男子は110mHの 髙城昊紀の記録に期待、女子は100mHがハイレベルな激戦もよう、走高跳の鴨田るなも注目!第79回全国高等学校陸上競技対校選手権大会の展望

令和8年度全国高等学校総合体育大会陸上競技、第79回全国高等学校陸上競技対校選手権大会が始まった。
今年の開催地は滋賀県彦根市の平和堂HATOスタジアム。昨年度は猛暑の影響により、急遽実施時刻や予選方式を変更するなどの対応がなされたが、今年は日本陸連が、「暑さ指数(WBGT)31℃以上で運動は原則中止」とする日本スポーツ協会のガイドラインに沿って競技会を運営することを打ち出しており、今大会もこの方針に則り、すべての種目が夕刻以降に実施されるナイター開催となった。

昨年は変則開催となった中、男子100mで清水空跳(星稜高)が10秒00の日本高校記録を叩き出すなど好記録が相次いだが、今年の大会はその清水や、6月の日本選手権の男子400mHを48秒09で制した後藤大樹(洛南高)、5月に行われた高校総体兵庫県予選の女子100mHで13秒29をマークした二階堂咲(神戸山手グローバル高)、6月の高校総体北信越予選の女子100mHを13秒20で制した藤田紗季(敦賀高)など、今季に入って日本高校記録を更新した選手を含む各種目の世代トップ選手が、今大会最終日の8月5日からアメリカ・オレゴンで開催されるU20世界陸上競技選手権大会に出場するために欠場。こうした状況の中から、清水や後藤らに続き、将来の日本陸上界を担っていくであろうスター候補選手が現れるのか、期待される。

男子各種目の展望と注目選手

その候補選手をピックアップしながら注目種目を展望すると、男子100mでは、今月11日に行われた岡山県国民スポーツ大会代表選考会で10秒27をマークした山田夢叶(玉野光南高)、高校総体千葉県予選で10秒30を記録した片山瑛太(市立船橋高)、昨年滋賀国民スポーツ大会少年Bを制した松下碩斗(静岡高)らを中心に、10秒2台の決着が期待される。各選手がこの大会を目標に各地区大会から更にコンディションを上げ、10秒1台に届くようであれば、世代別の国際大会代表など、今後の展望が開けることになるだろう。

男子200mは6月の高校総体南関東予選を20秒74で制した塚本蘭天生(保土ケ谷高)や、5月末に香港で行われたU20アジア選手権に出場し、渋太い闘いぶりで決勝に進出し5位入賞を果たした伴野智星(静岡市立高)、男子400mは6月の高校総体近畿予選を46秒58で制した奥村晃大(京都・西京高)が優勝争いの軸になりそうで、800mではホクレンディスタンスチャレンジ深川大会で1分48秒80の3位と力走した曽田怜輝(札幌日本大高)が力を付けてきており、注目選手の一人。
男子1500mは強力な留学生のエントリーはなく、800mにもエントリーのある田中悠大(洛南高)や5000mにエントリーのある吉田星(東海大附属札幌高)や稲垣翔馴(洛南高)ら、中距離系選手と長距離系選手がせめぎ合う。
5000mは10000mで27分台のタイムを持つB・ビリス(札幌山の手高)が強力だが、昨年9月に香港で行われたU20東アジア選手権を制した1500mにもエントリーしている吉田星や稲垣翔馴、そしてホクレンディスタンスチャレンジ網走大会で13分47秒07の自己ベストをマークし勢いに乗る藤井雄大(宮崎日本大高)らの日本人選手トップを争い、ビリスら留学生にどこまで迫れるかのレースとなるだろう。

男子110mHは香港U20アジア陸上選手権で銀メダルを獲得した髙城昊紀(宮崎西高)がU20世界選手権代表から漏れた悔しさをここにぶつける。
U20規格では13秒24の好タイムを持っており、一般規格でも自己記録の13秒68からどこまで記録を更新するか、今大会でも特に注目度の高い選手の一人だ。

アジア大会代表にも選ばれた後藤大樹が不在の400mHは、直近の国民スポーツ大会鹿児島県代表選考会で50秒69をマークした橋元翔琉(鹿児島高)、長野県選手権で50秒74をマークした髙野徳之(上伊那農業高)が50秒切りを果たせるか、期待したい。
男子3000m障害は高校総体中国予選を8分53秒09で制した遠藤光基(平田高)、遠藤と同タイムながら2位となった木村啓運(萩高)の二人に、8分54秒86の自己記録を持つ赤坂直人(佐久長聖高)、8分55秒19がある圓太喜(城西高)らが絡む激戦が予想される。
男子5000m競歩は19分51秒99のベストタイムを持つ辻那悠太(市立西宮高)とU20アジア選手権銅メダリストの小幡千尋(飯田高)らでハイレベルな優勝争いが繰り広げられそうだ。

男子フィールド種目では、高校総体近畿予選の棒高跳で5m24を記録した泉谷礼哉(王子工業高)や、香港U20アジア選手権の砲丸投で4位入賞を果たした、18m14の自己記録を持つ大垣尊良(厚真高)の更なる記録更新に期待したい。
走幅跳は資格記録上位の河旺佑(鳴尾高)、小川章介(秋田・湯沢高)らによる7m50オーバー、三段跳は板野結希(兵庫・滝川高)、白川泰地(幕張総合高)、小坂羚叶(四国学院大香川西高)らが15m50オーバーを巡る争いとなりそうで、円盤投では藤井勇介(名古屋大谷高)、星川俊輔(新庄東高)に55mに迫る投擲を、ハンマー投では水野光(社高)、帆刈暖登(新津工業高)に65mオーバーを期待したい。
また、八種競技では、高校総体京都予選で日本高校歴代6位の6079点をマークした北村澪音(洛南高)が更に記録を伸ばせるか、注目だ。

