2022年8月7日。
この年は8月開催となり、慶應義塾大学日吉キャンバス陸上競技場で開催された陸上界の夏の風物詩の一つ、トワイライトゲームスの女子三段跳びで、船田茜理(当時武庫川女子大、現ニコニコのり)が当時の日本歴代2位となる、13m81を記録して優勝を果たした。前年までの自己ベストは13m11、6月の日本選手権で13m46まで記録を伸ばしていたが、13m50にもまだ届いていなかった船田が、2003年8月の関東選手権で当時14m04の日本記録を保持していた花岡麻帆が13m82を記録して以来、日本人女子選手としては19年ぶりに13m80オーバーで止まっていた記録を動かすと、堰を切ったようにその3週間後、日本選手権でこの種目の四連覇を果たしながら自己記録は13m58に留まっていた森本麻里子(当時内田建設、現オリコ)が船田の記録を1㎝上回る13m82を叩き出し、10月の田島記念では更に自己記録を伸ばし13m84とした。
翌年の2023年にはこの動きに髙島真織子(九電工)が加わり、5月の木南記念で13m75を記録すると、6月の日本選手権では13m82と森本に続き、船田の自己記録を1㎝上回った。
この日本選手権で森本は花岡の日本記録を更新する14m16を記録、続くアジア選手権では14m06で優勝を果たし、4位に入った髙島と共にランキングで資格を得てブダペスト世界陸上代表となり、昨年には森本がパリオリンピックにも出場を果たした。
その一方で、国内女子三段跳の競技水準の向上のきっかけとなったはずの船田はその間2023年のシーズンベストが13m54、パリオリンピックイヤーだった昨年は13m53と記録が停滞し、国内のライバル二人に水を開けられた恰好となった。
今年に入り、船田は2月の室内日本選手権を13m39で制すまずまずの滑り出しを見せながら、4月の織田記念では13m18の4位に留まり、悲願の東京世界陸上代表へ向け手痛い出遅れとなってしまったが、その後5月には上位に食い込めば高い順位ポイントが得られるWAコンチネンタルツアーゴールドのGGPで13m52を記録して3位、6月の田島記念では13m51で優勝と立ち直りを見せ、迎えた日本選手権では4回目に13m69のセカンドベストをマークすると最終6回目には13m80に記録を伸ばして2位となりランキングスコアを大幅に上昇させると、その1週間後にはフィンランドに跳び、初のヨーロッパでのコンチネンタルツアー参戦ながら13m60で2位となる健闘を見せた。
そして先週の富士北麓ワールドトライアルでは最終跳躍で13m87の自己ベストをマークして優勝、ランキングスコアも世界陸上出場圏内に19ptまで迫り、記録的に森本や髙島と互角に渡り合えるところまで戻してきた。
東京世界陸上の資格記録の期限まで残り2週間でのあと19ptは厳しくもあるが、日本選手権、そして富士北麓での船田は動きに切れがあり、持ち味の助走スピードに加え、踏切を行ってからのアクションもダイナミックさが増し、両大会の最終跳躍での集中力の高さも合わせ、あるいは今の船田ならターゲットナンバーにも届くのではないかと思わせるに十分な内容が伴っていた。
表情にも一挙手一投足にも気迫が漲り、いわゆるゾーンに入っていたような凄みも感じられ、14mの雰囲気は出てきているのではないだろうか。
船田は8月9日にレモンガススタジアム平塚で行われるオールスターナイトゲームズにエントリーしている。
この大会にはランキングで世界陸上の出場圏内に付け、ランキングスコアを更に上げておきたい髙島、森本もエントリーしており、14m台を目指し競い合うことが相乗効果を生み、今まで以上の結果につながることも充分考えられる。
そして船田は13日にフィンランドで行われるWAコンチネンタルツアーチャレンジャー競技会、モトネットGPオウル大会のエントリーリストにも名を連ねている。
この大会が実質的な東京世界陸上代表へのラストチャレンジとなりそうで、富士北麓の13m87でホップを決め、オールスターナイトゲームズでは更なる記録更新、出来れば14mオーバーでステップを踏み、次のモトネットGPでラストジャンプを見事に決める事が出来るか、僅かに残る東京世界陸上代表への道を拓くため、今こそ、国内女子三段跳びの記録を動かした船田の真価を示す時だ。
文/芝 笑翔
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