2026年度の日本学生陸上競技個人選手権大会が4月24日から平塚市のレモンガススタジアム平塚をメイン会場に(※ハンマー投については東海大学湘南校舎陸上競技場)三日間の日程で開催される。
今シーズンの学生陸上界は、男子100mの栁田大輝(東洋大→Honda)や守祐陽(大東文化大→渡辺パイプ)、110mHの阿部竜希(順天堂大→エターナルホスピタリティG)、といったオリンピック、世界選手権代表やワールドクラスに成長を遂げた選手が卒業し、ここ数年上位選手が固定されがちだった各種目の勢力図も大きく変わり、昨年のインターハイでは暑熱対策でレギュレーションが突然変わったなかで力を発揮した力のある新1年生と上級生の対決という構図が多くの種目で見られることになるだろう。
また、今年は台湾、中国のトップクラスの学生選手が招待されており、男子100mに中国の東京世界陸上同種目代表、鄧信鋭や、女子100mHにアジア室内選手権の女子60mHで中島ひとみ(長谷川体育施設)、清山ちさと(いちご)を抑えて優勝している台湾の張博雅選手がオープン参加選手としてエントリーしている。
こうしたアジアトップクラスの学生選手に、国内の学生選手がどのような闘いを挑むのかもみどころの一つ。
110mHの超大物ルーキー、古賀ジェレミー(順天堂大)や、男子800m東京世界陸上代表の落合晃(駒澤大)のエントリーがないのは残念だが、各種目で激戦が繰り広げられそうだ。
注目種目、注目選手を挙げるとまず男子100m、先述した中国の鄧信鋭を迎え撃つ国内勢という図式となるが、今季の男子学生スプリントの中心的存在と目される、昨年の国民スポーツ大会を10秒17で制した黒木海翔(中央大)、10秒11のPBを持つ西岡尚輝、ワールドユニバーシティゲームズ代表で昨年の大会の準決勝で10秒16を叩き出し、決勝を10秒19で制した大石凌功(東洋大)がその候補となるだろう。ただ、上記3人はいずれも今季ここまでエンジンが掛かってきておらず、10秒06の自己ベストを持つ鄧との争いは厳しいものになることも予想される。
オープン参加の鄧を除き、黒木、西岡、大石のコンディション次第で優勝争いは激化することも考えられ、そうなれば、陸上強豪大とは言い難い尚美学園大陸上部の所属ながら自己ベスト10秒27とじわじわと力を付けてきている上山拓己、先日の奈良サーキットで10秒27をマークしている増山煌富(関西学院大)、10秒24の自己ベストを持つ小池真生(順天堂大)といった選手にもチャンスが出てくる。
男子200mはワールドユニバーシティゲームズ代表の植松康太(中央大)と、植松と共に代表としてU20東アジア選手権を戦った濱椋太郎選手が優勝争いの軸となる。
昨年の日本インカレでは20秒90の同タイムで優勝を分け合った佐々木清翔(岩手大)と大橋明翔(環太平洋大)にとっては決着を付けたい舞台でもあるだろう。
男子400mもワールドユニバーシティゲームズ代表の平川慧が優勝候補筆頭だが、45秒28を記録した爆発力だけでなく、コンスタントに45秒台で走る安定感も欲しいところ。
白川健太郎(東洋大)もU20世界選手権や東アジア選手権を経験している力のある選手だ。
男子800mは先述のように落合晃が回避したが、そのなかにあって昨年のワールドユニバーシティゲームズ代表の一人、岡村颯太(鹿屋体育大)が優勝候補の最右翼。
盛耕太朗(東海学園大)は闘志を前面に押し出す走りで先日行われたグランプリシリーズの金栗記念で3位に食い込んでおり、今年のブレイク候補の一人だ。
男子110mHは古賀ジェレミーの不出場で混戦模様だが、小池綾(法政大)は2023年に13秒57の好タイムを叩き出しており、ここ2年ほど記録が停滞しているが復調に期待したいところ。
200mで20秒70の自己ベストを持つ走力の高い打田快生、U20東アジア選手権代表の小口蒼葉(法政大)も優勝争いに加わる力が有る。
