2月1日は午前中に第78回香川丸亀ハーフマラソンが、午後からはMGCシリーズの第74回別府大分毎日マラソン大会が行われる。
記録の出やすい丸亀ハーフ、MGCシリーズの別大マラソンと、贅沢なロードレース二本立てで、マラソンファンにとってはたまらない1日となりそうだ。
第78回香川丸亀ハーフマラソン、第29回日本学生ハーフマラソンのみどころ
丸亀市のPikaraスタジアムを発着点とする、昨年から男子の日本学生ハーフマラソンが併催されている香川丸亀ハーフマラソンの今年の大会のみどころは、昨年の大会で太田智樹(トヨタ自動車)が打ち立てた59分27秒の日本記録の更新はあるかだ。

その筆頭候補として挙げられるのが、昨年の大会で太田と3秒差の59分30秒でフィニッシュした篠原倖太朗(富士通)だ。
篠原は昨年のトラックシーズンではもう一つ調子が上がらなかったが、ニューイヤー駅伝では3区を走り区間記録をマークと、ロードシーズンに入って調子が上がっており、日本記録更新の可能性は充分だ。
昨年の全日本実業団ハーフマラソンで1時間0分29秒の3位に入った西澤侑真(トヨタ紡織)は、トラック10000mでも27分57秒00に自己記録を更新、ロードシーズンに入ってからもニューイヤー駅伝ではエース区間の2区で4位、全国都道府県駅伝でも静岡県のアンカーを任され区間2位とコンディションの良さが伺え、60分切りも狙えそうだ。
昨年の全日本学生ハーフで1時間0分54秒の9位となった野中恒亨(國學院大)は、11月の八王子ロングディスタンスの5組で平林清澄(ロジスティード)を抑え、27分36秒64で1着となるなど飛躍的に走力が上がり、全国都道府県駅伝でも静岡県の3区を担い区間2位となるなど好調で59分台も狙えると見ている。
優勝を争ううえでは、昨年2位のE・マル(トヨタ紡織)に加え、海外招待選手で2017年の福岡国際マラソンを2時間5分48秒で制したS・モーエン(ノルウェー)、5000m12分台のスピードを誇るS・カトロフェに、ケニア人留学生のR・エティーリ(東京国際大)らが強敵となる。
また、ハーフマラソンで1時間0分38秒の自己ベストを持つ中山顕(Honda)、昨年の全日本実業団ハーフマラソンで1時間0分40秒の5位となった藤本珠輝(ロジスティード)、10000m27分38秒28、ハーフマラソンで1時間0分43秒の持ちタイムがある荻久保寛也(ひらまつ病院)、学生では昨年の八王子ロングディスタンスの10000mで27分37秒06を叩き出し、箱根駅伝でも4区2位と好走した岡田開成(中央大)、昨年の学生ハーフでは1時間0分45秒の6位となった近田陽路(中央学院大)も上位争いに加わってくるだろう。
昨年の学生ハーフで1時間0分26秒の2位に入った馬場賢人(立教大)は4位となったワールドユニバーシティゲームスのハーフマラソン以降、故障に悩まされて箱根駅伝でも本来の力を見せる事ができておらずコンディションの回復次第、10000m自己ベストが27分27秒49のスピードランナー羽生拓也(トヨタ紡織)も注目の選手で、前日本記録保持者の小椋裕介(ヤクルト)の復活にも期待をしたい。
女子は海外招待選手で1時間5分43秒の自己ベストを持つ海外招待選手のE・マッコルガン(イギリス)、昨年の大会を1時間6分5秒の大会新記録で制したO・D・ニャボケ(ユニクロ)の優勝争いになりそうで、大会記録を更新する1時間5分台の決着もありそうだ。
日本人選手は東京世界陸上のマラソンで7位入賞を果たした小林香菜(大塚製薬)と、同じく東京世界陸上代表の安藤友香(しまむら)のトップ争いが濃厚で、今後マラソンでの2時間20分切りを目指すうえでは、1時間7分台での決着に期待したい。
第78回香川丸亀ハーフマラソンは、10時35分にスタートする。
第74回別府大分毎日マラソンのみどころ
12時スタートの第74回別府大分毎日マラソンは大分市のうみたまご前を出発点とし、別府市の亀川漁港前を折り返したのち、大分市に戻ってフィニッシュ地点のジェイリースタジアムを通り過ぎたあと、三佐田交差点を折り返し、ジェイリーススタジアムをゴールとする42.195㎞のコースで行われる。

