新年の都大路を47都道府県代表の女子ランナーが駆け抜ける、恒例の皇后杯全国都道府県対抗女子駅伝競走大会が1月15日、たけびしスタジアムを発着点とする9区間42,195㎞のコースで行われる。
女子マラソンが初めて五輪種目として採用されたロサンゼルスオリンピックの前年に、中長距離の女子選手の長期的な育成と強化を目的として始まったこの大会も41回目を数え、その間、有森裕子、高橋尚子、野口みずきら五輪メダリストを筆頭に多くの女子選手がこの大会から世界へと羽ばたいていった。
今年の大会も、東京五輪3000m障害代表の山中柚乃(愛媛・愛媛銀行)、パリオリンピックマラソン代表を争うMGCの出場権を得ている松田瑞生(大阪・ダイハツ)、上杉真穂(千葉・スターツ)、加世田梨花(千葉・ダイハツ) といった日本の女子長距離界をリードするトップ選手たち、そして2028年ロサンゼルスオリンピックで主力を担うであろう多くの中高生選手がエントリーし、各都道府県の代表として皇后杯を争う。
今年の大会は上位のチームの力が拮抗しており、激戦は必至の様相となっている。
地元の熱い声援を背にする京都は、山本釉未、細谷愛子ら、昨年暮れの全国高校駅伝4位入賞の立命館宇治高のメンバーを中心に、立命館大の村松灯、ワコールの若手井手彩乃、柳谷日菜、スターツのベテラン佐藤奈々ら大学、社会人選手を配し昨年に続く連覇と全国最多の19回目の優勝を目指す。
9区を担う事が予想される関西大卒1年目の柳谷は昨年12月のエディオンディスタンスチャレンジの10000mで32分01秒25と自己記録を大幅に更新した現在女子長距離勢のなかでも勢いが感じられるニューヒロイン候補の一人。また短い区間ながらキーポイントとなることも多い中学生選手も3000m9分台のベストを持ち力がある。
京都とは対照的に力の有る大学、社会人選手を中心にメンバーを組んできたのが、神奈川、千葉だ。
神奈川は昨年1500m、5000mで自己記録を大きく更新し頭角を現した若手の信櫻空、12月のエディオンDCの5000mで15分28秒41をマークし復調してきた渡邊菜々美、MGC出場権を持つ森田香織のパナソニック勢に、トラック、ロードともに安定感のある出水田真紀(第一生命グループ)、10000mの自己記録を32分03秒48と31分台目前まで伸ばしてきている佐藤成葉(資生堂)と実業団勢が強力で、千葉も大阪国際女子マラソンを控える上杉、昨年秋のベルリンマラソンで2時間21分55秒をマークした加世田とパリ五輪マラソン代表の有力候補をエントリーし、優勝への本気度を窺わせる。
神奈川は全国高校駅伝5位入賞の白鳳女子高勢、千葉は成田高、市立船橋からのピックアップと高校生も力が有り、優勝争いの中心となりそうだ。
また、全国高校駅伝6位入賞の大阪薫英女学院高のメンバーに加え、アンカーに強力なOG松田が控える大阪や、MGC出場権を持つ大西ひかり(日本郵政グループ)、昨年暮れの山陽女子ロードレースのハーフマラソンで日本人選手トップでゴールした唐沢ゆり(九電工)、大学女子駅伝二冠の名城大の主力選手増渕祐香の大学、社会人勢に高校生も都大路で9位と健闘した順天高のメンバーが揃い、力の有る中学生もいる東京も戦力のバランスが整い、侮れない。
昨年3位の宮城も、杉森心音(仙台育英高)、米澤奈々香(名城大)、佐々木梨七(積水化学)ら当時の主力メンバーが今年もエントリーされ、若い力で連続表彰台を窺う。
長野東高の全国高校駅伝優勝メンバーの名和夏乃子、村岡美玖、窪田舞に、OGで東京五輪代表の萩谷楓や、名城大卒社会人1年目の和田有菜(日本郵政グループ)らが加わる長野も優勝候補の一角と見ていたが、萩谷が区間エントリーから外れ、東京五輪1500m8位の田中希実(豊田自動織機)が区間エントリーを見送った兵庫と共に優勝争いからは一歩後退した感がある。
個人に目を移すと、群馬の不破聖衣来(拓殖大)がエントリーから外れた事は残念だが、愛知の1区に起用される山本有真、富山1区の柳樂あずみの名城大勢や、北海道マラソンでは不本意な結果に終わった、MGC出場権を持つ岡山4区の松下菜摘(天満屋)がどのような走りを見せるのか、といったところも注目してみたい。
ふるさとの期待を背負って襷を繋ぎ、たけびしスタジアムに真っ先に飛び込んでくるチームはどの都道府県か、連覇を狙う京都か、復活を期す千葉、それとも神奈川か、東京の初優勝はあるのか、1月15日午後12時30分、激戦の幕が上がる。
文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)
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