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パリ五輪代表への生き残りを賭け、MGCファイナルチャレンジに松田瑞生、前田穂南らが挑む!第43回大阪国際女子マラソンの展望

第43回大阪国際女子マラソンが、1月28日、大阪・ヤンマースタジアム長居を発着点として御堂筋など大阪市内の目抜き通りを駆け抜ける42.195㎞のコースで行われる。       1982年に大阪女子マラソンとして始まって以降、国内女子長距離の強化の一端を担い、五輪代表選考の舞台ともなってきた本大会では、1988年のソウル五輪代表となった宮原美佐子(旭化成)に始まり、1992年バルセロナ五輪の小鴨由水(ダイハツ)、2004年アテネ五輪の坂本直子(天満屋)、2012年ロンドン五輪の重友梨佐(天満屋)、そして2016年リオデジャネイロ五輪の福士加代子(ワコール)の五輪代表を輩出し、選手たちの歓喜の笑顔も、届かなかった多くの選手の悔し涙も受け止めてきたが、パリ五輪イヤーの今年の大会も、昨年10月に行われたMGCで代表に内定した鈴木優花(第一生命グループ)、一山麻緒(資生堂)に続く3人目の代表を争うMGCファイナルチャレンジ指定大会としての実施となった。          設定記録は2時間21分41秒、このタイムを切った最高順位の選手のみが五輪代表争いに生き残り、もうひとつのファイナルチャレンジ指定大会、名古屋ウィメンズを待つことになるサバイバルレースに挑む有力選手は、松田瑞生(ダイハツ)、佐藤早也伽(積水化学)、前田穂南、松下菜摘(ともに天満屋)の4名。

松田瑞生は、東京五輪代表を争った2019年のMGCで4位に敗れたあと、ファイナルチャレンジとして挑んだ2020年の大阪国際女子で設定タイムの2時間22分22秒を破る2時間21分47秒で優勝を果たして代表の切符を掴みかけたが、後に行われた名古屋ウィメンズで当時ワコールに所属していた一山が松田の記録を上回る2時間20分29秒を叩き出した為に最後の最後で譲り渡す結果となり、涙に暮れた。
あの時から早くも3年が経過したが、無念の思いを晴らす舞台として、2018年の初マラソン初優勝の舞台でもある、喜びも悔しさも味わった生まれ育った地、大阪を選んだ。
内定選手に故障などの万が一の事態が発生した際に備える入れ替わり可能な候補選手として準備を進めながら、本番を走ることはなかった東京五輪以降は、2022年オレゴン、2023年ブダペストと世界選手権で二大会連続してマラソン代表となったが、オレゴンではマラソン代表選手がコロナに感染し欠場相次ぐなか唯一人出場を果たしたが9位、ブダペストでは足の故障で直前に十分な練習を積むことが出来ず13位と本来の力を発揮できずに終わっており、これまでと同じ事繰り返しても世界では通用しないと、今回は走り込みや自慢の腹筋の回数を減らすなどレースへのプロセスを大幅に見直して準備に取り組んできたと、記者会見で明かし、目標タイムもファイナルチャレンジ設定記録の2時間21分41秒ではなく、自身が東京五輪代表を逃すこととなった一山の国内最高記録、2時間20分29秒を最低限超える事と答え、パリ五輪への強い思いを滲ませた。
自己記録は2時間20分52秒、特に冬場のマラソンでは最低でも初マラソン時の2時間22分44秒と抜群の安定感を誇るが、いずれのレースでも最終盤に5㎞のスプリットを17分台に落としており、2020年名古屋の一山のように後半ハーフでペースを上げながら最後まで維持できるかが、五輪代表最後の一枠に近づく一つの鍵と見ている。
本人の言葉通り、ニュー松田瑞生の誕生となるか期待をしたい。

佐藤早也伽は昨年の大会では10㎞手前で他選手と接触し転倒、立ち上がってレースを続けたが、20㎞手間で途中棄権。
その影響もあったのか、初の代表として挑んだブダペスト世界陸上では20位と、松田同様に力を発揮しきれずに終わっている。
MGCも松田と同じく回避して挑む今大会は棄権に終わった昨年の分もと、賭ける意気込みは高い。
記者会見では緊張もあったか、その表情は登壇した選手で最も固いように見受けられたが、このレースの目標を問われると「2時間21分」ときっぱりと答え、パリ五輪代表に標準を定め、調整を続けてきた事を伺わせた。
ブダペスト以降は11月末にクイーンズ駅伝の3区10.6㎞を走り、12月の日本選手権10000mを制した廣中瑠梨佳(日本郵政グループ)に続く2位と好走し、調子は上向いてきている。
自己記録は2時間22分13秒と、今大会にエントリーしている日本人選手では松田に次ぎ、5000mは15分08秒72、10000mは31分30秒19といずれも松田の15分46秒40、31分39秒41を凌ぐトラックスピードを誇る。
課題はやはりレース後半にペースを落としてしまう体力面で、前半は極力消耗を避け、後半にスピードを生かせるスパート勝負のできるところまで我慢ができれば勝機も見えてくる。