2027年秋に開催予定のロサンゼルスオリンピック代表選考会、MGCへの出場権が掛かるMGCシリーズ加盟大会であり、今大会で2時間6分30秒のMGC参加標準記録をクリアすれば順位に関わりなく、あるいは2時間9分00秒以内で日本人選手6位以内に入ればMGCへの出場権を獲得できる。
優勝候補の一角で、エントリー選手中で最速の2時間4分22秒を自己ベストに持つR・コリル(ケニア)の欠場で、2022年の第70回大会の西山雄介(トヨタ自動車)以来4年ぶりとなる日本人選手の優勝の可能性が高まり、そのうえで昨年12月のバレンシアマラソンで大迫傑(Li-Ning)が更新したばかりの日本記録、2時間4分55秒にどこまで迫れるかが、今大会の最大のポイントだ。
日本記録が別大で更新されれば、宗茂(旭化成)が2時間9分5秒6で日本人選手初のサブテンを達成した1978年の第27回大会以来になる。
注目選手の筆頭は何といっても黒田朝日(青山学院大)。
昨年の大阪マラソンで2時間6分5秒の日本人学生新記録で6位に入り、トラック10000mの自己ベストも27分37秒62に更新、そして今年の箱根駅伝では5区の山登りを担い、前年に先輩の若林宏樹が記録した1時間9分11秒の区間記録を1分55秒更新する1時間7分16秒の区間新でトップから3分24秒の差を一人でひっくり返して往路優勝、総合優勝の立役者となり、今まさに日の出の勢いだ。
2度目のマラソンの舞台に選んだ今大会の目標はずばり優勝で、優勝すればタイムもついてくる、という意識で臨むのではないだろうか。
とは言え、昨年の大会で2時間6分7秒の2位に入った若林との箱根5区の記録を比較すれば、大幅自己記録更新も期待できるだろう。
不安があるとすれば、箱根5区力走の疲労がどの程度残っているかだ。
東京世界陸上の男子マラソンでは2時間16分58秒の34位と世界の壁に跳ね返された吉田祐也(GMOインターネット)は、青山学院大4年時の2020年、「引退レースのつもりで」挑んだ第69回大会で、2時間8分30秒の好タイムで3位に入り、その後のマラソンランナーとしての道を切り開くことになった初マラソンの地を再起の舞台に選んだ。
ペースメーカーが離脱する30㎞以降の早い段階で仕掛けを行い、後続を突放しての逃げ切りを必勝パターンとしており、これが嵌れば、2020年、2024年の福岡国際マラソンのように絶大な威力を発揮する。
特に2時間5分16秒の自己記録をマークした2024年の福岡国際で記録した中間点からの後半ハーフのタイム、1時間2分18秒は、2021年に鈴木健吾(当時富士通、現神奈川陸協)が2時間4分56秒の当時の日本記録をマークした際の1時間2分20秒を凌ぎ、大迫の2時間4分55秒の日本記録更新時の1時間2分14秒に次ぐもので、後半の強さは国内指折りだ。
昨年の東京マラソンで2時間6分14秒をマークし4年ぶりに自己記録を更新した、2017年ロンドン世界陸上代表の経験を持つ井上大仁(三菱重工)は、初マラソンとなった2016年のびわ湖毎日マラソン以降、豊富なキャリアを積んできたが、別大のエントリーはこれが初めてだ。
2017年のロンドン世界陸上では、世界との差を見せつけられ、「自分も6分台、5分台で世界と闘える選手になる」と悔し涙を流しながら絞り出すように話していたが、以降は序盤からハイペースの海外勢に食らい付き、30㎞以降でPMが離脱してから駆け引きでペースが緩むようであれば、果敢に先頭を引っ張る、或いは飛び出しを見せるレースを国内ではしてきている。
そのため、井上の出場するレースはハイペースながら極端なペースの上げ下げの少ない淀みない流れになる事が多く、他の選手にとってもストレスが少なくなるためか、2018年東京マラソンでの設楽悠太(当時Honda)、2020年東京マラソンの大迫、2021年鈴木健吾と、井上が一時日本人選手のトップに立ったレースでは、3度日本記録が更新されている。
2時間7分切り3回は大迫の4回に次ぎ、鈴木健吾、細谷恭平(黒崎播磨)に並ぶ実力者だが残り5㎞からペースを維持できないことも多いため、優勝はまだなく、今大会では悲願の初優勝と2時間5分台を目指してくるだろう。