女子各種目の展望と注目選手

女子で最も注目されるのは、100mHだ。
二階堂咲、藤田紗季の今季相次いで高校記録を更新した二人がオレゴンU20世界陸上出場のため欠場となったが、記録を更新された側の石原南菜(白鴎大足利高)が出場する。
石原は5月末の香港U20アジア選手権で銀メダルを獲得したが、記録は13秒76、シーズンベストも高校総体北関東予選で記録した13秒40と、滋賀国民スポーツ大会で当時の日本高校記録、13秒29をマークした昨年の状態からすれば、本調子にまでは至っていないようで、U20世界陸上代表を逃したこともあり、高校新をマークした国民スポーツ大会と同会場で行われる今大会での奮起が望まれる。
他にも昨年の大会では13秒42で3位となり、今年に入って13秒30まで記録を伸ばしている福田花奏(滝川第二高)、高校総体九州予選を13秒33で制し、100mでも11秒54と高いスプリント力を誇る吉永優衣(長崎日本大高)、南関東予選で石原の13秒40を上回る13秒37をマークした嶋中心優(相洋高)と力のある選手が揃い、藤田の持つ13秒20の高校記録にどこまで迫れるか、あるいは更新するのか、記録面でも期待が大きい。

100mでは100mHにもエントリーしている吉永のほか、高校総体近畿予選で11秒66の同タイムながら着差ありでの決着となった加藤結衣(龍谷大平安高)、薬師寺愛葉(京都光華高)が優勝争いの中心となり11秒5台を巡る争いとなりそうで、200m、400mで昨年の大会を制し2年連続二冠を目指すバログンハル(千葉・市川高)には記録への期待も高まる。
800mでは昨年のU20東アジア選手権代表の今枝瞳(中京大附属中京高)や、田村実彩(東大阪大敬愛高)らが、昨年まで三連覇を果たした久保凛(積水化学)に引っ張られるように記録を伸ばしており、2分5秒を切る決着もありそうだ。

1500m、3000mではA・メアリー(白鵬女子高)やS・ニャンブラ(札幌山の手高)らケニア人留学生が高い壁として立ちはだかるが、1500mでは4分18秒30の自己ベストを持つ村井和果(仙台育英高)や4分20秒68を記録している荒木美伊奈(鹿児島高)、3000mでは二種目エントリーの村井、駅伝で実績のある川上南海(長野東高)らが日本人トップを争いながら、留学生を追っていくことになるだろう。

400mHは59秒09の自己ベストを持ち、100mHでも上位入賞候補の阪真琴(佐久長聖高)を筆頭に、59秒28の楠田ゆうな(鹿児島女子高)、59秒34の吉見若菜(姫路女学院高)、59秒53の中林あい(修猷館高)と59秒台の自己ベストを持つ選手が4名おり、58秒台突入も期待され、5000m競歩は昨年の滋賀国民スポーツ大会を20分40秒75で制している逢坂ひかり(市立西宮高)の力が一枚抜けている。

女子のフィールド種目で最も注目となるのは、走高跳の鴨田るな(東海大附属相模高)だろう。
一昨年、高校1年生ながら高校総体を1m76の好記録で制した鴨田だったが、昨年は高校総体を欠場するなどもう一息の結果に終わっていた。
それが今年は一転して5月の高校総体神奈川予選で1m77をマークすると、日本選手権では1m75をクリアし6位入賞を果たしており、今大会では1m80オーバーへの期待もかかる。

女子棒高跳では今季4m10をクリアしている松浦清愛(久御山高)が優勝候補の筆頭で、走幅跳には6m08の自己ベストを持つ石原南菜が100mHとの二冠を目指しエントリー、また三段跳では12m88を記録している野澤和心(甲府南高)が13mオーバーに挑む。

女子の投擲種目では、砲丸投で13m99を記録している小川莉緒(稲生高)、円盤投で46m32をマークしている松原奏空(生光学園高)、ハンマー投で58m08を投げている坂口はな(鹿児島南)、やり投では51m03の自己記録を持つ赤木凛乃杏(四国学院大香川西高)がそれぞれの種目の優勝候補筆頭だ。

女子七種競技では、高校総体神奈川予選で5559点の日本高校記録を打ち立てた岡田紗和(法政大第二高)が南関東予選を欠場し、高校総体の出場権を得られなかったのは残念だが、昨年の大会を5323点で制した江口美玲(東海大付属相模高)が出場する。
江口は香港U20アジア選手権に出場し、1日目をトップで終えながら2日目の最初の種目、走幅跳の練習中に脚を痛めて棄権しており、その後に行われた高校総体南関東予選では優勝を果たすも4946点と5000点台に届かず、復調を懸けて挑む大会となる。

繰り返しとなるが、昨年の大会では暑熱対策により、開催直前にレギュレーションが変更され、トラック種目の決勝はタイムレース方式、フィールド種目では試技回数4回とするなど変則開催となったにもかかわらず好記録が続出し、高校生の秘められたパワーに圧倒されたが、今年の大会でも、世代トップの選手をU20世界選手権で欠くなかで、多くの選手がその潜在能力を開花させることを楽しみにしている。

文/芝 笑翔

記事への感想お待ちしております! X もやっています。是非フォローおねがいします!(https://twitter.com/ATHLETE__news)

コメントを残す

ATHLETE Newsをもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む

search previous next tag category expand menu location phone mail time cart zoom edit close