丸亀ハーフの男子は、東京国際大のケニア人留学生、R・エティーリが、競技場に入る手前の取り付け道路で前年大会を大会新記録で制したNDソフトのA・ムティソを振り切り、日本学生新記録となる59分32秒で優勝を果たした。
2位はムティソ、エティーリと同じ東京国際大のA・ベットが3位に続き、日本勢トップは駒澤大の篠原倖太朗で、1時間1分04秒の8位、順天堂大の浅井皓貴が1時間1分09秒で日本人選手2番手の9位に入った。
女子は中盤から独走となったユー・エス・イーのO・D・ニャボケが1時間6分07秒の大会新記録で優勝、2位には1時間4分台の自己ベストを持つエチオピアのS・チェプキルイ、神村学園高校3年のC・カリバが1時間7分36秒で3位と健闘した。
東京五輪女子マラソン代表で日本郵政グループの鈴木亜由子が1時間8分51秒の5位で日本人女子選手のトップとなり、東京メトロの上杉真穂が1時間9分24秒で6位に続いた。
第72回別府大分毎日マラソンは、一般参加で拓殖大卒のエチオピア人実業団選手、ひらまつ病院所属のW・デレセが残り5㎞を過ぎてGMOインターネットグループの下田裕太を突き放し、2時間7分58秒でフルマラソン初優勝。下田は2時間8分24秒で日本人選手トップの2位、下田に同じくGMOインターネット所属で今回が初マラソンとなった岸本大紀が2時間8分38秒で3位に入った。
モロッコのM・R・エル アラビとエチオピアのA・バンチエの海外招待選手は共に途中棄権、今大会で競技の第一線から退く旭化成の丸山文裕は2時間12分28秒で12位だった。
香川丸亀国際ハーフマラソン
丸亀ハーフの男子のレースは5㎞の通過が14分22秒と、この大会のペースとしては速い入りではなかったが、昨年に59分17秒の大会記録で優勝しているムティソ、5000m13分00秒17、10000m27分06秒88の日本学生記録を保持する東京国際大のスーパー留学生、エティーリらを中心とする先頭集団の10㎞までのスプリットが14分2秒に上がると、ここに残った日本人選手は、昨年の大会で1時間0分11秒の日本人学生最高記録で5位に入った篠原、ハーフマラソン1時間0分38秒の自己記録を持つ田村友佑(黒崎播磨)に清水颯大(大塚製薬)の3人のみに。ほどなく清水が集団に付けなくなると、11㎞過ぎには篠原、田村も更にペースを上げる集団から遅れ始めた。
15㎞までには昨年2位のC・カンディエ(三菱重工)、フルマラソンで2時間5分台のS・N・モーエン(ノルウェー)、一時は先頭でレースを引っ張ったD・シュンゲヤネイヤイ(麗澤大/ケニア)らを引き離したムティソ、エティーリの一騎打ちの様相となり、その後は連覇を狙うムティソが揺さぶりを掛ければ、エティーリも素早く対応する鍔迫り合いが何度か繰り返されたのち、20㎞を過ぎて競技場手前の取り付け道路に入りエティーリがスパート、瞬時に差を広げるとそのまま押し切り、2007年の大会でM・J・モグス(山梨学院大)がマークした59分47秒の日本学生記録を15秒更新する、59分32秒の日本学生新記録で優勝のゴールテープを切った。
箱根駅伝の予選会では、他の選手との接触で転倒する不運に見舞われて失速し、チームも本選出場を逃す結果となったが、箱根路では見せることが出来なかったその実力を余すところなく披露し、学生レベルでは規格外のスピードと強さを改めて印象付けた。
今大会でのハーフマラソン日本学生記録更新で、5000m、10000mと合わせた長距離三種目の学生記録保持者となった。
今年の箱根駅伝1区で区間賞の快走を見せ、日本人学生最高記録や、日本記録更新もと期待が高かった篠原だが、結果は1時間1分04秒と、昨年の自身のゴールタイムに大きく及ばなかった。
今大会へ向けての合宿中に脚を痛めていたとのことで、その影響も少なからずあったのだろう。
日本人選手初の59分台も次の機会に持ち越しとなった。
大阪、東京のいずれかのマラソンでパリオリンピックファイナルチャレンジを控える選手のうち、MGC13位の市山翼(サンベルクス)が1時間1分11秒の11位で最先着、MGC14位の藤曲寛人(トヨタ自動車九州)が1時間1分28秒で20位と状態の良さが伺える走りを見せ、MGCは故障で欠場していた丸山竜也(トヨタ自動車)も1時間1分13秒で12位と調子を上げてきており、ファイナルチャレンジに向けて手応えを得られるレースとなった。
