティライトスタジアムでは午前10時にハーフマラソンの、その15分後には10㎞ロードの号砲が響き、それぞれの闘いの幕が上がる。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

記事への感想お待ちしております!twitterもやっています。是非フォローおねがいします!(https://twitter.com/ATHLETE__news

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close