第41回山陽ロードレース大会が12月18日、岡山市・シティーライトスタジアムを発着点に行われ、有森裕子杯ハーフマラソンをM・アキドル(コモディイイダ/ケニア)が1時間11分19秒で制し、1秒差の2位にJ・キプケモイ(九電工/ケニア)が続いた。大会三連覇を目指したZ・フーサン(デンソー/エチオピア)は1時間11分25秒で4位だった。 1時間12分01秒で6位に入った唐沢ゆり(九電工)が日本人選手最先着となり、昨年の大会で日本人選手トップでゴールした𠮷川侑美(ユニクロ)は1時間12分32秒の全体7位。 また、人見絹枝杯10㎞ロードはA・カムリ(京セラ/ケニア)が31分56秒で制し、倉敷高校3年生だった2020年の第39回大会からの三連覇を達成。日本人選手最先着は33分14秒で4位に入った林田美咲(九電工)で、MGC出場権を獲得している上杉真穂(スターツ)は33分21秒の6位でのゴールとなった。
スタート時の気温が5度と例年に比べかなり冷え込んだ影響もあったのか、レースはアキドルら5人のケニア人実業団選手の先頭集団の5㎞通過が17分04秒とハーフとしてはスローペースの出足となったが、それでもこの集団に付く日本人選手は無く、MGC出場権を獲得している竹本香奈子(ダイハツ)ら13人の第二集団が10秒遅れて5㎞を通過。先頭集団の10㎞通過も34分14秒と上がらなかったが、第二集団は34分56秒と差を詰めるどころか大きく離され、後ろから追ってきた和久夢来(ユニバーサルエンターテインメント)ら9人の第三集団が3秒ほどに迫り、20人以上の大集団に。日本人選手にとって17分40秒台にまでペースが落ちてしまったこの5㎞は非常に勿体なかったのではないだろうか。次の5㎞では16分57秒にペースを上げた唐沢が日本人集団から抜け出し、15㎞からの5㎞は16分32秒と出場全選手中最速タイムをマークしてそのまま押し切り、日本人選手トップとなる1時間12分01秒の6位でゴールに飛び込んだ。
唐沢は日本体育大卒5年目の選手で10000mのベストタイムは学生時にマークした32分40秒57と32分台を持っていたが、九電工入社以降はなかなか自己記録を更新できていなかった。クイーンズ駅伝では2区3.3kmを区間8位と距離の短い区間ながら健闘を見せ、12月10日のエディオンDCでは5000mに出場15分48秒39と自身8年ぶりの15分台をマークと調子を上げてきていた。今回のハーフマラソンでもスローペースだったとは言え、終盤の15㎞からの5㎞を全選手最速で走る事はなかなか出来るものではなく、今後の飛躍のきっかけを掴んだのではないだろうか。
日本人2番手でゴールした𠮷川や、1時間12分48秒の11位に入った池田千晴(日立)はその後来年1月29日に行われる大阪国際女子に招待選手として出場することが発表されており、そちらへピークを合わせるために余力を残しつつ刺激を入れる良い調整が出来たものと思われる。
𠮷川は初マラソンとなり、池田はMGC獲得へ向けた勝負のレースとなるが、積極的な走りを見せてもらいたい。
ハーフで優勝を果たしたアキドルは、この前週に世界陸上の参加標準記録を目指すレースとなったエディオンDCの5000mでペースメーカー役を担っていたように、国内の多くのレースでPMを務めながら力を付け、11月の日体大記録会では14分44秒83とブダペスト世界陸上の標準記録突破も果たした。初のハーフはスローペースとなったなか、きっちり勝ち切って力を示したが、日本人選手が決して敵わないタイムではなかっただけに、このレースに出場した目的や意図はさまざまにあったのかもしれないが、勝負を挑もうとする選手が現れなかったのは残念だった。
10㎞ロードで日本人選手トップとなった林田美咲(九電工)は今季10000mで32分39秒79の自己ベストをマークし、またクイーンズ駅伝の1区で8位となるなどトラック、ロード共に力を付けてきており、どのレースでも積極的に前半から集団を引っ張る姿勢を見せ、このレースでも林田に続く日本人選手2番手の33分18秒をマークした川村楓(岩谷産業)と共に、来年はここからの更なるステップアップを期待したい。
また既にMGC出場権を獲得している上杉は33分21秒で日本人三番手でゴール、11月2日はニューヨークシティマラソンに挑戦し、クイーンズ駅伝でも1区を走ったが、レース間隔の詰まった中でもしっかりと10㎞をまとめた辺りに力のほどと意気込みが伺え、招待を受けた大阪国際女子マラソンへ向けての調整に抜かりはないようだ。優勝を手土産に堂々とMGCへと迎う事ができるか、期待が膨らむ。
文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)
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第41回山陽女子ロードレース大会
有森裕子杯 ハーフマラソン
①M・アキドル(コモディイイダ)1:11:19
②J・キプケモイ(九電工)1:11:20
③D・ブルカ(デンソー)1:11:21
④Z・フーサン(デンソー)1:11:25
⑤W・ジェロティッチ(九電工)1:11:48
⑥唐沢ゆり(九電工)1:12:01
⑦𠮷川侑美(ユニクロ)1:12:32
⑧小井戸(日立)1:12:34
⑨池内彩乃(デンソー)1:12:45
⑩小笠原朱里(デンソー)1:12:46
⑪池田千晴(日立)1:12:48
⑫大塚英梨子(キヤノン)1:12:55
⑬青木奈波(岩谷産業)1:12:55
⑭竹本香奈子(ダイハツ)1:13:11
⑮棚池穂乃香(大塚製薬)1:13:14
⑯村尾綾香(ダイハツ)1:13:15
⑰豊田由希(愛媛銀行)1:13:19
⑱藤村晶菜(ノーリツ)1:13:35
⑲清水美穂(ホクレン)1:13:45
⑳堀江美里(シスメックス)1:13:47
※21位以降の主な選手
㉖岡田唯(大塚製薬)1:14:36、㉗平島美来(ユニクロ)1:15:09 、㉘西原加純(シスメックス)1:15:11、㉝ 菊地優子(ホクレン)1:15:51、㉞和久夢来(ユニバーサルエンターテインメント)1:15:58
第41回山陽女子ロードレース大会
人見絹枝杯10㎞ロードレース
①A・ムカリ(京セラ)31:56
②K・タビタ ジェリ(三井住友海上)31:59
③J・ニーヴァ(倉敷高校)32:00
④林田美咲(九電工)33:14
⑤川村 楓(岩谷産業)33:18
⑥上杉真穂(スターツ)33:21
⑦兼友良夏(京セラ)33:27
⑧K・N・ムッソーニ(ユニバーサルエンターテインメント)33:41
⑨花房百伽(九電工)33:52
⑩佐々木芽衣(日立)33:53
⑪竹原さくら(ダイソー)33:53
⑫立迫志穂(天満屋)34:04
⑬加藤小雪(ダイソー)34:09
⑭櫻川響晶(第一生命グループ)34:11
⑮北村 遥(スターツ)34:12
⑯髙木結加(ユニバーサルエンターテインメント)34:13
⑰川北陽菜(デンソー)34:14
⑱平村古都(ダイソー)34:14
⑲今泉野乃香(埼玉医科大学グループ)34:16
⑳松井 晶(愛媛銀行)34:22
※21位以降の主な選手
㉑清田真央(スズキAC)34:26、㉖倉岡奈々(鹿児島銀行)34:38、㉙柴田佑希(ダイハツ) 34:43