細谷恭平(黒崎播磨)は1時間2分26秒で61位も、2時間7分23秒で4位となった昨年12月の福岡国際マラソン以降もレースへの出場を続けており、ハードな実戦を経ながら強化を図る中で無理はしなかったものと思われ、ステップレースとしては十分合格点と言って良いのではないだろうか。
女子のレースでは昨年の東京レガシーハーフで2位に終わっていたユー・エス・イーのニャボケが1時間6分07秒で優勝、ハーフマラソン世界歴代7位の1時間4分36秒を自己ベストに持つ、S・チェプキルイを破る大金星となった。
また、神村学園高校のケニア人留学生、カリバは1時間7分36秒と高校生としては破格のタイムで堂々3位、この4月からは日本郵政グループに入社が決まっており、トラック種目でもロードでも今後どこまで伸びていくのか注目したい。
名古屋ウィメンズでのファイナルチャレンジを控える鈴木亜由子は1時間8分51秒で5位、記者会見で今大会の目標としていた1時間9分台を上回るタイムでのゴールとなった。
過去に大きな故障を幾度か経験しており、激しい雨の中でのレースとなったMGC後の後遺症が懸念されたが、今大会の走りを見る限りではしっかりとトレーニングを積むことが出来ているようだ。
上杉真穂も1時間9分24秒とハーフマラソンの自己記録を更新して6位と不本意な結果となったMGCから立て直してきた。
大阪国際女子マラソンで前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本記録を打ち立て、ファイナルチャレンジのターゲットタイムもこれを破っての日本新記録となる2時間18分58秒とさらにハードルが上がることとなったが、鈴木、上杉ともにここまで順調に調整を進めてきたことが伺えるレースだった。
若手ではこれまで1500mを主戦場にしながら、初のハーフマラソンで1時間9分台に迫る1時間10分06秒で6位と好走、長い距離にも適応を見せ始めた信櫻空(パナソニック)が光った。
別府大分毎日マラソン
モロッコのエルアラビ、エチオピアのバンチエ、2時間6分台の自己ベストを持つ海外招待選手が相次いでレースを止める波乱のレースとなった別大マラソン。
PMの設定は1㎞3分、5㎞を15分00が予定されていたが、実際にはPMが離脱する30㎞の通過タイムは1時間30分31秒、スプリットは15分00秒から15分08秒と幅があり、けして速いペースでレースが推移した訳ではなかったが、国内招待選手も畔上和弥(トヨタ自動車)、大﨑遼(小森コーポレーション)、丸山文裕、小山裕太(トーエネック)が次々と脱落し、この時点で先頭集団に残ったのは海外招待選手で2018年大会の優勝者、H・ラクーアヒ(モロッコ)、国内招待の下田裕太、岸本大紀、安井雄一(トヨタ自動車)、一般参加のデレセ、B・プライスナー(カナダ)、山口賢助(トヨタ自動車九州)、MGCに出場した中央発條の吉岡幸輝の弟、吉岡智輝(九電工)の8名に。
PMがレースを離れると、下田が1㎞3分00秒にペースを戻し、山口、安井、吉岡が遅れ始め、32㎞にはラクーアヒも脱落、下田、岸本、デレセ、プライスナーの4人の勝負に。
33㎞付近ではデレセが太腿の裏を抑え離され加減になったが34㎞までには追い付いた。
30㎞以降先頭でペースを作るも、33㎞以降維持ができなくなっていた下田は、35㎞の折り返しの手前で周囲に先頭を入れ替わるようにゼスチャーで促したが応じる選手はなく、35㎞までの5㎞のスプリットは15分24秒に落ちた。
37㎞過ぎ、36㎞辺りで先頭をデレセに譲っていた下田が残り5㎞を目前に、直角に曲がる交差点を利用して見計らったようにスパートを仕掛けると、デレセは少し遅れてこれに対応、岸本、プライスナーはじわじわと差を付けられ始める。
下田のスパートが一旦落ち着くと、今度はすかさずデレセが勝負に出て下田を突き離しに掛かる。
ここで食い下がりたかった下田だが、先にスパートを仕掛けた反動があったか、動きを切り替える事が出来ず、デレセとの差は広がり、後方からは岸本が追い付いてきた。
下田は40㎞手前で岸本を再び突き放したが、35㎞からの5㎞を15分14秒に戻したデレセを追撃するだけの余力はなく、優勝は2時間7分58秒でデレセ、下田は2時間8分24秒で2位、3位には2時間8分38秒で岸本、4位のプライスナーも2時間8分57秒と8分台でのゴールとなった。
