東京2025世界陸上競技選手権大会が9月13日に開幕する。
日本国内で世界陸上が行われるのは2007年に大阪で行われた第11回大会以来18年振り、東京での開催は1991年の第3回大会以来34年振りのことだ。
その久々の自国開催となった今大会の日本代表の陣容は自国開催枠を含め、男子は49名、女子31名の総勢80名と過去最大規模となった。
日本陸連は4月、今大会の目標として複数のメダル獲得を掲げているが、ホスト国として大会を成功に導くためにも2021年、コロナ禍で無観客の中行われた自国開催の東京オリンピックでの銀メダル1、銅メダル1、入賞7、過去最高の4つのメダルを獲得した2022年オレゴン世界陸上での金1、銀2、銅1、入賞5、昨年のパリオリンピックでの金メダル1、入賞9を上回る成績が期待されるところだろう。
メダリストと入賞者の数は、競技力が国際水準に達しているかの目安となるが、メダリストを含まない入賞者数が10を越えれば世界陸上では初の事で、このラインに届けば、東京オリンピック以降も継続的に行ってきた地道な強化が実ってきたことの一つの証左であり、また2028年のロサンゼルスオリンピックへ向けてより多くの選手が国内に留まらない活躍をするためのステップボードともなるだろう。
この入賞という点に関して、とりわけ注目しているのが男子ハンマー投で2013年モスクワ大会の室伏広治(ミズノ)以来の久々の代表選出となった福田翔大(住友電工)、ブダペスト大会に続く代表となった女子三段跳の髙島真織子(九電工)、そして、福田同様に2013年のモスクワ大会の福本幸(当時甲南大AC、現平林金属)以来の代表となった髙橋渚(センコー)の3人だ。
男子ハンマー投の福田翔大は、昨年パリオリンピック代表へ向けて5月の静岡国際で73m00で優勝、代表選考会となる日本選手権直前に行われたアジア投擲選手権で73m91の自己記録をマークして2位に入り、ランキングでの代表ラインに迫ったが、勝負の日本選手権では70m90の3位に留まりあともう一押しが足りず代表を逃し、女子走高跳の髙橋渚も昨年の静岡国際で1m88の自己記録で優勝、日本選手権の前にはニューヨークで行われたコンチネンタルツアーゴールドの大会で1m87を記録して2位に入ってランキングでのパリオリンピック出場ラインに一気に迫り、代表選考会の日本選手権ではこの高さをクリアすれば代表も、という1m90に挑戦するところまで漕ぎつけながら成功はならず、涙を流した。
また、女子三段跳の髙島真織子は2023年のブダペスト世界陸上に出場を果たし、昨年の国内シーズンの本格的な開幕直前の3月に行われた記録会で3.7mの追い風参考ながら14m08と14mオーバーの跳躍を見せ、パリオリンピックに向けて力を蓄えてきたことを示していたが4月の織田記念のウォーミングアップ中に右脚の肉離れをおい、代表への道が絶たれていた。
三者三様に悔しさを味わい、今年は自国開催の東京世界陸上代表として出場することに賭けてきたものと思われるが、2月、まず高橋がチェコで行われたヨーロッパ室内ツアーの大会で、国内選手では2013年の福本幸以来の1m90オーバーとなる1m92の室内日本記録をマークしてランキングを大幅に上げ、以降も出場圏内を維持、福田は6月ランキングを上げるために重要なアジア選手権で71m89を記録して3位に入ると間髪入れずケニアに飛び、コンチネンタルツアーゴールドの大会に出場、結果は72m77の5位ながらランキングスコアを大幅に加点、代表選考会となった日本選手権では74m57の自己ベストで優勝を果たし、また髙島も今季は14m台には届いていないものの日本選手権で13m92で優勝を果たすなど13m90を複数回マーク、資格記録の期限が迫る8月9日に行われたオールスターナイトゲームズでは2.5mの追い風参考ながら14m25を記録、髙橋は1193ptの27位、福田は1187ptの28位、髙島も1193ptの26位でそれぞれランキングでの東京世界陸上出場資格を得て、代表入りを果たすこととなった。
そしてこの3人は、男子ハンマー投のブダペスト世界陸上の決勝進出ラインが74m56、パリオリンピックでは75m25、女子走高跳はブダペストが1m89、パリオリンピックは1m92、女子三段跳はブダペストが14m13、パリでは14m05と、自己記録が74m57の福田、1m92の髙橋、そして追い風参考ながら14m25を跳んでいる髙島にとって決して目指せない記録ではなく、決勝進出の可能性を大いに秘めていることで共通している。
むろん、世界の舞台では3人のランキングが示すように、同等やそれ以上の力を持つ猛者が集い、そのなかに入って尚且つ持っているポテンシャルを普段通り発揮することにこそ難しさがあるのだが、そうした中でライバルたちを抑えて決勝進出を果たし、世界の一流選手の仲間入りと言える入賞ラインに迫れるか、自らの手で未来を切り拓き、アスリート人生を大きく変えることができるのか、昨年の悔しさを経験している3人ならば、ここ一番で陸上ファンの視線をくぎ付けにするようなパフォーマンスで、サプライズを起こしてくれる事もあるのではないだろうか。
選手たちにとっては夢見た舞台、陸上ファンにとっては未来への夢を見てみたい、東京世界陸上が、いよいよ始まる。
文/芝 笑翔
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