パリ五輪へと続く重要国際大会の初戦!新たにブダペスト世界陸上の切符を確実にする選手は出るか!第25回アジア陸上選手権のみどころ

第25回アジア陸上競技選手権が7月12日から5日間の日程で、タイ・バンコクにて開催される。2021年に開催予定だった中国・杭州大会が新型コロナウィルスの猛威のため中止となっており、2019年のカタール・ドーハ大会以来4年ぶりの実施となる。まずは、日本陸上選手権等の選考会で上位に入った選手を中心に編成された今大会代表選手の顔ぶれを、今期のSBのアジアランキング、WAのスコアリングポイントとランキング、8月に開催されるブダペスト世界陸上の出場資格に関わるRoad to Budapest 23のスコアリングポイントとランキングを付して見て行きたい(下記リンク参照)。尚WAランキングは7月4日付、随時更新されているRoad to Budapest 23は7月10日のものを適用している。

第25回アジア陸上競技選手権 日本代表選手データ (男子)

第25回アジア陸上競技選手権 日本代表選手データ (女子)

個人種目出場のないリレー種目のみ選出の選手も含め、男子40名、女子38名、総勢78名の大規模編成となった。尚、男子走幅跳の橋岡、男子棒高跳の山本の2名は7月10日の段階で、残念ながら故障による代表辞退、欠場となることが明らかになっている。            

今大会の位置付けとしては、アジアチャンピオンを目指すこともさることながら、やはり直近に控えているブダペスト世界陸上に向け、今大会で実施されるトラック&フィールド各種目で、男子では3000m障害の三浦龍司(順天堂大)、110mH泉谷駿介(住友電工)、今大会に出場する高山の3名、そして女子やり投の北口榛花(JAL)を加えた代表内定選手4名から、どれだけ上積みの見込みを得ることが出来るか、ということになるだろう。日本選手権や10000m代表選考会で3位以内に入っている代表選手は、今大会で世界陸上参加標準記録を突破すれば、選考条件を満たすことになる。                            また、WAランキングでの世界陸上出場資格を巡っての争いも現在佳境となっており、五輪や世界選手権のOW、ダイヤモンドリーグファイナルのDF、世界室内選手権や通常のダイヤモンドリーグなどのGWに次ぐ、4番目に高いGLカテゴリに属するエリアチャンピオンシップである今大会は、獲得できるスコアも高く、またブダペスト世界陸上だけでなく、7月1日から資格記録の有効期間に入った来年のパリ五輪に向けても、上位に入って高いスコアをマークすることは大きなアドバンテージと言えるだろう。

既に代表に内定している高山を除き、今大会の代表選手でブダペスト世界陸上出場資格に関わる最新のRoad to Budapest 23のランキングにおいて出場圏内に位置する選手は、男子では100mの坂井、柳田、200mの鵜澤、400mの佐藤拳太郎、5000mの塩尻、遠藤、110mHの横地、400mHの児玉、筒江、3000m障害の青木、走高跳の赤松、走幅跳の城山、やり投のディーン元気、新井の14名、女子では1500mの田中、後藤、5000mの渡邊、山本有真、100mHの寺田、青木、400mHの山本亜美、走幅跳の秦、三段跳の森本、やり投の斎藤、上田の11名。
また、男子200mの上山、400mの佐藤風雅、800mの川元、1500mの河村、10000mの田澤、3000m障害の砂田、走高跳の長谷川、棒高跳の柄澤、三段跳の池畠の9名、女子100mの君嶋、400mの久保山、800mの塩見、400mHの宇都宮、三段跳の髙島、円盤投の斎藤の6名が現在は出場圏外だが各種目のボーダーラインまで30点以内に迫っており、ランキングに反映される既定の試合数に満たないためランキング外となっているが、今大会に出場すれば条件をクリア出来る女子ハンマー投のマッカーサーを加えたこうした選手たちの中から、何名の選手に世界陸上代表当確ランプを灯せるかに、日本陸連のこれまでの取り組みと、今大会での手腕が問われる事となる。
特に男子400mの佐藤風雅はボーダーラインまで5点、3000m障害の砂田が7点、走高跳長谷川が9点、棒高跳の柄澤が8点、女子800mの塩見が6点、400mHの宇都宮が9点、三段跳の髙島が3点と一ケタ代の僅差で出場圏に肉薄しており、昨年のオレゴン大会を経験した佐藤風雅を除き、それぞれが初となる世界陸上代表へ向けて正に試金石となる。
加えて男子の800mや1500m、三段跳、女子の100m、400mといった種目は近年五輪、世界選手権への選手派遣が実現しておらず、森本が出場安全圏内までランクを上げ、開催国枠のあった2007年の大阪大会以外では選手派遣が初めて実現しそうな女子三段跳を含めたこうした種目で代表選手を押し込めるかどうかにも、チームジャパンとしての力が試されるところだろう。また、世界陸上には、同エリアにランキングで上回る選手がいなければという条件付ながら、エリアチャンピオンシップの優勝者も出場資格が与えられるため、現在WAランキングでアジア2位の男子ハンマー投の柏村や、アジアトップの男子十種競技の丸山にとって、今大会での優勝が世界陸上代表の可能性を残すための最低限のミッションとなる。
柏村は自己記録に近い記録での表彰台ならば、ランキングでの出場の目が出てくるかもしれない。