下田は2016年リオデジャネイロオリンピック代表選考会となった東京マラソンでは、当時19歳の初マラソンながら2時間11分34秒で日本人選手2番手の10位に入りその将来性を示し、2020年の東京マラソンで2時間7分27秒の自己記録をマーク、その後も自己記録更新は出来ていないが2時間8分台を3回記録しており、今大会でも力のあるところは示したが、優勝には届かず、結果としては大きなインパクトを残したとは言えなかった。
しかし、PMが離脱した30㎞以降は先頭集団を引っ張り、37㎞地点でスパートを仕掛けてレースを大きく動かすなど、アスリートとして次のステップに進もうとする姿勢が見られたことは評価に値し、また国内招待選手で最も速いベストタイムを持つ選手として周囲の期待に応えるべくしっかりと準備をし、勝負が出来たところからは、精神面での成長も窺えた。
惜しむらくはデレセが33㎞過ぎに一度遅れ掛け、35㎞手前で先頭集団に戻った時、下田は落ちてきていたタイムを意識したのか先頭を譲ろうとしたが、デレセがリズムを取り戻す前の段階で畳みかけて勝負に出ることが出来たのではないかという点で、下田は優勝争いに加わっていればスパートはラスト5㎞でと予め想定し、実際のレースでも実行したように映ったが、その時にはデレセにも下田がどこかで仕掛けてくることは理解しており、対応する心算ですでに準備が整っていたように見えた。
デレセにまだダメージが残っていた時点なら引き離すことや、追い付かれるにしても脚を使わせることは出来たかもしれず、その後はまた違った展開になる可能性はあったように思う。
意表を突くはずのスパートが押し切れなくなったところで、逆にデレセにスパートを被せられたこの間の駆け引きは、結果的にレースの大きな分岐点となった。
海外招待選手二人が早々にレースを離れ、想定より遅い2時間7分台ペースと無理のない流れとなり、日本人選手にも優勝の可能性が出てきていた。
しかしながらPMの離脱した30㎞で先頭集団に残った選手は5人に留まり、新戦力の台頭という面では、初マラソンで8分台を記録した岸本に加え、3度目のマラソンで2時間10分03秒とサブ10に迫り6位となった吉岡智輝、30km手前で集団から遅れながらも落ちてきた選手を拾い上げ、2時間10分47秒で8位に入る粘りを見せた緒方貴典(トヨタ自動車九州)が今後の可能性を垣間見せる収穫があったが、全体としてはパリオリンピック代表を目指す多くの一線級の選手を欠いていたとは言え、自国開催の東京世界陸上でも上位入賞、メダル獲得を目指し強化を図っていく上で不可欠な、中間層の選手や若手選手の記録面でのレベルの押上げが乏しく感じられ、課題も浮き彫りとなった大会だった。
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第76回香川丸亀国際ハーフマラソン
男子の結果 上位20名
1)R・エティーリ(東京国際大/ケニア)59:32
2)A・ムティソ(NDソフト/ケニア)59:37
3)A・ベット(東京国際大/ケニア)1:00:11
4)S・N・モーエン(ノルウェー)1:00:11
5)L・J・ラジニ(安川電機/ケニア)1:00:30
6)D・シュンゲヤネイヤイ(麗澤大)1:00:32
7)C・カンディエ(三菱重工/ケニア)1:00:55
8)篠原倖太朗(駒澤大)1:01:04
9)浅井皓貴(順天堂大)1:01:09
10)市山 翼(サンベルクス)1:01:11
11)田中秀幸(トヨタ自動車)1:01:13
12)丸山竜也(トヨタ自動車)1:01:13
13)荻久保寛也(ひらまつ病院)1:01:13
14)伊藤蒼唯(駒澤大)1:01:16
15)合田 椋(安川電機)1:01:22
16)田村友佑(黒崎播磨)1:01:25
17)清水颯大(大塚製薬)1:01:26
18)風岡永吉(JFEスチール)1:01:26
19)B・ロビンソン(オーストラリア)1:01:27
20)藤曲寛人(トヨタ自動車九州)1:01:28
※20位以降の注目選手の結果
23)黒田朝日(青山学院大)1:01:39
27)大津顕杜(サンベルクス)1:01:43
28)谷原先嘉(大阪府警)1:01:43
30)米満 怜(コニカミノルタ)1:01:45
34)塩出翔太(青山学院大)1:01:54
35)西川千青(大東文化大)1:01:55