男子400mHは48秒台の自己ベストを持つ渕上翔太(早稲田大)が先週末にアメリカで行われたMt.SAC Relaysに出場しており、今大会にはエントリーがない。
オープン参加の林仲威(台湾)は自己ベスト49秒00とかなり手強いが、U20東アジア選手権優勝の1年生、家入俊太(福岡大)やU20世界選手権代表を経験している菊田響生(法政大)に期待をしたい。
男子10000m競歩はハーフマラソン競歩で力を示している逢坂草太朗(東洋大)、吉迫大成(東京学芸大)VSトラック5000m競歩日本記録を持つ金子陸(国士舘大)の様相だが、今月にブラジルで世界チーム競歩U20代表として男子10㎞に出場した山田大智(東洋大)、胎中隆太(山梨学院大)も力がありレベルの高いレースとなりそうだ。

フィールド種目の男子走高跳も2m20をクリアしている選手がエントリー選手中6名とレベルが高い。
共に2m25の自己記録を持つ原口颯太(順天堂大)、中谷魁聖(東海大)は今年9月に名古屋で開催されるアジア大会の派遣設定記録、2m24の突破が現実的な目標となってきており、ワールドユニバーシティゲームズ7位入賞の山中駿(京都大)も自己ベスト2m24と力は拮抗している。
自己ベストは2m18だが、昨年のU20日本選手権、インターハイ、国民スポーツ大会と主要タイトルを総ナメにした中村佳吾(筑波大)も1年生ながら優勝争いに加わるだけの実力は備わっていそうだ。
男子棒高跳は東大阪大から大阪経済大の大学院に進んだ5m57の自己ベストを持つ原口篤志が優勝争いの本命。
打倒原口を狙う育英大の鈴木悠聖や日本体育大の北田琉偉オスカー誠治郎には5m50をクリアしてもらいたいところ。
2024年のU20世界選手権銀メダリストの吉田陸哉には奮起を期待、日体大の1年生で5m35の自己ベストを持つ井上直哉も上位争いに加わる力がある。
男子走幅跳は、7m84の自己ベストを持ち、昨年のU20東アジア選手権を制した大西勧也(天理大)に8mジャンプを期待したい。
男子砲丸投は18m56の自己記録を持つアツオビンジェイソン(福岡大)が昨季終盤から不振気味で、山田暉斗(法政大)にとっては昨年の日本インカレに続き、また渡辺豹冴(新潟医療福祉大)にとっても昨年の国民スポーツ大会に続き、打倒アツオビンを果たしての優勝の好機が訪れている。
特に渡辺は今季初戦のHOKURIKUスタートアップ競技会で自己ベストタイの17m94をマーク、18mが目前に迫り、勢いも感じさせる。
男子やり投は昨年4月に81m23の自己ベストをマークし、学生国際大会の経験も豊富な
鈴木凜(九州共立大)の力が抜きんでているが、昨シーズンは東京世界陸上代表が懸かった日本選手権辺りから調子を崩し、そのままシーズンを終えており、今大会できっちりと優勝を果たして自信を取り戻し、再び80mオーバーを目指してもらいたい。

女子の注目種目の筆頭は走高跳。
昨年の国民スポーツ大会で1m86をクリアして優勝を果たした森﨑優希(日本女子体育大)と今年の東京六大学対校戦を1m80で制した矢野夏希(早稲田大)による1m80オーバー対決が実現、共に更に記録を伸ばすことができるか、とても楽しみだ。
女子走幅跳も6mオーバーの資格記録を持つ選手が11名に上りレベルが高く、3回目終了までに6m以上を跳ばなければトップ8確保が難しいものと思われ、有力選手にも思わぬ落とし穴があるかもしれず、厳しい闘いが待ち受けることとなりそうだ。
昨年のインターハイを6m40で制した新1年生の成澤柚日(中央大)と、U20東アジア選手権ではその成澤を抑えて優勝を果たした近藤いおん(日本大)には6m50オーバーを期待したい。
女子三段跳で13m04の自己記録を持つ廣瀬桃奈(園田学園大)、13m01の山﨑りりや、女子棒高跳で4m31まで自己記録を伸ばした小林美月(日本体育大)には更なる自己記録更新の期待が掛かる。