以上の点も踏まえ、今大会は注目選手も多く絞るのはなかなか難しいが、トラック種目では男子100mの坂井、200mの鵜澤、女子1500mの田中、100mHの寺田、青木を挙げておきたい。

いずれの選手もブダペスト世界陸上だけでなくパリ五輪参加標準記録突破の期待が高く、中でも坂井には9秒台での優勝を目指してもらいたい。
田中は先日フィンランドのオウルで女子5000mに出場し、14分53秒60とブダペスト世界陸上参加標準記録を突破して優勝を飾り、日本選手権優勝と合わせこの種目での代表選考条件を満たすと同時に、パリ五輪参加標準記録突破日本人選手の第1号となった。
移動の疲れもあるだろうが、4分3秒50のブダペスト世界陸上参加標準記録、4分2秒50のパリ五輪参加標準記録突破がなるか、注目だ。                       出場選手中唯一のブダペスト世界陸上代表内定選手である男子110mHの高山も、日本選手権後の布勢スプリントで優勝こそ野本周成(愛媛陸協)にさらわれたものの、13秒28の同タイムでの2着とコンディションの良さをキープしており、世界陸上決勝進出に向けて手応えを得て、弾みを付ける大会として欲しい。

フィールド種目では女子走幅跳の秦、三段跳の森本の日本記録更新に期待したい。女子三段跳はおそらく中国勢やウズベキスタンの選手との14m00オーバーでの決着が予想されるが、この争いに世界選手権の出場圏に迫っている髙島も加わって欲しいところ。直近のオールスターナイト陸上で太ももにテーピングを施していたのが少し気懸りだ。

種目に関して言えば、現段階で他国のトップ選手が出場してくるかが明らかではないが、昨年のオレゴン世界陸上でバルシム(カタール)が優勝し、ウ・サンヒョク(韓国)が2位に入った男子走高跳、王嘉男(中国)が優勝を飾り、インドのアルドリン、スリーシャンカルが今シーズンのトップランキングの1位、2位を独占している男子走幅跳は、アジア勢が世界を引っ張りつつあり、こうした選手がエントリーしていれば高いレベルの争いが見られそうで、赤松、長谷川、そして城山の日本勢がどう挑んでいくのかも非常に楽しみだ。

リレーについては、男子の4×400mは既にブダペスト世界選手権の出場権を獲得しており、4×100mも7月23日のダイヤモンドリーグロンドン大会で出場権獲得に挑む方針のため今大会では編成されず、女子の4×100m、4×400m、混合4×400mのエントリーとなった。     7月10日現在、16位までのランキングで出場権を獲得するためのターゲットタイムは、女子4×100mが中国の持つ43秒35、女子4×400mがボツワナの持つ3分28秒89、混合4×400mがケニアの3分14秒64となっており、いずれも日本記録を上回る水準だが、パリ五輪出場へ向けても、少しでも良いタイムをマークしておきたいところだ。                今回は混合マイルで好選手が揃っており、カギを握るのは今シーズン出遅れ気味だった女子の松本だろう。日本選手権からコンディションを上げて、昨年並みにまで持ってきていれば、3分16秒67の日本記録の更新は十分可能だろう。

パリ五輪へ向けて、ブダペスト世界陸上、9月の杭州アジア大会と続々と続く国際大会の口開けとなるアジア陸上選手権。好スタートを切ってのちの大会への弾みを付ける事ができるか。
またそれは、東京五輪を経て、2025年世界陸上で再び東京で世界のトップ選手を迎え入れるホスト国として、選手ばかりでなく指導者、スタッフを含めた日本陸上界の真価の問われる、長い闘いの始まりでも有る。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)

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