雨中の激闘となった女子棒高跳、村田蒼空が小林美月とのライバル対決を制す!天皇賜盃 第95回日本学生陸上競技対校選手権大会

9月7日、雨の降りしきる横浜市の日産スタジアム、第95回日本学生陸上競技対校選手権女子棒高跳決勝。

ただ一人4m20をクリアして優勝を決めていた村田蒼空(筑波大)が、小林美月(日本体育大)の持つ4m31の日本学生記録を1cm上回る4m32にバーを上げ、2度失敗の後3回目の試技に挑んだが、惜しくもバーはマットに落ちた。
その瞬間、競技開始から4時間以上が経ち、4m00からは4m16の日本高校記録を持つ村田と、日本学生記録保持者の小林の一騎打ちとなっていた、自他ともに認めるライバル同士が火花を散らした激闘に終止符が打たれた。

二人の最初の対決は、村田が前橋女子高、小林が明星学園高に入学した2020年。

世界中がコロナ禍に見舞われ、国内でも様々な活動が制限を受け、陸上競技においても多くの大会が延期、中止に追い込まれたが、活動自粛期間が明けた8月に群馬で行われた室内競技会で、この時は3m80で村田が1位となり、3m10で8位だった小林を降している。
以降、今年の日本インカレまでの二人の直接対決は村田の11勝に対し小林の13勝、当初は2021年の高校2年時のインターハイ、U18選手権、2022年2月のU20日本選手権室内を4m00で制し、高校3年時の6月に行われた群馬県選手権で4m16の日本高校記録をマークした村田がリードしていたが、8月のインターハイでは3m90に留まった村田に対し、小林が4m00で初めて村田を上回るとともに、インターハイチャンピオンに輝いた。

村田が筑波大に、小林が日本体育大にそれぞれ進んだ2023年は、4m00に届かなかった村田に対し、小林は4月の学生個人選手権でいきなり4m13の自己新記録で3位に入ると関東インカレを4m06で制し、また9月の日本インカレでは3m90の同記録ながら順位で村田を上回り、「白星」を三つ返すこととなった。
翌2024年の学生個人選手権では3m80で9位の村田に対し、小林が3m90で3位となると、日本選手権では村田が4m10で3位となって4m00で4位の小林に「お返し」、秋の日本インカレでは小林が4m10で初優勝を果たすと、今度は佐賀国民スポーツ大会を村田が4m10で初優勝し2勝2敗。

昨年は2月の日本選手権室内で3m90の同記録ながら順位で村田が上回ったが、以降は学生個人、関東インカレ、東京世界陸上開催のため6月の実施となった日本インカレと、小林が3戦連続で村田を抑え、続く日本選手権も日本記録保持者の諸田実咲がアジア選手権で負った両手首の骨折で欠場となった中、小林が4m31の日本学生新記録で村田に先駆けて初制覇。
8月のトワイライトゲームズも4m12で優勝と対村田の連勝を5としたが、10月の滋賀国民スポーツ大会では村田が4m20の自己ベストで制し、3m80で8位の小林に一矢を報いた。

大学最終学年となった今年の直接対決は、まず5月の木南記念では両者揃って4m00の6位、関東インカレは4m17で村田が初優勝、6月の日本選手権でも4m10の同記録だったが、今度は小林が3位と6位の村田を上回り、揃って代表となったオルドスU23アジア選手権では村田が4m10で銀メダル、小林が4m00で銅メダルを獲得し、日本インカレを迎えることとなった。

3m70にバーが上がると両者ともに競技に入り1回目でクリア、続く3m80は小林がパスをした中で村田はこの高さも1回目でクリア。
続く3m90は1回でクリアした小林に対し村田は1回目にバーを落とし、2回目のクリアとなったが、この高さに成功したのは二人のみで、ここから先は一騎打ちとなった。

4m00を1回目でクリアした村田に対し、小林はバーを落とすと2回目以降をパス。
バーは4m05に上がり、村田がこの高さでパスを選択、4m00をクリアできないままパスをし、この高さでのチャンスは2回となっていた小林は1回目で見事にクリア。
4m10を共に1回でクリアすると、4m15は村田が再びパス、小林は1回目でバーを落としたが、落ち着いて2回目にクリアをすると、マット上で一つ手を打ち、立ち上がって2度、3度と両拳を突き上げた。

バーの高さは4m20に上がり、両者1回目に失敗したあとの村田の跳躍は、バーに脚が触れて大きく揺れたものの、落ちてくることなく成功試技となり、ガッツポーズでマットを駆け下りた。
仲間に傘を差しかけられながら、ポールを握り自身の跳躍を待ちつつその様子を見つめていた小林は、入念にポールを布で拭うとその感触を確かめ、助走に移ったがクリアはならず。
追い込まれた小林は3回目をパスし、1度きりのチャンスとなった4m25の試技に逆転を懸けたが、惜しくもクリアはならず、この高さをパスした村田の優勝が決まった。
客席に深々と一礼をした小林は、傘をかざして歩み寄った仲間に抱き留められると、わずかに両肩を震わせた。

村田は小林の持つ学生記録の更新こそならなかったものの、次第に雨脚の強まった悪コンディションの中、安定した跳躍を続け、技術、集中力の高さを示し、小林も何度も訪れたピンチを凌ぐ意地を見せた。記憶に残る名勝負となった。

これで両者の対決は村田の12勝、小林の13勝。
日本インカレでの対決はこれが最後となるが、二人のライバル物語は、4m50の日本記録保持者・諸田実咲の背中を追いながら、ロサンゼルスへと続いていくのだろう。

文/芝 笑翔

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