2時間7分26秒を自己ベストに持つ聞谷賢人(トヨタ紡織)は、これまでに5回2時間7分台を記録する抜群の安定感を誇り、これは井上の4回を上回り、国内では大迫、細谷恭平に並ぶ。
マラソンデビュー戦が吉田祐也と同じ2020年の別大で2時間9分7秒の7位、2023年には2時間7分53秒で5位とコースとの相性も良く、今大会では5年ぶりの自己記録更新となる、MGC参加標準記録の2時間6分30秒をクリアして順位に関わらずMGC出場権の獲得を目指し、優勝争いにも加わって行きたい。
コリルが欠場となった海外勢では、2時間6分45秒の自己ベストを持つM・R・エル アラビ(モロッコ)が優勝争いに加わってくるだろう。
過去に度々日本国内のマラソンにも出場しており、設楽悠太が日本記録をマークした2018年の東京マラソンでは先頭集団にも加わって2時間9分18秒で11位、2019年の大阪マラソンでは2時間9分31秒で2位のリザルトを残し、また東京オリンピックでも2時間12分22秒で11位となるなど、強豪選手の多いモロッコにあって、代表での実績も豊富で、昨年の東京世界陸上でも2時間13分29秒で20位に入り、吉田祐也に先着を果たしている。
別大では過去に3人のモロッコ人選手が優勝しており、不思議と相性が良いのも不気味な点だ。
一般参加選手では、初マラソンとなった2022年の大会で35㎞の折り返しを過ぎてからのスパートで独走態勢を築き、残り2㎞で力尽きたものの2時間8分30秒で4位に入った古賀淳紫(安川電機)や、古賀と同じ2022年の別大が初マラソンで2時間9分56秒の8位に入り、翌年の大阪マラソンで2時間7分58秒をマークした山口武(西鉄→スズキ)、2022年の大阪マラソンを2時間7分32秒で制し、同年のオレゴン世界陸上代表となった星岳(コニカミノルタ)も近年の不振からの復調を懸けて今大会にエントリーしてきており、昨年の大会で2時間9分6秒の8位となった茂木圭次郎、2023年の別大では2時間9分15秒の11位、自己ベストは2時間8分57秒の市田孝の旭化成勢、早稲田大学在籍時の2024年の延岡西日本マラソンを2時間9分26秒で制した伊福陽太(住友電工)らは、MGC出場権獲得を目指す。
別大では例年初マラソンの選手の印象的な活躍があるが、今年も昨年の実業団ハーフで1時間0分49秒をマーク、10000mの自己ベストは27分50秒12の久保田徹(Honda)、ニューイヤー駅伝の3区で区間2位となりチームの初優勝に貢献した鈴木塁人(GMOインターネットグループ)の実業団勢に、学生からは箱根駅伝8区で区間新をマークした塩出翔太、10000mで27分49秒90の自己ベストがある宇田川瞬矢(共に青山学院大)、箱根駅伝では花の2区を日本人選手2番目のタイム、1時間6分06秒で走っている溜池一太(中央大)と、MGC出場権争いに割って入るだけの力を持つ楽しみな顔ぶれが揃った。
忘れてはならないのは東京オリンピック代表の服部勇馬(トヨタ自動車)で、多くのマラソンファンが復活の日を待っている。
勝負どころとなるのは、35㎞手前で折り返してからの2回目の三海橋のアップダウンで、2022年の大会では古賀淳紫が先頭集団から抜け出し、昨年は優勝のV・キプチュンバ(ケニア)が平林清澄(國學院大→ロジスティード)、大塚祥平(クラフティア)を先頭集団から振り落とすなど、ここで展開が大きく変わることが多い。
また展開のカギを握るのは吉田祐也、井上大仁で、先述の通りこの二人はPM離脱直後にペースを上げに掛かることが多く、黒田ら他の有力選手はこれに付くか、自身のペースを守って最終盤の追い上げに賭けるかの選択を迫られることになるかもしれない。
吉田が好調であれば後半もペースを落とさないため、主導権を奪いに行くようなら食らい付いて行く必要がありそうだ。
今大会は招待選手も、一般参加選手も力のある選手が揃い、トップグループもPMが離脱する30㎞となっても例年以上の大人数での通過となることが予想される。
そうなれば、いやがうえでも記録への期待が高まるだろう。
文/芝 笑翔
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