39)林田洋翔(三菱重工)1:02:04
47)北村友也(OBRS)1:02:13
54)P・オニエゴ(富士山の銘水/ケニア)1:02:22
58)吉岡大翔(順天堂大)1:02:25
60)一色恭志(NTT西日本)1:02:25
61)細谷恭平(黒崎播磨)1:02:26
62)佐藤敏也(トヨタ自動車)1:02:30
67)小椋裕介(ヤクルト)1:02:42
68)田村友伸(黒崎播磨)1:02:42
70)森井勇磨(京都陸協)1:02:50
93)市田 宏(旭化成)1:03:33
101)鬼塚翔太(メイクス)1:03:37
104)宮下隼人(コニカミノルタ)1:03:45
105)小松陽平(ロジスティード)1:03:49
109)湯原慶吾(小森コーポレーション)1:03:53
113)設楽啓太(西鉄)1:03:56
116)高田康暉(住友電工)1:03:59
120)花谷そら(福岡大)1:04:01
127)S・バトオチル(新日本住設グループ/モンゴル)1:04:10
153)口町 亮(SUBARU)1:05:47
185)舟津彰馬(小森コーポレーション)1:07:42
258)川内優輝(あいおいニッセイ同和損保)1:12:57
女子の結果 上位20名
1)O・D・ニャボケ(ユー・エス・イー/ケニア)1:06:07※大会新
2)S・チェプキルイ(ケニア)1:06:47※大会新
3)カリバ・C(神村学園高/ケニア)1:07:36
4)S・パデュー(イギリス)1:08:02
5)鈴木亜由子(日本郵政グループ)1:08:51
6)上杉真穂(東京メトロ)1:09:24
7)信櫻 空(パナソニック)1:10:06
8)𠮷川侑美(ユニクロ)1:11:22
9)大西ひかり(日本郵政グループ)1:12:38
10)清田真央(スズキ)1:12:56
11)長島奈南(城西国際)1:13:10
12)佐藤奈々(東京メトロ)01:14:07
13)原田紗希(名城大)1:14:48
14)朝日春瑠(ユニクロ)1:15:35
15)大沼亜衣(城西国際大)1:16:30
16)西松美樹(K-UP)1:18:13
16)隂山朋佳(城西国際大)1:18:13
18)青山瑠衣(ユニバーサルエンターテインメント)1:18:17
19)富田奈乃香(環太平洋大)1:18:59
20)仁科玲美(城西国際大)1:19:38
第72回別府大分毎日マラソン
男子 上位20名
1)W・デレセ(ひらまつ病院/エチオピア)2:07:58
2)下田裕太(GMOインターネットグループ)2:08:24
3)岸本大紀(GMOインターネットグループ)2:08:38
4)B・プライスナー(カナダ)2:08:58
5)安井雄一(トヨタ自動車)2:09:30
6)吉岡智輝(九電工)2:10:03
7)牟田祐樹(ロジスティード)2:10:28
8)緒方貴典(トヨタ自動車九州)2:10:47
9)國行麗生(大塚製薬)2:11:27
10)H・ラクーアヒ(モロッコ)2:11:42
11)丸山文裕(旭化成)2:12:28
12)斉藤翔太(JFEスチール)2:12:39
13)照井明人(SUBARU)2:13:57
14)倉本玄太(青山学院大)2:14:01
15)大﨑 遼(小森コーポレーション)2:14:18
16)富村太悟(東京陸協)2:14:50
17)小山裕太(トーエネック)2:15:03
18)平 和真(Kao)2:15:10
19)山田滉介(トヨタ紡織)2:15:25
20)山口賢助(トヨタ自動車九州)2:15:34
DNF A・バンチエ(エチオピア)、M・R・エル アラビ(モロッコ)、畔上和弥(トヨタ自動車)
女子 上位3名
第72回別府大分毎日マラソン
1)真柄 碧(福井陸協)2:40:31
2)好士理恵子(えもと塾)2:43:40
3)中山苑香(内田治療院陸上部)2:50:22
国際パラリンピック委員会登録者男子
上位3名
1)和田伸也(T11・長瀬産業)2:23:27
2)堀越信司(T12・NTT西日本)2:25:02
3)熊谷 豊(T12・三井ダイレクト損害保険)2:27:58
国際パラリンピック委員会登録者女子
上位3名
1)井内菜津美( T11・みずほ FG)3:14:24
2)近藤寛子(T11・滋賀銀行)3:19:05
3)西村千香(T12・岸和田健康クラブ)3:25:10