前田穂南は2019年のMGCでは中間点過ぎから勝負を仕掛けて一騎打ちの様相となっていた鈴木亜由子(日本郵政グループ)を引き離すと、差を拡大する一方の独走で押し切る強さを見せて優勝し、東京五輪代表を手中に収めたが、本番はコロナ禍で1年延期となった調整の難しさや、過酷な暑さにも苦しみ、33位と不本意な結果に終わった。
その五輪後は足底部の故障に悩まされ、レース出場もままならい苦境にも陥ったが、パリ五輪代表選考会のMGC出場権獲得へのラストチャレンジとなった今年の名古屋では、2時間22分32秒の自己ベストで唯一のチャンスをものにする勝負強さを見せた。
2019年に続く優勝の懸かったMGCでは雨足の強い気候コンディションが足底部に古傷のある前田には厳しいものとなり、7位に敗れ二大会連続五輪代表を決めることは叶わなかったが、11月のクイーンズ駅伝では5区10㎞を担い、12月の日本選手権10000mで30分台をマークして2位に入った高島由香(資生堂)、今大会でPMを務める10000m日本記録保持者の新谷仁美(積水化学)に続き、松田と同タイムで3位となっており、こちらもコンディションは上がってきていると見てよいだろう。
公式記者会見では今大会の目標を「アレです」と昨年の流行語大賞となった阪神の優勝になぞらえて答え、松田と同じく地元大阪人であることをアピール。
目標タイムは控えめの自己記録を超えることとし、それ以外に多くを語ることは無かったが、「アレ」と目標を優勝としていること自体が、前田のこのレースに向かうまでの過程における充分な手応えを雄弁に物語っているだろう。

松下菜摘は中学生時にショートトラックスケートの競技経験があり、本格的に陸上に取り組んだんのも大学に入ってからという異色選手だが、2017年の天満屋入社以降着実に力を付け、2021年の名古屋ウィメンズでマラソンデビューを果たすと2時間26分26秒で3位に入り一気に飛躍を遂げた。
翌2022年の大阪国際女子で自己記録を2時間23分05秒に伸ばすと、昨年10月のMGCでは序盤に先頭集団から遅れるも、10km過ぎには集団に追い付いて見せ場を作り、途中折り返しで脚を滑らせて転倒するアクシデントがありながらも粘って5位に踏み止まる健闘を見せている。
会見では五輪代表を争う舞台に立てることが信じられない気持ちと率直に語り、目標も自己ベストを超えることとしていたが、タイムに関して改めて問われると、設定記録の突破もタイミングがあればと上方修正、先頭集団に食らい付き、後半も粘ることが出来ればそのチャンスも出てくるだろう。

パリ五輪代表を争う4人の前に立ちはだかる海外勢は、エチオピアのS・ゴラが欠場となったため、2時間18分51秒とエントリー選手中唯一2時間20分を切る自己ベストを持つエチオピアのW・エデサと、リオ五輪10000mのウガンダ代表で自己ベストは2時間20分23秒のS・チェサンの2人。
チェサンは会見で次の目標はパリ五輪、すでに代表に決まっているとも話しており、五輪本番でも日本人選手とライバルになる選手。
エデサとは日本人選手との間に持ちタイムの開きが有るが、こうした強豪を打ち破ることが出来なければ、五輪代表を勝ち取ることが叶ったとしても、五輪本番での入賞以上の成績を収めることは難しい。                                  レース展開の鍵を握るPMに新谷仁美が起用され、速くはあっても乱高下のない安定したペースを刻むことが見込める事は、打倒アフリカ勢を果たしたい日本人選手にとっては心強く、頼もしい。

また、パリ五輪以降の女子長距離界を担う事が期待されるネクストヒロイン枠の選手では、10000m31分台、ハーフマラソンで1時間10分11秒のの自己記録を持つワコールの柳谷日菜が欠場となったが、昨年の大会で一般参加ながら1時間11分57秒でハーフを折り返し、25㎞手前でMGC出場を目指す第二集団に離されてからも粘って2時間36分54秒をマークした、群馬陸協の登録で競走部所属ではない早稲田大の学生、小林香菜が楽しみな存在だ。

1年で最も寒さの厳しい1月末の浪速の地で、ファイナルチャレンジの設定記録を破り一足先に春を呼び込む選手は現れるのか、第43回大阪国際女子マラソンは12時15分、スタートの時を迎える。

文/芝 笑翔 (Emito SHIBA)                              

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