女子やり投も昨年に60m57の自己ベストをマークした倉田紗優加(慶應義塾大)、その倉田とともに5月に行われるアジア投擲選手権の代表に選ばれている辻萌々子(九州共立大)、昨年のインターハイとU20日本選手権を制し二冠となった1年生、鈴木彩夏(大阪体育大)、鈴木と同じ57m11を自己ベストに持つ篠田佳奈(京都大)と力のある選手が揃い、ハイレベルな優勝争いが期待される。
女子ハンマー投では、昨年までは今春卒業した村上来花(九州共立大→ゼンリン)の影に隠れた恰好となっていたが、2学年後輩の嶋本美海(九州共立大)も昨年の日本インカレでは自己記録を64m01にまで伸ばして3位に食い込むなど力を付けてきている。
トラック種目の女子100mでは藏重みう(甲南大)が今季すでに11秒59をマークし、好調な滑り出しを見せており、11秒41の自己ベストを持つ山形愛羽(福岡大)、11秒47の自己ベストを持つ小針陽葉(駿河台大)の実力者と共に、11秒5台の自己ベストを持つインターハイチャンピオン、松本真奈(日本体育大)、国民スポーツ大会を制した秋澤理沙(中央大)、U20東アジア選手権代表の田中里歩(中央大)の強力な1年生トリオを迎え撃つ。
女子200mでは400mの日本学生記録保持者の青木アリエ(日本体育大)がこの種目一本に絞り優勝を目指すが、髙橋亜珠(筑波大)が23秒20、前田美結子(福岡大)も23秒31の好記録を昨年に叩き出しており、東京世界陸上の男女混合4×400mリレー代表にも選ばれた実力者の青木を以てしても、一筋縄ではいかないだろう。
女子800mは今年の金栗記念で塩見綾乃(岩谷産業)を抑え、2分4秒59の好タイムで日本人選手トップの2位に入り、表情からも自信のほどが窺える勝くるみ(筑波大)と、昨年は学生個人選手権と日本インカレを制す勝負強さを見せた森千莉(至学館大)の優勝争いに、同学年に久保凛がいたため目立たなかったが、2分4秒71の自己記録を持つ1年生の佐々木葉音(筑波大)が割って入れるか。
2分3秒36と最も持ちタイムの良い西田有里(立命館大)は今季ここまで調子が上がって来ていないが、実力者の意地に期待をしたい。
女子5000mは今年創設された青山学院大学女子駅伝チームの一期生として入学した芦田和佳がどのような走りを見せるかにまず注目、昨年5月のゴールデンゲームズinのべおかで15分30秒85をマークした芦田と同じく1年生の真柴愛里(名城大)も力があり、城西大の昨年度の大学女子駅伝二冠達成に貢献した本間香らと優勝を争う。
女子100mHは台湾の張博雅が強いが、昨年のU20東アジア選手権銀メダリストの1年生、井上凪紗(青山学院大)に期待をしたい。
200mにもエントリーしている髙橋亜珠は走力は高いがこの種目ではスタートから1台目で後手を踏む悪癖が改善できているかが優勝争いに加わるためのカギとなるだろう。
400mHは2024年のU20世界選手権代表を経験している平木陽(大阪成蹊大)が昨年に57秒55まで自己記録を伸ばし、力を付けてきている。
昨年のU20東アジア選手権で金メダルを獲得した福岡梓音(福岡大)との好勝負を見る事ができそうだ。
また今年の大会から暑熱対策のため男女の日本インカレ10000mが同時に開催される事となり、男子の10000mでは吉岡大翔(順天堂大)、山口竣平(早稲田大)の箱根駅伝でも活躍したチームの主力が激突、箱根6区区間賞の小池莉希(創価大)、箱根駅伝では関東学連の1区を担い、3番目に襷を繋ぐ快走を見せた川﨑颯(筑波大)も力が有り、女子10000mは、S・ワンジル(大東文化大)の優位は動かないだろう。
4月24日の9時15分、女子1500m予選から今年の日本学生個人選手権の熱い闘いがスタートする。
文/芝 笑翔
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