日本グランプリシリーズでWAコンチネンタルツアーチャレンジャー大会でもある布勢スプリント2025が6月1日、鳥取市のヤマタスポーツパーク陸上競技場を会場に行われる。2021年、1年延期となっていた東京オリンピックの開催を目前に、男子100mで山縣亮太(セイコー)が今も破られていない9秒95の日本記録を叩き出した、国内でも屈指の「記録の出る大会」であり、今年の大会でもその山縣が故障からの復活を期して男子100mに出場を予定しているなど、グランプリ種目として実施される男女の100m、男子110mH、女子100mHの4種目に、国内有力選手に加え、インドやオーストラリアなど海外からも複数の選手が東京世界陸上参加標準記録の突破を目指す、ハイレベルなレースが展開されることとなりそうだ。
取り分け女子100mHのスタートリストには5月29日に行われたアジア選手権の同種目を制したJ・ヤラジ(インド)、2着と後塵を拝することとなった田中佑美(富士通)の名があり、再戦となれば俄然注目となるが、タイトな日程を考慮して回避の可能性もあるだろう。
となると今シーズンを以て第一線から退くことを表明し、東京世界陸上で代表に返り咲き、その花道を飾りたい寺田明日香(ジャパンクリエイト)や、今季好調で木南記念で12秒89と自己記録が12秒8台に突入してきたベテランの清山ちさと(いちご)が、世界陸上参加標準記録の12秒73にどこまで迫れるかが注目となるが、7月にドイツのライン=ルール都市圏で行われるワールドユニバーシティゲームズ代表に内定している島野真生(日本女子体育大)と本田怜(順天堂大)の二人の大学院生による、学生初の12秒台への先陣争いにも注目している。
高校2年時の2018年のU18日本選手権で優勝を果たし、翌2019年の日本選手権では初出場ながら準決勝に進出、夏にはインターハイを制し、日本体育大に進んだ2020年もコロナ禍の活動制限があった中、9月に行わた日本インカレでは田中佑美(当時立命館大)を抑えて優勝と早くから活躍を見せていた島野に対し、本田は高校時代は華々しい活躍はなかったが、大学に進学したのち、2022年秋ごろから台頭してきた、どちらかと言えば遅咲きの選手で、小柄ながらスタートからの鋭い飛び出しに磨きを掛けてきた本田、中盤以降のスピードの維持に長ける後半型の島野と、これまでの成長過程も持ち味が対象的なところも、同学年の二人のライバル関係に彩を加えている。
二人の初対決は2020年秋に行われたU20日本選手権の予選で、この時は島野が13秒89で1着、本田が14秒69で5着と島野が圧勝、二度目の対戦となった2021年の日本インカレ準決勝も島野が先着したが、直接の対戦がなかった2022年夏頃から本田の記録が伸び始め、島野が準決勝で不覚を取った日本インカレではその間隙を突くように決勝で2着に入ると、3度目の対戦となった2023年4月の四大学対校陸上では、本田が13秒40で1着、島野が13秒61で2着と本田が初勝利、以降は昨年4月の四大学対校陸上で日本学生記録となる13秒13をマークし、8月には富士北麓で13秒07に更新と躍進した本田に分があり、ここまでの対戦成績は本田の11勝に対し、島野の5勝となっているが、島野が昨年の布勢スプリントでの転倒から、日本選手権でもハードルを倒した後にバランスを崩して次のハードルが跳べずに失格になるなど陥っていた不振から脱し、今年4月の学生個人選手権では、本田が準決勝で13秒08の大会新記録を打ち立てれば決勝は島野が13秒10で制し、織田記念でも本田の学生記録を13秒04に更新するなど今季に限れば島野が4勝1敗と巻き返してきている。
二人のライバル関係は今大会以降も、今年は6月開催となる日本インカレ、共に準決勝の壁に跳ね返され、決勝の舞台に届いていない日本選手権、そして決勝進出を目指すワールドユニバーシティゲームズと続き、やがてこの二人がこの先の国内のスプリントハードルをトップ選手として牽引していくであろうことに疑いはないが、まず日本選手権、ワールドユニバでの決勝進出を果たすために、共に目前に迫っている12秒台が必要となってくるのは互いに理解していることだろう。
奇しくも今大会の予選では、島野と本田は同じ1組に入った。
鎬を削るライバル同士の相乗効果で予選から12秒台突入があるか、楽しみにしたい。
文/芝 笑翔
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